【PEACE MAKER】 〜無敵に不滅!!〜
「へ〜いちゃん♪」
「なぁに、」
「はい、お弁当♪」
「あ、ありがとー★今日のオカズは何?」
「はいはーい!!!ハンバーグとあたしの平ちゃんへの愛ですッ!」
「〜」 「平ちゃ〜ん」
「もう愛してる!!!」
平助の言葉に、あたしは大きく頷く。
「当然♪♪♪」
「ちょっとそこのバカップル、ここどこだと思ってんノ」
ここは生徒会室です、永倉先輩。
「なぁに言ってんの新八っつぁん?ここは生徒会室だよ?ボケちゃったの?」
平ちゃんの言葉に、ブッツンと大きな音を立てて新ちゃんの中の何かが切れた。
「そう!ここは生徒会室であって、君たちが愛を語り合う場所じゃないワケ!!」
「新ちゃんのイケズ〜、良いじゃない、あたしも生徒会役員なんだから」
「平助は違うデショ」
「平助はあたしの大好きな彼氏だから」
「〜俺もだよ〜」 「も〜平ちゃんったら〜」
えへへ、とあたしと平ちゃんは顔を見合わせて笑う。
そう、あたしは、生徒会書記、そして藤堂平助の恋人!
「気持ち悪いよ、君たち!!」
新ちゃんがいい加減にして!と根を上げた。
「もう良いヨ、分かった。俺が出てく」
そう言って、新ちゃんは出ていった。
「二人っきりだね♪」
「うん、二人っきりだね!!」
あたし達は笑い合う。
こういう空気が大好き。
新ちゃんが居ても良いんだけど、やっぱり誰にも邪魔されずに二人で居たい。
ピンポンパンポーン。
『2年C組、藤堂平助、今すぐ職員室の土方の所まで来い』
邪魔された――――――!!??
あたしはバンっとハシを机の上に叩きつけた。
そして平ちゃんの顔を見る。
「行かないよ、を残して」
「平ちゃん…」
『今すぐ来い』
チッ。
「行った方が良いよ、平ちゃん」
「土方先生め〜…恨んでやる…」
きっと土方先生の後ろには沖田先輩がいるだろうけど…。
平ちゃんは渋々生徒会室を出て、職員室へ向かった。
あ〜ぁ、本当台無しになっちゃった。
あたしは机に顎を置いて、だらんと項垂れた。
「折角のお弁当なのに」
あたしはピンクのハートのランチョンマットで包みなおした。
はぁ〜。
結局平ちゃんは、昼休み中には戻ってこなかった。
放課後こそは!!
そう意気込んで行ったのに。
「え――――――!!」
「悪いね、くん、頼んだよ」
「何であたしがッ!大事な彼氏が待ってるんですぅ〜」
あたしが泣きつく。
「…そんな事は知らないよ…ただ、良いのかね?数学の単位、落としても…」
「ゲッ」
「成績表発布を前に、点は取っておいた方が良いんじゃないのかい?」
そう言って、笑顔で去っていったのは(実はこの学校で最も恐ろしいという噂の)山南先生だ。
「横暴だぁ…!!」
本当ツィてない。
数学担当でありながら図書館も管理する山南先生に、本の整理を命令…否、頼まれたのだ。
実はあたしは図書委員なのである。
そして実は、この間の期末考査で赤点を取ってしまった。
数学の成績と委員会の仕事は関係無いじゃない、山南さんのバカ――――!!!
