「あら、え?冬獅郎?」
「どうだ、

ふふんと冬獅郎は胸を張った。
白っぽいグレーの洋服に身を包んだ冬獅郎の姿はよりいくらか大きいように見えた。
いつもの視点よりやや上に顔を上げる。

「浦原に頼んでな、ちょっと、こう」

義骸に細工を。
実際の姿かたちと異なると、霊子と義骸の連絡が上手くいかず動きにくくはなるが。
133センチよりはマシだろ?
そう言って笑えば、が涙ぐむ。

「無理をして、」
「馬鹿野郎、まだ泣くところじゃねぇだろ」

頭を撫でてやる、冬獅郎は見慣れぬ視界に戸惑った。
を見下ろしては、あぁ、こいつは本当に可愛い奴なんだと思った。
今日一日ぐらい、違和感には耐えてみせる。
それに、俺にも格好ぐらいつけさせろよ。
世界一可愛いお前を、一生幸せにする男だぜ。
冬獅郎はいつになく穏やかな気分だった。

「行こうぜ、」

空は青く、風は穏やか。
春の陽日。
冬獅郎はの手を引いて、教会へ向かう。
そして、

「あとでな」

そう頬に口づける、の父親が冬獅郎を睨んだ。



『新郎の、入場です』