【PEACE MAKER】   〜言葉じゃ足りない〜



「ねぇ、新八…?私がすき?」

つたない言葉でそんな当たり前の事を訊く君が、とても愛しい。


「ねぇ、新八?」

同じ布団に横たわって答えの決まりきったそんな事を訊く君が、とても愛らしい。




「答えやがれ」

互いの香りを交し合ってきつく抱きしめながら交わされる同じ質問。




…絞まってる絞まってる!!!




「く、苦しいよ、



抱きしめ合っていると思っていたのは、どうやら俺だけだったようだネ。


「あはは、寝てるのかと思った」

「だからって本当に絞めないでヨ!!」

「ごめん、ごめん」

「もう…随分静かになったネ」

「みんな宴会に行ったみたいだよ」


そう、今日は新入隊士歓迎の宴がおっぱじめられていた。←何語。


この屯所内ではなく、他の場所で。


今は、俺を始めとする2番隊の隊士と賄いのだけが屯所にいる。

俺は良いけど、隊士の皆は可哀想。

だって宴会にも出れないんだから。

俺?

俺は、ホラ。

がいるから。


「新八?」

聴いてる?とが俺の顔を覗き込む。


俺とは俺の部屋で同じ布団に寝転がってる。

俺はに背を向ける形で、はその俺を覗き込んで見ている。


「聞いてるヨ」


「言って」


「…」


「新八」


「…」



しばらく続く沈黙。


そんなの、答えは決まってる。


好きじゃない子となんて、一緒の布団で寝れると思う?


俺、そんなに軽くないヨ。


て言うか、そんな奴この新撰組にはいないヨ。

ぁ、副長ならやりかねないカナ。


…今のは聞かなかった事にして。←何。


「もう良い」

「へ?」

「新八なんか知らない。あたしも宴会いこっ」

「ちょ、?!」


ちょっと、宴会ってあいつ等のいる!?


勿論、あいつ等=平助・佐之…そして総司!!だヨ。


みんながを狙ってる。

平助は相変わらず可愛い子が大好きで、も勿論その部類に入ってるし。

佐之は料理が上手くて明るいにゾッコンだし。

総司は…もう見てて分かるぐらいの事好きだし。

平助や佐之はまだ良いケド。

総司はゼッタイに危険。

何か人のオーラじゃないんだよネ。

鬼とか、そんな次元じゃなくて、もっと禍禍しい…

!!こんな事思ってたら呪われちゃうヨ…。


…ただでさえ放っておけないのに、酒が入った野郎の中にを…!!


危ない、危な過ぎる。

そんなのできる筈が無い!





断・固・阻・止!!!!!!!






、ちょ、ちょっと待ってヨ!」

「永倉さんなんか知りません」

急に『永倉さん』なんて呼び始めて、敬語になったりして。

俺の焦りをかきたてる。

「そりゃ無いデショ!?」

「そりゃ無いのは永倉さんの方でしょう?」

「…ごめんネ?」

「許しません」




チャーン…。涙。




立ち上がって部屋から出ようとする




「御願い、待って」



その袖を俺は掴む。

ピタ、との足が止まる。



ほっ。



「永倉さん?」


「何?」


「離して下さい…大声で叫びますよ?」




…。涙。



どうして?


言葉にしなくても、伝わってるデショ?



こんなに好きなんだから。



「離して下さい」



どうして?


こんなに近くにいるのに。


伝わらない。


袖を掴む腕につい力が入る。


「きゃっ」


小さな声を上げて、が布団に倒れこんできた。


「あ、ごめんネ…?」


やばい…。


更に怒らせちゃったカナ…。汗。



?」


が何も言わない。


けど、さっきから小刻みに肩が震えているのは…気のせいでしょうか?


そして、押し殺したような笑い声。



…笑い声?



「あ、あの??」


「あーもう、おかしい!!新八ってば、本当に慌てちゃって…」


あははは、と笑い転げる


何?


怒ってたんじゃないの!?



「ごめん、俺、理解できないんだけど…」


「ごめん、ごめん」


涙を流しながら笑う


俺の頭にはハテナしか浮かんでなくて。


「ちょっと、からかってみました★」


バチコーン☆ウインク付きでは言い放った。


一瞬機能が停止する俺の頭。


って言うか全身?



だんだん分かってくる。



え。


じゃぁなに。


あれ全部、演技?


そして。


俺だけ焦って…ばか?



「あ、あのー新八…?」



俺が黙っているのを不思議に思ったのか、笑い終えたがおずおずと言う。



?」

「あ、え、何?」



「天誅!!」



俺はのおでこを指で弾いた。



「いったぁーい!!!!!」



俺をからかうなんて100年早いヨ。

でもすごくほっとしている自分が笑える。

何するのよー!とデコを押さえて痛がるを抱きしめる。


「…新八?」


あはは、驚いてる驚いてる。

次は俺が仕掛ける番だネ。



「俺は、が好きだヨ」



そう。



好きじゃ足りない。



言葉じゃ足りない。



好き過ぎて、言葉じゃ伝えられない。



ねぇ、もそうデショ?


も言って?」


「え?」


「俺の事、好き?」






「勿論、愛してる」






ふふっとは軽く笑いを含ませながら答えた。


そう。


2人とも、言葉じゃ足りない。


夜は長い。



今日は誰もいない。




言葉じゃ足りないから。




香りを交わそう。




■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

遠回しにちょっと方向転換な感じ。
あはは。
本トはもっと大胆にやりたかったなァ…ねぇ、新八さん?笑。
て言うか、今回の永倉さん、ちょっと性格おかしいですね…
ま、気にしない気にしない。←おぃ。
毎回思うんですけど。
カタカナ英語、幕末には無いですよね。
プレゼントとかデートとかデコピン(これは…?)とか…。
日本語にできるものは買えてますけど、
ウインクって日本語で何て言うんだー!!??
さっすがに上手い表現が見当たりませんでした↓。

それでは、8300ゲッター沙樹さまに捧げます。
ふつつかな作品では御座いますが、感想など頂けたら幸いですw
ここまで読んでくださってありがとうございました!!