【PEACE MAKER】 〜太郎と次郎〜
「っはぁ〜…」
「…平助、お前、感情の起伏は激し過ぎるヨ」
「だってよォ〜、新八っつぁん。最近可愛いものに出会ってなくて…
……って、新八っつぁんは充分可愛いけど!!!!」
安心して!と俺は力説する。
「いや、俺は何も言ってないから。で、何」
「…こうさァ、街角で
『きゃっ』
『ごめん!!余所見してて…大丈夫?怪我無い?』
『大丈夫です』
『あ、あの…ちょっとそこでお茶してかない?』
『本当ですか!?…嬉しい』
なんて、素敵な出会い無いかなァ」
「無いネ。平助、いい加減、その時代錯誤な逝ってる妄想やめない?」
「酷いな!!!!」
「平助のはある意味の現実逃避デショ」
新八っつぁんてば、呆れて物も言えない、みたいな顔しちゃって。
俺だってね、憧れる訳よ。
一目ボレとか、運命の相手とか。
…ガラじゃないけどさ。
…あれ?
俺は目をこすった。
「どうしたのサ?」
「あそこ…猫いるよね?」
「ぁあ、居るネ」
真っ白な毛並みの、青い目をした、初めて見るような種類。
「か」
「蚊?」
「可愛すぎ!!!!!!!」
「言うと思ったヨ…あ!ちょっと、平助!!」
俺は猫に駆け寄る。
「おいでー♪」
にっこりと笑って、呼ぶ。
チリン♪
猫の首についた鈴がなる。
「ったく…なついちゃったらどうするつもり?…てか、それ飼い猫デショ」
「あは…やっぱり?」
「ドコの子カナ」
「巡察の時も見た事無いよね、こんな珍しい猫。これ、外来種だよね」
「…でしょうネ…面倒な事になりそうだなァ」
そうりゃそうだ。
だって、こんな珍しい猫飼ってるなんて普通じゃない。貿易商か、異人か。
「…俺、ちょっと飼い主探して見るよ」
「…分かった、俺は昼番だから行くネ」
そっか、新八っつぁんは昼番…巡察当たってんだ。
俺は猫を抱いて歩き出した。
「ねー、お前どこからきたの?」
にゃー。
「本当かわいいねー」
にゃー。
「あれ?お前名前…えーっと、次郎」
俺は猫の首輪(単なるヒモか?)に、書いてある。
って。
次郎かよ。
「お前、次郎なのか?」
にゃー。
「…似合わない名前だね…」
だって、見かけはすごく綺麗で金めがかった緑の目は、どう見たって異人の様で。
なのに。
次郎て。
にゃー!
「あぁ、ゴメンゴメン。素敵な名だね…次郎って事は、太郎もいるのかな」
にゃー。
「いるんだ」
猫と会話してる俺って危ない?
「危ないわね」
「あ、やっぱり?」
…って。
「お前喋った!!??」
「そんな訳無いでしょ、バカ平助」
その声は頭上から降ってきてた。
「!!!!」
声のする方を見上げ、叫ぶ。
監察方のが屋根の上に座ってた。
「何よ?」
「…いつから居たの?」
まさか、猫と喋ってたの思いっきり見てた?
「今さっき来たとこよ」
ほ…。
俺は一安心して胸を撫で下ろした。
「えーっと、『だってよォ〜、新八っつぁん。最近可愛いものに出会ってなくて…
……って、新八っつぁんは充分可愛いけど!!!!』ってところからよ」
最 初 か ら じ ゃ ん ! !
最悪…。
実はあの台詞も、この俺の変な独り言も。
のせい。
俺ちょっと拗ねてんだ。
が俺の相手をしてくれないから。は俺と2人きりになるのとか、避けてくる。
俺はこんなに好きなのに。
…自分で言ってて悲しくなってきた…。
「ところでその猫…」
「…え、何、見た事あるの?」
「…無いけど」
「あ、そう…」
「太郎なら見たわよ」
「へ?」
本当にいるのかよ!!??
て言うか、その前に何でが?
