【桜蘭高校ホスト部】








「帰る」


家に帰るなり、は言い放った。

大きい目をさらに丸くして、青は歓喜を叫ぶ。


「…もう、どうだっていい」


の呟きは、かすかに青の耳に届いたが彼は聞こえない振りをした。











【扉は鍵が掛かっていた】
















「鏡夜!」


一方、ホスト部ご一行様はと言うと。


「どうした、環。そんな血相変えて」


慣れているのか、さらりとかわす鏡夜に環は苛立ちを募らせる。


「今、ここで何を話していた?ハルヒと!」

「せ、先輩には関係無いでしょう!?」

「その通りだ、何故そこまで干渉されなければならない?」

「…お前達がそう言うなら何も言うまいさ!

 だが一つだけ言っておくぞ、さっきまでそこにが居た」


「「な…」」


二人が同時に息を呑んだ。


「部活を休むと言って帰っていったぞ」


環の真っ直ぐな視線が、鏡夜を射る。


「何って、聴かれてまずいことなんて全然…」

「本当か?会話を全部聴いてたわけじゃない、ところどころ聴かれて誤解を生んでないか?」

「そんな、ことは」


無い、なんて言い切れない。

ハルヒが少し青ざめて俯く。



「何々、廊下で騒いでどうしたのさ」

「また殿が何かやらかしたの?」



「何でお前達は俺がらみと考えるんだっ!今日は鏡夜だ!」



環の抗議の声に呆然とする双子。





「ちょ、殿、“きょう”は“きょう”やだ とか駄洒落言っても面白く無いから…」





「違うわーーーー!!!」


環の必死な抗議もスルーされ、双子はハルヒに向き直った。


「で?」

「んー…ちょっと、まずい展開…かな」


ハルヒの呟きに、鏡夜は顎に手を寄せ考え始める。










「おかえりぃ、早かったね」


にっこりとを迎える青、自称婚約者。


「ただいま」


そんな青を尻目にげんなりな、不機嫌絶頂。


「どうしたの、機嫌悪いね?」

「分かるだろう、誰のせいだ」

「さぁ?」


コノヤロウ。

でも、実際。


「ほんとう、誰の所為なんだか…」


額に手をやり、は玄関で蹲った。

がたっと音がして、だだだっと足音。


!?」


あ、とは見上げる。

血相を変えた青が、を見下ろしていた。


「平気か!?」


(あぁ、もう、このひとは)

は苦笑をもらす。

自然に漏れた笑みは、ふわりと風に流されて、涙を消した。


「ん、平気」


にこりとは笑う。


「そか」


よかった、青がそう笑いかける。





「うん…帰ろっか…」





怒涛に過ぎた波乱万丈な一ヶ月、わたしは、精一杯の夢を見た。















「鏡夜、本当に良いのか」


環がいつになく真剣に鏡夜に詰め寄る。


「だから、何がだ」


そんな環を尻目に、開店の準備を始める鏡夜。




のところに行かなくて良いのか、と言っているんだ」




暫くの沈黙。

重苦しいその空気に耐えかねたのは。


「先輩、自分が行きますよ」


ハルヒだった。

環が「ハルヒ!」と目を輝かす。


「では、今から車をっ…」


そう環が携帯を手に取ったところで。






「でももう無駄だと思うなぁ〜」







いつものほんわかした口調に、少し冷淡さを乗せた光邦が呟いた。


「どういう意味ですか、ハニー先輩?」

「…だって、もう手遅れだもん」


拗ねたような声音。


「ねぇ、崇?」

「あぁ…は、今さっきマンションを引き払って…」














「イギリスへ向かったらしい」






















静寂がその場を、一瞬、支配した。







TO BE CONTINUEDE!!


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さて、やっとこさ進んだぞぃ!!
佳境だ!