平ちゃんとはクラスが違う。
溜め息をつきつつ、あたしは平助の教室のドアを開けた。
「はぁ…平ちゃん…」
「あれ、どうしたの?、溜め息なんかついちゃって…何かあった?」
ん?と平ちゃんが俯くあたしの顔を覗きこむ。
それであたしは顔を上げた。
「ごめん、今日一緒に帰れなくなっちゃった、悪いけど先帰って?」
「なぁに言ってんの、待ってるよ、昇降口で」
「え、でも結構時間掛かるし…今日稽古あるって言ってたでしょ?」
道場、とあたしは付け足す。
「そうだけど…でも、折角久々に一緒に帰れるんだし…」
「行った方が良いよ、大会近いんでしょ?ごめんね…それじゃぁ!」
あたしは平ちゃんにそう言い残すと、急いで図書室に向かった。
「って、何でこんなにあるのよ―――――ッ!!!」
あたしの目の前には山積みにされた本。
全部を縦に積み上げたら軽く富士山くらいありそうだ。涙。←それは妄想。
横暴だァ…山南先生ぇ…。
でもやるしかない。
あたしは渋々本に手を伸ばした。
チクタクチクタク――――……
ヴォ―――――ン!←何だそれは。
「終わったぁぁぁぁ!!!」
あたしはイスにもたれて伸びをした。
そしてフと窓の外を見やる。
「ん?」
外は既に真っ暗で、運動場の明かりにキラキラと光る物。
雪だ。
「わー…」
雪が、ハラハラと舞っていた。
寒い筈だ。
寒いし暗いし、一人だし。
最悪だ。
あたしはカタンとイスを引き、カバンを手に取った。
帰ろ。
昇降口に近づくにつれて、寒さは増す。
息が白くなる。
「さっむ〜…」
コートにマフラー、防寒具を来こみ、あたしはほぅっと白いい気を吐いた。
そうして外に出て、上を見上げた。
「お帰りですか、お嬢さん?」
後ろから聞きなれた声。
だけど、聞こえる筈の無い声。
恐る恐る振り向く。
「平ちゃん!!??」
ウ…ソ…。
何でいるの!!??
昇降口のところにもたれかかるようにして、平ちゃんが立っていた。
「まぁったく、遅いよ、。何してたの??」
「ちょっと山南先生に頼まれて…って、平ちゃんこそ何してんの!!??」
あたしは走りよる。
「を待ってたんだよ?良かった、待ってて。こんなに暗くなるんだったら心配だし」
ね?と、平ちゃんはへらっと笑った。
ね?じゃないでしょ!?
何時間こんな寒いところで待ってんのよ、ちょっと!!
平ちゃんの手を取る。
「うわっ、手冷たっ」
まるで氷のような冷たさだった。
あたしは白い平ちゃんの頬へ手をやる。
平ちゃんの顔を手で包む。
「冷た…ちょっと、大丈夫?」
「大丈夫大丈夫、ホラ、手が冷たい人は心が温かいって言うし」
別問題でしょ、それは!!
「それにの手、温かいしね…」
て事は、何よ、あたしの心は冷たいって?
そういつものように返せない。
「バカ…風邪ひいたらどうすんのよ…」
「それも役得?が看病してくれるでしょー?」
「バッカ!バカ平助!!」
あたしは平ちゃんの頬にやっていた手を首の方へ回す。
そのまま包む様に抱きしめた。
「あたしを心配させて楽しいの――――…?」
「ごめん、ごめん、。でも、どうしても一緒に帰りたかったんだよ」
優しく平ちゃんは言ってくれた。
「あたしこそ、ごめんなさい――――…」
「ヨシヨシ、可愛いなぁ。それに本当ってば温かい…」
平ちゃんはそう言ってあたしの頭をポンポンと撫でた。
「何よそれ、あたしの心は冷たいって言いたいの?」
涙目になりながら、あたしは平ちゃんの顔を覗き込む。
「冗談、はいつも心も体も温かいよ」
にへらっと笑って、平ちゃんとあたしは顔を近づける。
お互いの息がかかるほどの距離。
そうしてどちらからとも無く笑い出す。
「もう、ってば最高!」
「平ちゃんこそ!!」
「帰ろっか」
「うん」
あたしたちは手を繋いで、雪の降る暗い夜道を歩く。
今日は悪の帝王土方先生にその帝王すらも牛耳る沖田先輩、
そして優しい顔して鬼のような山南先生。。。
色んな人に邪魔されっぱなしだったけど、終わりよければ全てヨシ。
明日こそ、平助ともっともっと一緒にいるんだから。
あたし達の愛は無敵で不滅だ!!
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リクのあった平助現代パロ。
いやぁ、現代は書き易くて良いですネ!
カタカナ使えるし!!笑。