「総悟、誕生日何がほしい?あたし?」


黙ってもらえやすかィ?^^^^^^




真選組屯所内、一室。
総悟がごろごろしてると突然部屋に入ってきては言い放った一言。

「突然何言いだすんでィ、バカ
「総悟明後日誕生日じゃない?何すんの?仕事?」
「仕事でさ」

何が楽しくて、この年になって誕生日を休日にしなきゃならねェんでィ。
総悟は頬杖をついてはを見上げた。
その横に滑り込むように座るとは楽しげに笑う。

「何だ仕事かぁ」
「何でそんな楽しそうなんでィ」
「誕生日に仕事とかドンマイだと思ってさ!」
「大抵のやつはそうじゃねェんで?」
「えー、あたしは休むけどな!総悟が祝ってくれることを期待してあけておく!」
「それじゃアンタの誕生日には日勤続けて夜勤もやってやりまさァ」
「ひどっ!!」

ショックを受けて打ちひしがれるだが、言っときやす、明後日は俺の誕生日ですぜ。
総悟はちらりとを見上げては、素っ気なく言った。

「ま、そういう事なんで」




そういう事で。





はその当日、朝も早から出支度をしたかと思えば、屯所へ直行した。

「総悟?総悟なら今日は非番だが?」

さらりと言ってのけた近藤さんに、一瞬愕然とするも、

「フザけるなァアア!どういう事だァアアアア!」

と気を取り直して暴れ出した。

「て、てっきり君と遊びにでも言ったと思ってたんだがなァアアげぶそがうのう!!」

肩をひっつかんで揺さぶるもんだから、近藤さんは完全に乗り物酔いのグロッキー状態。
口から魂と、何かちょっと汚い何かが出ている。
ちょ、止めてあげてくだせェ。

「オイ、、その辺にしとけ」
「トシ!」

あ、さっきの攻撃を今登場したそいつにやんねェかな、なんて。
が手のひら返したように呼ぶ、そいつが憎くてしょうがねェ。
大体何でそんな呼び方なんでィ。
近藤さんからあっさり手を離したと思えば、急に笑顔になりやがって。

「何してんだ、お前」
「聞いてよ!総悟今日はお仕事だって言ってたのに、非番ってどういう事!?」
「んな事知らねえ。俺は総悟の保護者じゃねぇんだよ」

こっちだって土方みてェな保護者お断りでさァ。
胸糞が悪くなって、チッと舌うつ。
後で覚えておきなせェ、ケツにバズーカぶちこんでやりやす。
そう拳を握り決意を固める。
はと言うと、屯所内を探し始めるらしく、廊下を忙しく走っていた。
すれ違う奴全員に「総悟見てない!?」と聞いて回っている。

「隊長?知らないなぁ、町にでも出てるのかな?」

ザキが適当な事を言って、はそれを鵜呑みにし門を出る。
おっと、忘れるところでした。
屯所を出る前に土方に一発バズーカをお見舞いしてやらねェと。
は俺の行きそうなところを一軒ずつ回るつもりらしく、手始めにゲーセンへ入って行った。
一通り探して、俺がいない事を確認すれば、次はよく行くスーパー。
それから映画館も覗いて、俺がよくさぼっているベンチに座る。
あいつ俺のことよく見てんだなってツクヅク思うんでさ。
ストーカー?

「総悟どこにいるんだろ、」

もう心当たりがないのか、途方に暮れている。
すでに時間は夕刻に差し掛かる。
昼飯も食わずに町の端から端へ俺を探し回る
最後に行った場所は。

「何してるの?ちゃん」

メガネの少年がを覗きこむ。

「新八くん!」
「一人?珍しいね、中、入ったら?」

玄関口でそう言葉を交わす。

「んーん、いい、総悟、来てないよね?」
「え?沖田さん?」
「いるの!?」
「いないアル」

突然声がしたかと思えばチャイナが新八の後ろから顔を覗かせた。
さらにその奥、グータラとした声が聞こえてくる。

「あのドSな隊長なら来てねーよ、何、あいつ探してんの?」
「町中探しても見つからないんです」
「大方どっかの誰かとイイコトしてんじゃねぇの、ほら、あいつそういうプレイ好きだし」
「彼女ほっといて酷い奴アル!」

オイ、そこの銀髪どんな言い草ですかィ。
俺のイメージの危機だ。
そこでは至極衝撃を受けたらしく、万事屋から飛び出した。

「なーんてのは、冗談…って、あれ、ちゃん!?ちゃーん!

