「来賓はどなたを呼ぶの?」

つわりか何かで体調が悪いのか、の顔色はよくない。
それでも冬獅郎の前では元気にふるまうし、いつもより食べる量も増えたと思う。

「一応、総隊長とその他非番のやつ、と、…松本と、雛森」

よく分からないが、結婚式に異性の友人は呼ばないらしい。
松本と雛森は、家族だ、家族。
の来賓の方は知らない名前ばかりが並んでいた。
当然と言えば当然だ。
冬獅郎はの交友関係に関して一切を知らなかった。
また、も冬獅郎にそのことについて触れようとはしなかった。
隔てる壁が違うのだ。
死神は人間を理解できても、人間は死神を理解できない。
これは大きな違いなのだ。
彼女が自分を受け入れてくれた事が、奇跡のように思う。

「お前、辛いときはちゃんと寝てろよ」

ふと頬に触れては、の顔を覗きこんだ。
案の定彼女はふわりと笑って、「だいじょうぶ」と言った。
こちらの心配を他所に、と冬獅郎は肩を竦める。

「式場予約できてよかったわァ、今度時間あるとき言ってね、あなたも衣装選ぶんですから」
「え、俺もか?」
「当たり前でしょう」

はきょとりと目を見張る。

「死覇装じゃ駄目だよな」
「駄目に決まってるでしょう」

言ってはくすくすと意地悪く笑んでみせた。
冬獅郎は苦い顔をしたが、やはりそれなりの格好は必要か、と自分を納得させる。
式は現代風にチャペルで挙げることになった、当然はドレスを着るし、冬獅郎も着物ではない。

「結婚式に白いドレスや白無垢を着るのは、嫁ぐ先の家の色に染まりますという心の現れなのよ」
「へぇ?まぁ…そういうの関係なしに、お前には白が似合うよな」

難しい事なんて分からねぇし、仕来たりとかそういうの全然知らねぇ。
でも、どうせならが一番きれいに見える色を。
そうして、覗きこむように、そっと、口づけた。