【鋼の錬金術師】 19 〜雨〜



「そこまでだ」




た…いさ…だ。




はゆっくりと首を動かした。

後ろに中尉や少尉もいる。




「危ないところだったな、鋼の。そして、?」

「大佐!こいつは…」

エドが大佐に向かい、問う。






「貴様、何をした!」





大佐が答える前に、スカーがを睨み据えた。




「何をした…?別に何も?」

は素知らぬ振りで告げる。

「(体が、動かぬ…!!)」

スカーの考えていそうな事が分かる。


当然よね。


“影”が物質化するなんて。



しかし危なかった。


もう少し雲が厚かったら、時間が合わなかったら。


“影”はできなかった。


とスカーが睨み合う。


「あなたが敵に回す奴等は、こうゆー奴等よ。
 あなたの目的の為だけに死んであげるほど、あたしは優しくない。
 そして、あなたがしている事を神威だとも思わない」


…」

エドの呟きで、は我に返った。





………しまった!!






ベラベラ喋って、あのシーンを逃した!!


な、何とか話の軌道を戻さないと…。



「た、大佐!こいつは一体何なんですか?」


は急に大佐に話を振った。


「あ、あぁ、その男は一連の国家錬金術師殺しの容疑者…だったが、
 この状況から見て確実になったな。
 タッカー邸の殺害事件も貴様の犯行だな?」


エドがぎっとスカーを睨み上げた。



良かった…。



話が戻ったよ。


これで、やっとあの発言が聞ける。


あーもう、ワクワクする!!


は1人うふふ、と奇妙に笑う。


そして気付く。

“影”が薄まっている。


雲が厚くなっているのだ、“影”が消える。


スッとスカーの体を縛っていた“影”が消えた。


「…どうあっても邪魔をすると言うのならば、貴様も排除するのみだ(…動ける!!)」


スカーが一瞬を見る。


そのは今だ奇妙な笑いを浮かべている。←変態。


「おもしろい!」


大佐が拳銃を中尉に投げる。


「マスタング大佐!」

「お前たちは手を出すな」

そう言いながら大佐は手袋をはめる。

「マスタング…国家錬金術師の?」

「いかにも!『焔の錬金術師』ロイ・マスタングだ!」

「神の道に背きし者が裁きを受けに自ら出向いて来るとは…


 今日はなんと佳き日よ!!


スカーが歩き出す。


「私を焔の錬金術師と知ってなお戦いを挑むか!!愚か者め!!」


大佐が指を擦ろうとする。

スカーが走り出す。


「大…」


バシィ!!


中尉の足払いが見事に決まる。

「おうっ!?」

大佐がバランスを崩し、そのスキを付いて中尉がスカーに発砲する。



かっこウィー!!!



再び距離ができる。


「いきなり何をするんだ、君は!!」





「雨の日は無能なんですから下がっていてください、大佐!」














出ましたー!!!!!!









「ぁ、そうか、こんなに湿ってちゃ火花出せないよな」



少尉正解★←何だお前。


ふっふっ腐っ腐。



中尉素敵過ぎるよ…。感無量。



そしてその後、無敵過ぎるアームストロング少佐の登場により、取り敢えず事件は落ちついた。



「アルフォンス!!」


エドの声に驚いて見ると、あの兄弟ケンカが始まっていた。


それを微笑ましく(?)見守る


その目の前に大佐が入った。



そして。




ぱん!



軽い、音。



その後からきたのは鈍い痛み。



数秒して、は自分が大佐に頬を叩かれた事に気付いた。



「た、いさ?」


「何故黙っていた」


「何が?」

「とぼけるな」

「ごめんなさい」

「私がほしいのはその言葉じゃない、分かるだろ?」

「どうして国家資格なんて取った?」

「…そ、れは」


自分の世界に帰る為。



そんな事言えるかァ!!!



「あたしがあたしで在る為です」

「…だったら何故、私に頼まない。ヒューズなんかに」

「…大佐、それはやきもちですか?」

「ふざけずに聞きたまえ!私に言えない理由でも、あったのか?」

「…」




「分かった」




が黙っていると、大佐はそう言って踵を返した。



ちゃん、良かったのか?」

立ち代りに寄ってきたヒューズ中佐。

「何がです?」

「ロイにちゃんと、言わなくて」

「言えないですよ…」



あなたの支えになりたいから。



あなたを守りたいから。




そんな事、口が裂けたって。







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はぃ、何だか微妙。

一体何がしたかったんだろう?←訊くな。