【桜蘭高校ホスト部】
「?」
どうしたの、と青が問いかけた。
目の前に広がる庭園と、アンティークのティーカップに、有名な紅茶の葉を浮かべて。
と青は優雅にティータイムを決め込んでおりました。
「別に」
「さっきからそればっかりだよ」
「…だって」
だって、(退屈なんだもん)はその言葉を飲み込む。
【扉はいつも開いている】
「紅茶、嫌いだっけ?」
「そんなことないけど」
イギリスの東宮邸に戻ってきて、家族は勿論使用人たちも歓迎してくれたし。
一人で食べていたご飯も、お茶も、今は一人じゃない。
(あれ…)
「独りじゃないときも、あったっけ」
「…?」
大切なこと、だけど本当に些細なことを忘れている気がする。
バババババババババ!!!!
「な、何だ!?」
「…ヘリだ」
突然舞い起こる、風。
ヘリポートから流れてくるであろうソレに、二人は立ち上がる。
(まさか)
東宮家のヘリポートに直接乗り込んでくる、こんな無茶苦茶なやり口に心当たりなど一つしかない。
「!」
「た、環!?」
(あぁ、このひとたちは)
は駆け寄ってくる環を唖然と見た。
「黙っていくなんて水臭いじゃないか!俺はお前の父さんだろ!!」
「…いや、環は別にあたしのお父さんじゃないよ」
ぽかんとしつつもいつものように返す。
「ちゃ〜〜〜ん」
泣きべそかいてる光邦に、むっすりしている崇。
「ちょ、光邦、何泣いてんの!?」
「がいなくなっちゃうからだよ!また独りでいなくなっちゃうの!?」
(ほんとうに)
ぷ、とは思わず噴出した。
可笑しかったわけじゃない、何だか自分が馬鹿らしくて―…。
「な、何だよ、君たちは!」
「青。」
「…!こいつらッ」
「青、駄目だ、あたし―…」
「!許さないよ、そんなッ」
「許さない、で、どうなさるおつもりなんですか、桐生家のご子息」
「きょ、」
(鏡夜)
いつもと変わらないその立ち姿に、少しくらりときた。
(あたしも相当末期だな)
額を押さえて、笑いを堪える。
「大体お前もお前だ、何してる、」
「何って、きょ「まだ約束のノルマが達成されていないのだが?」
「鏡…「。何をしている?」
環の言葉を遮って、鏡夜は続けた。
真っ直ぐな鏡夜の視線が、を射た。
「戻って来い、」
(単純だ)
人の話を一切聞かない。
しかも命令形。
ふらりと一歩を踏み出す。
「っ」
「青、青、ごめん」
「やっぱりあたしに、夢は捨てられない!」
鏡夜に夢を抱いていた。
環に夢を抱いていた。
光邦に、崇に、夢を抱いていた。
変わらぬ毎日に、新しい風を吹き込んでくれたホスト部に、夢を抱いていた。
下らない冗談だと笑われるかもしれない。
夢を抱くだけ無駄だと笑われるかもしれない。
「ッ、良いのか!?」
「………うん。青、ありがとう」
微笑んで、それで青は押し黙った。
それを見て、は一歩、また一歩と夢へ近づく。
「で?これはどこのヘリなんだ、須王か?」
「いや?」
「じゃ、常陸院?」
「「違いまーす」」
「?」
「…鳳だよ、今回は鏡夜がヘリを出した」
あの、滅多なことでは動かない鳳の鏡夜お坊ちゃんが!?
「何だ、その意外そうな顔は」
「だって、鳳のお坊ちゃん…」
「誰がお坊ちゃんだ、この経費の分はきっちりお前に払ってもらうから心配するな」
「え!?」
「御託はいい、………帰るぞ、」
パタンと黒いファイルを閉じ、に視線をやる鏡夜。
その口元が緩く持ち上げられる。
「………しょうがないな、お坊ちゃんの頼みならさ」
TO BE CONTINUEDE!!
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
あと2話ぐらい小話入れて連載終了です!
でもこの連載…山が無かったなぁ。