【桜蘭高校ホスト部】 〜環イメージアップ大作戦。〜
「まず環の良い所を言ってくれ」
「「はい!単純!」」
常陸院ブラザーズが声をそろえ、挙手とともに発言。
「タマちゃんは真面目だよねぇ」
至って真面目に答えてますよ、ハニー先輩。
「…情が深い…」
ボソッと言ったのは勿論、モリ先輩。
「ありません」
「「ハルヒ…………」」
一番核心を突いたのはハルヒでありました。
「ハルヒ、これは環のイメージアップをはかる会議だ、嘘でも長所をあげてくれ」
「鏡夜先輩、それは無理な注文です…嘘はいけませんよ」
「ハルちゃん、タマちゃんがかわいそうだよ〜」
そもそもなぜこんなことになったのか?
原因はこのHPの『誰との夢が読みたいですか』投票に寄る。
続々と票数を伸ばす中、一人だけ順位が上がらない奴がいる。
…桜蘭の理事長子息にして、ホスト部部長、あのキング須王環である。
「これは由々しき事態だねえ」
光邦の言葉により、ここに。
【須王環イメージアップ大作戦】
が発足したのである。
「大体それは先輩自身の問題なんじゃないですか?自分には関係が無いように思うんですが」
「「同感〜」」
「お前たちは、環のイメージがダウンすることの意味が分かっているのか?」
鏡夜の台詞に、黙る1年。
「この部の指名率7割を占める環の人気が落ちるということは、この部の人気も落ちるということ」
それが何を意味しているか、分かるか?と鏡夜は続ける。
徐々に鏡夜を取り巻く空気が冷えていっているのは気のせいでしょうか。
「では、続けて、環の長所を」
「ん〜、あったかいよね、何か」
「「暑苦しいの間違いじゃないの…?」」
「分っかんないかなぁ、あったかいんだよ。…普段は暑苦しいけど」
はん〜、と悩みながら言葉を選ぶ。
(選ばないと鏡夜に殺される…)
しかし自分が間違っているとは思わない。
本当に、あの人はあったかいから。
「フとした瞬間に思うんだけど、あの人はあったかいよ」
「まぁ確かにね、良い奴じゃなかったら俺たちも一緒に部活なんてやりゃしないし」
「それもそうだねぇ、みんなは何でタマちゃんについていこうと思ったの?」
光の言葉に、光邦も賛同する。
(何でこの人と一緒に部活をやろうと思ったのか?)
確かに疑問だ。
「「そりゃ面白いから」」
「退屈しのぎだな」
双子と鏡夜の言葉に、はため息をつく。
「あんたら、それ環の人柄と関係無いじゃん」
「たしかに」
「そういうはどうなんだ?」
鏡夜の言葉にう〜んと唸る。
だが考えてもみろ。
(あたしは鏡夜に言われたからこの部にいるのであって、あたしの入部動機に環は関係ない!)
お粗末さまでした。
「あたしこそ入部動機と環が関係無いんだけど…」
「あ、自分もです」
ハルヒも賛同する。
それもそうだ、ハルヒは部に借金があるためにこの部に所属しているのであって、
環についてきたワケではない。
「て言うか、何で環が部長なの?」
の問いに、馨が「それだ!」といった。
馨に視線が集まる。
「何だかんだ言って、殿が適任なんだよ、部長」
「そうだな、まぁ少なくとも俺の器じゃない」
フと綺麗に笑って、鏡夜が言い放った。
(きょ、鏡夜さん…あんたは副部長が一番似合ってますよ!!)
と言うか鏡夜が部長になったら、と想像するのも恐ろしい。
どんな恐怖政治が待っていることやら…部員たちは影で冷や汗を流した。
「そ、それもそうだね!!」
は必死で同意した。
(あの笑顔の末に待っている地獄を避けなければ…!)
「まぁ、とにかく。環のイメージを上げなければどうにもならない」
鏡夜の言葉に、またも部員たちは唸り声を上げる。
「環の容姿についてはどうだ?」
「そりゃ〜、見た目は良いと思うよ」
「そうそう、王子様〜って感じ。ハーフだしさ」
鏡夜の問いに双子がそれぞれ答える。
「…ならば容姿は問題なさそうだな、では次」
そう言いながらファイルに何かを書き込む鏡夜。
(あんた何書き込んでんだ…!!??)
すごく気になる、あの黒いファイルの中身。
「容姿も問題なし、家柄も言うまでも無い」
「それにタマちゃんは結構お勉強もできるからねぇ〜」
光邦の言うとおり、環は鏡夜に続く成績上位者、つまり学年次席だ。
(欠点と言える欠点は何処にも無い気がするけど…)
「「じゃぁやっぱり問題なのは殿の性格じゃない?」」
「話戻っちゃいましたね」
双子の発言にはげんなりとした。
「では逆を考えてみてはどうでしょうか」
ハルヒが冷静に言い放った。
「何故鏡夜先輩は人気があるのでしょう?」
(((((そ、それは………!!!)))))
鏡夜とハルヒを除く部員全員が騒然とした。
「「…そ、それは僕らには分からないな…」」
双子の言葉にも頷く。
(だって多分だけど…その理由はここで口に出して言えたものじゃないもの)
そう、例えば“腹黒い”とか“裏表のギャップ”とか。
「フとした瞬間の優しさ、って言うか…そのギャップじゃない?要は」
はとりあえずそう口に出した。
「ギャップか」
確かに、と鏡夜は繰り返す。
「女性の好みそうなものだな」
「だったらタマちゃんにもギャップがあれば良いんじゃない〜?」
光邦の言葉を受け、全員が普段の環を想像した。
「ご免、取り付く島も無いわ」
環にはどんなギャップも見出せない部員達なのでした…。
もしかしたら会議は第2回目もあるかも。
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何かよく分からないお話できちゃった。
随分前にこれの前半を書いていたので、
どんなオチかも忘れちゃいました(痛)
とりあえずこれはこれ、本編書きます〜www
単行本も出たわけだしねw