にゃー。
「ほら」
が手に抱えているのは。
「同じ猫だ…」
「そうね、同じ猫ね」
「どうしたの、その子」
「…分からないけど。あたしのところに来て、追いかけてほしそうだったから。
追いかけていったら、そこにあなたと永倉さんがいたのよ」
真面目にそんな事を言う。
真面目なくせに、そんな幻想めいた事をフと言う。
そんなところが、可愛い。
「平助?なに惚けてるのよ」
怪訝な声。
「あ、ごめん…この子たち、どこの子だろう?」
「…知らないわ」
情報通・監察方のでも知らないとなると…。
「取り敢えず、問屋町を回ってみようかな…俺、非番だし」
「あたしも付き合うわ」
トンっと軽快な音がして、が屋根から降りてきた。
「え!!」
「何よ。あたしも非番なの、今日」
にっこりとは笑って、猫を撫でる。
こんな形で、と2人っきりになれるなんて思ってもいなかった。
ウキウキと歩き始めて数分。
「本当にいたとはなぁ、お前の兄弟」
俺はまた次郎に話しかける。
にゃー。
「そっくりじゃん、もしかして双子かな?」
にゃー。
「そうなんだ!!」
「ぷっ」
急に吹き出す声が聞こえた。
「な、何?」
「いや…平助って本当、好きなんだなぁと思って」
「え?」
「小動物」
「あぁ、うん、大好き♪」
俺は満面の笑顔で言う。
「っ」
あれ??
俺は目を疑った。
だって、今。
は急に顔を赤くして、そっぽを向いてしまった。
「?」
どうしたの?
にゃー?
次郎が鳴く。
にゃー…。
太郎も鳴く。
「」
こっちを向いて。
「、どうしたの?」
「ど、どうもしてないわ」
「…そんな訳無いでしょ。こっち向いて」
「ヤだ」
「何で」
まさか。
。
「俺が言ったのは、猫の話だよ?」
「分かってるわよ!!」
あ、こっち向いた。
「でも、の事も、大好きだよ」
あ、また赤くなった。
「照れてるの?」
「…うるさい」
「そう?でも、本当だよ?」
前から言ってるでしょ?
「ウソ」
「ウソ…?」
、何言ってんの?
「…嘘じゃないよ?」
「ウソよ」
「嘘じゃないって。俺はの事を」
2人きりになれなかったから、言えなかったけど。
「愛してるよ」
ダメもとだ。
沈黙が落ちる。
にゃー。
太郎とも、次郎とも知れない声。
「あ、あたしも…です」
「え?」
「あたしも、平助の事…好き」
マ ジ で す か ! ! ! !
「何よ…照れてなんか、ないんだから!」
そう強がる。
顔が熱い。
「…本当に?」
「本当、です…」
「でも、俺とあまり話してくれなかったじゃん…俺、嫌われてるもんだと…」
「ちがっ…だ、だって…恥ずかしいじゃない…」
顔を更に赤らめて、はつむぐ。
もしかして、あの態度は。
俺に冷たくしてたんじゃなくて。
か。
「…か」
「蚊?」
「可愛いー!!!!」
思わずを抱きしめてた。
にゃー!!
腕の中から2匹の猫が、チリン♪と鈴鳴らし、小路の向こうに消えていく。
「あ…」
が茫然とその先を見つめる。
「行っちゃったね」
「何だったんだろう…」
もしかしたら、あの猫たちは。
俺に機会をくれたのかもしれない。
猫にもらった機会。
「…帰ろっか」
「うん」
手を繋いで、帰る。
そんな初々しい光景、俺にしては珍しいかも知れない。
だけど。
俺はそんなのにも憧れる。
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はい、また長ーーーーーい。
長いゆ〜〜〜〜〜〜〜〜〜め〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
何で最初の部分が平助と新八のかけあいなのか?
ドリーム無視してらぁ、ここの管理人∵ゞ(≧ε≦o)ぶっ。
…ズ━━(´д`)━━ン。
平助さん、いまいちキャラつかめてない感じですいません↓。
相変わらずのヘボ作ですが、蒼うさぎ様に捧げます!!
…メールの返信、できていますか?不安ですぅ↓。