「♪」 「何?」 「こ〜れっ」 友人が差し出したのは一冊の単行本。 「あー!!ハガレンじゃん♪貸して貸して」 「いーよ〜、もち♪ロイ大佐かっこ良すぎ!!鼻血もの!!」 「ロイ大佐はいっつもかっこいいよ〜」 これがたちの日常的な会話。 は最近、ハガレンこと『鋼の錬金術師』を読み始めた。 「うわー、早速読もっ」 家に帰るなり、はベッドに横になると本を開いた。 「〜、お願い、買い物行ってきて!!」 「ぇえ、」 がっくり、うなだれる。 「お願い、母さんちょっと手が離せないの〜」 「ったく、しょうがないなぁ」 おのれ、お母さんめ…。 ここでの話を少し、しておこう。 の家は代々忍者の家系だ。 まぁ今の時代、忍の仕事なんてあるわけない。 確かに術式や体術は学ぶが、忍を専業している家は殆ど無いと言って良いだろう。 の家も、勿論例外ではなかった。 忍の才に恵まれたは、既に大体の術は記憶したし、体術に至っては免許皆伝。 その点で言って、天才の域だったと言える。 と言っても、日常生活にゃてんで役に立たないものばかりだったが。 「ねぇ、お嬢さん?占い、していかないかぃ?」 「…は?あたし?」 「占いだよ、う・ら・な・い♪」 ウワァ…。 の顔にドン引き、という表情がうつる。 「お生憎様、こと占いに関しちゃあなたより上のつもりなの」 「それじゃぁ、もっと上に興味無いかい?」 「…」 は眉を寄せた。 もっと、上ですって? 「1つ良い事を教えてあげるよ、この本なんだけどね」 「…押し売り?」 「違うよ、君が買わなきゃ良いだけだ。これさ」 「召喚陣…?」 「何か、飼ってみないか?」 ニヤリ、と笑う占い師。 顔は良く分からないが、見える口元が気味悪く笑む。 「良いわね、飼いましょう」 嫌な趣味かな、あたし。 そう脳の隅で思ったが、日常に退屈していたは試しに、とニヤリと笑った。 興味がないわけではなかった、お金を払う価値があったかは分からないけれども。 「買ってきた?ありがとー」 「イイエ、いい買い物ができたから」 「?」 お母さんは、目を丸くして首をかしげている。 そんなきょとんとしないでよ。 は自分の部屋へ入ると、さっそく本を開いた。 …こんな術陣見た事無い…。 少々の不安と大きな好奇心を胸に、は陣を描く。 最後、○の端をつなげた時、バチィ!!と大きな音と強烈な光が走った。 次の瞬間には、の意識は白とびをした世界に放りこまれた。 『ようこそ、=…君は真理を観る勇気があるかな?』 「あんた誰よ」 『よく訊いてくれた!俺はおまえ達が“世界”と呼ぶ存在』 『あるいは“宇宙”、あるいは“神”、あるいは“真理”、あるいは“全”、あるいは“一”』 「まさか」 まさか。 はぐっと拳を握った。 『そして俺は“おまえ”だ』 「あたしは望んでないけど、“真理”なんて」 『しかし着ちまったもんはしょうがねぇだろ?見てけよ、“真理”』 「…等価交換、でしょ?あたしから何を奪うつもり」 『…元の世界の存在、だよ』 それからは、良く分からない。 ただ、ハガレンに書いてあったとおりだ。 大量の情報。 脳に直接流れ込んでくるそれは、どうにも抗いようがない。 そしてそれを唐突に“理解”した。 元々忍として、世界の成り立ちについて“理解”がある方だとは思っていたが。 こんなのって、無い。 苦々しく、は眉を寄せた。 そしてフと気付く。 「ここは何処…」 召喚するつもりではいたが、召喚される気は毛頭無かった筈だが。 目の前には川が流れている。 現実とそう変わらぬ風景、だけどどこかに違和感があった。 どうやらはあの“真理”とやらから放り出されて、変なところに来てしまったらしい。 まぁ、取り敢えず。 あの『透明』が言うには、自分はその“真理”とやらを観た筈だ。 は一気に気を集中させる。 周りの空気がすっと冷えた。 ぱん! 両手を軽く叩く。 そして。 ばん!と寝ていた草の上に手をついた。 バチィ。 練成反応の際に起こる光が走る。 さっきの動作はハガレンお馴染みの練成法。 そして。 「やっちゃった…」 できあがった草かごを見て、は苦笑いする。 まさか、嘘だろう。 でもこれが現実?それともあたしはいつの間にか寝てしまっていたのだろうか? いや、自分は、来てしまったんだ、と。 ―NEXT→ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ はーぃ、ハガレン夢。 始めました\(^o^)/ いーやー、参った。 これから続きます!! |