【BLEACH】
教えたい事 見せたい物 あり過ぎるのよ
言葉や仕草は あなただけのために あるから
「あら。お久しぶりね」
ある日の公園。
犬の散歩帰りに立ち寄ったその公園で、久しぶりのカオを見つけた。
「じゃねーか、久しぶりだな」
に、とどこか照れくさそうな、でもどこか大人びた笑いを浮かべて彼は立っていた。
彼の名前は日番谷冬獅郎。
白銀の髪に、小さな背丈。
身に合わぬ刀を背負った、少年だ。
「はい、お久しぶりです。お仕事ですか?」
「まぁな、たまたま…こっちに出てきたから寄ってみた」
「あら、あたしに会いにきてくれたんですか?」
くすくす、と笑いながら冗談のつもりで言うと、彼はあっさり「そうだ」と答えた。
「まァ、いつになく素直なんですね」
幾分か拍子抜けして、あたしは笑みを消した。
「俺はいつだって正直だよ。お前は元気だったか」
「…えぇ、変わりなく」
笑いながら続ける彼は“死神”と言うものらしい。
あたしは間違いなく“人間”だけれど、何故だか彼が見える。
霊感は皆無だと、思っていたのだけど。
彼と出逢って、付き合いを始めてからおおよそ3ヶ月が過ぎようとしていた。
「最近涼しくなってきたな」
「そうですねぇ、夏もそろそろ終わりですか」
「秋だな」
「えぇ、もう秋ですねぇ。早いものです」
出逢った頃は、桜咲く春だったと言うのに。
「秋過ぎたら冬だな」
「…なァんでそういう事言いますかね、あなたは」
遠い目をして答える。
あたしが冬、苦手だって知っているくせに。
寒がりだから、仕方無いのよ。
「今年の冬も寒くなるんじゃねーか」
「…うわぁ…最悪ですね。常にストーブ付けてバッチリ防寒して頑張りますよ」
「そんな寒いか?大体ストーブって何だよ」
「ストーブは暖房器具ですよ。でも一番寒いときは眠る時ね。
あの布団の冷たさといったら…!」
思い出すだけでも冷たい。
あたしははぁ、と溜息をついた。
「オイオイ、まだ秋にもなってねぇんだぜ?
…そんなに独りで寝るの寒ィんだったら、俺が一緒に寝てやろーか?」
にや、と笑いの付いていそうな声。
「…なァに言ってんでしょうね、また。このひとは」
こうサラりとは返しているが、実際は。
何言ってんの、この可愛い子は――――ッ!!!!
って感じなんですよ?
あたしって我慢強い!(黙れ)
「独りで寝っから寒ィんだろ、だったら二人で寝りゃぁ良いじゃねーか」
けろっと彼は返してくる。
意味が分かってるのか分かってないのか、どっちでしょうか。
あたしも一応は年頃(18歳)の娘なのですが。
「でも冬獅郎、あなた手とか冷たいじゃない。一緒に寝たりしたら逆に冷えちゃいそう」
誤魔化すように笑い続けてやる。
が、彼はそんなに甘くなかった。
「お前は俺と一緒に寝たくねーんだな?ふーん、そうか」
上目遣いで言って、ふいっと視線を逸らしやがる。
このひと、絶対狙ってやってる。
あたしがこういうのに弱い事を知ってて。
「そ、そう言う事では無いけれど…」
「じゃぁどういう事なんだ?」
「…照れるだけよ」
今度はこちらがカオを逸らす番。
「ま、分かってたけどな」
言いつつ彼はあたしの視界へ回り込む。
「お前の苦手な冬も、二人でなら乗り切れっだろ」
にーっと彼は得意げに笑む。
そう言えば彼はよく笑うようになったな、と思う。
初めて逢ったころなんかはずっと眉間に皺寄せて、だんまりだったのに。
今もそりゃァ皺寄せてる時間の方が長いけれど、よく緩むようになった。
それがあたしの前だけだと良いな、なんて思うのは傲慢だろうか。
「さ、そろそろ日も暮れるし帰ェるか」
そう言い、自然と手を握ってくる。
相変わらずひんやりと冷たい手。
「お前の手、温かいのなー」
何が可笑しいのかくっくっくと笑う彼の横顔を見つつ、あたしは帰路についた。
この冬を 越えて
もっと 素敵に なってね
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サテ、最初と最後の部分はKinKi Kidsの愛のかたまりと言う曲の一部です。
この曲好きなんですよー。
テーマに抜粋させていただきました。
このほかに『あまりに愛が大きすぎると 失う事を思ってしまうの』とか言う詞が
あって、素敵だな〜その通りだな〜とか思ったりしています。
本当に作詞作曲をなさる人はどうしてあんな素敵なモノができるんだろう?
…ウチの小説も何とかならないだろうか(無理だ)