その言葉なんて聞こえるはずもなく、は走り去っていく。
今度はどこへ行こうと言うのだろうか。

「…いないよね、総悟」

ここは一本路地に入ったラブホ街。いくつかのラブホが立ち並んでいる。
オイオイオイオイ。
俺は頭を抱えるが、はそんなことお構いなしにどんどん奥へ進んでいく。
まさか中までチェックしねェよな?

「いたらいたで、嫌なんだけど」

空はもう暗い。
カップルが人目を忍んでホテルに入って行く。
そんな中、若い女が一人、うろうろなんてしていたら。

「君一人?」
「相手探してるなら俺らと遊ばない?」

ほら見ろ、言わんこっちゃない。
を取り囲むように、男が詰め寄る。
おどおどしまくるだけの、ちゃんとはっきり言わねぇとあいつらに引きづり込まれるぞ。

「ほら、行こ?」
「おい、止めろよ、怖がっちゃってるだろ」
「大丈夫、俺たち悪い人じゃないからね」

そう言っての腕を引っ張る。
なにが悪い人じゃねェ、だ。反吐が出やす。
そんなタマ菌ついた手で触るな。
だが、まだ俺は我慢しやす。

「やめてください!」

は震える声でそう突っぱねた。
だがそんなものであいつらが諦めるわけはない。

「震えちゃってかーわいー」
「いいから早くこいっ」
「やだっ、総悟、助けて…!」

無理やり引っ張られ、とうとうが叫んだ。
まったく、俺を呼ぶのが遅いんでさァ。

「はーい、みなさんこっち向いて」

男たちがこっちを向く。
が一緒にいるにも関わらず、俺はバズーカを発射した。
ドッカンと派手な音がして、煙がもくもくと上がる。

「お前らそいつは俺の女なんでさァ、指一本でも触れてみやがれィ、そのオシャレへアーをアフロにしやすぜ」

あ、もうヤっちまいやしたが。事後報告すいやせん。
俺はポカンと座り込んでしまったのところへ歩いていく。

「え、そ、そうご…?」
「何でィ、ひでェ顔して、頬真っ黒ですぜ」
「そ、それはあんたのせいでしょ!?ってか、何であたしいるのにバズーカ撃つのよ!?」
「あれはアンタも悪いんでさァ、こんなところをひょこひょこ無防備で歩きやがって」

やれやれと俺はの手を取る。

「え、だって、総悟の事探してたの!!」
「知ってやす」

そうさらりと返す。
だって今日一日ずっとの後ろをつけてきたんですからねェ。

「え、何で?え、え!?」
「プレゼントいただいたんでさ」
「え、ぇえ?」
「…それで最後のシメにアンタも実際にいただいて、それで大満足」

そう手を引いては一軒のホテルへ。
がくれるって言ったんだろィ、自分自身を。
だから一日を堪能して、最後は実際にいただいて終了ってわけでさ。

「見てたの!?」
「何が?」
「朝からずっとあたしの事!」
「見てやしたぜ、ずっと」

くすくすと笑って言い放つ。

「アンタを一日中見ているというプレゼントを勝手に貰いやした」

必死に俺を探し続けてるの姿。
すごく充実した一日でしたぜ。
そう俺はに口づける。











悪趣味だろうが、好きなもんは好き。










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その後手痛い一発を食らったのは、当然の話。
ストーカーはお前だ^^