【PEACE MAKER】
だれかのためにできること。
「」
ねえってば。
聞こえてんデショ、何とか言いなヨ。
「」
「何」
「ってさ、神様信じる?」
「…何で」
俺は永倉新八と言う名で。
彼女はと言う名。
俺たちは同じ新撰組にいて。
俺は隊士で、は監察兼賄い。
「新八の口から“神様”だなんて、安っぽい」
「それ結構酷くない?」
「多分かなり酷い」
あたしだったら泣くかも、なぁんて冗談言ってる。
「が“泣く”なんて、神様より信じられないネ」
「それ普通に酷くない?」
「いや、周知の事実」
「アハハ、ひっど〜」
は明るく笑い、俺は地面に視線を落とす。
「でサ、さっきの質問」
「あぁ、“カミサマ”だっけ」
「そう」
「まぁいてもいなくてもあたしには関係の無い事ではあるわね」
そう言って君はおどけるけど。
「結論から言えば、いない方に一票、ってところかな」
「どうして?」
「どうしてって…いたとしてもその“カミサマ”ってのは―――……
何もしてくれないじゃない?願いだって、祈りだって、叶えてはくれない」
だったらさ、とは続ける。
「いないのと一緒だよ」
その横顔は、何処か遠い空を見据えていて、
とても強い眸だったけど何処か頼りなくて、
絶望を知っている眸をしていた。
「“カミサマ”は一つのイレモノに過ぎない。あたしたち自身が作り出した偶像だよ。
それで救われるなら理解しよう。けど、あたしが偶像崇拝をする事は無い。多分一生」
「は強いネ」
「は?」
どうして自分がそんな事を言ったのか、自身でも分からない。
とにかく酷く惨めで、が遠く思えて、ならなかった。
「新八はどうなのさ?」
「あぁ、“神様”?俺は…どうだろう」
信じてるワケじゃないけどサ、やっぱ祈りとかお願いとかしちゃうじゃん?
無意識の内にサ。
「やっぱり信じてるのかもしれないネ」
「…そう」
だったら、。
君は何に願うの?
何に頼るの?
「だって俺は無力だから。誰かに祈らないと、誰かの所為にしないと、生きていけないの」
無力だから、願う。
叶える力が、欲しい。
「新八は無力なんかじゃないよ?」
さも当然のように言うものだから、俺は一瞬目を見開いた。
「新八は力を持ってるよ、誰かのために動く事ができる、力」
「何ヨ、ソレ」
自嘲気味に笑って、俺は続けた。
「意味ワカンナイ」
「え?分からないの?新八ってば他の事とか良く知ってるくせに、自分の事だと鈍感だねぇ」
だって。
本当に分からないんだから、しょうがないデショ?
もったいぶらずに、教えてよ。
「新八はね、誰かを救う事ができるんだよ」
それって、自分で思ってたら自惚れになっちゃうでしょ。
「新八は気付いてないだろうけど、新八の気遣いや優しさはちゃんとみんなに伝わってるんだよ?
それで、みんな救われてる。
平助も、佐之も、勿論あたしも」
「俺はそんな偉い事できないヨ」
「うん、偉くなんかないよ?」
何言ってんのサ、ってば意味不明。
「新八は偉くなんかないんだよ?普通の人なの。
別に“カミサマ”みたいに力を持っているワケでもない、普通の人間なの。
むしろ童顔で小さくて、弱っこいの」
「…」
人の気にしている事をズバズバ言わないでくれる?
「でもね、あたしや平助や、佐之はね。
そんな“カミサマ”なんかとは比にならないくらい、新八の事信じてるんだよ」
キョトっと俺は目を見張るばかり。
俺が?
3人に信頼なんてされてる?
「新八はね、人を良く知ってるんだ。痛みも、悲しみも。
だから人を救う事もできるんだよ。
だから無力なんかじゃない。
あたしは“神”を信じないけど、新八は信じてるもん」
ね?とは俺に笑いかける。
無敵の笑顔だって、俺は思う。
「俺もの事、信じてるヨ」
「当然」
自信満々に言うか?普通。
「でも、神様もいると思う」
「まぁだ言ってんの?」
「だって、その方が…浪漫があるデショ?」
俺とが出会った事も、きっと運命って言えるから。
「くっだらない」
「もーってば、その内神罰が下るよ?」
「平気だもん」
「そんな事言っちゃって」
「だって新八が助けてくれるんでしょう?」
何、それはの変わりに神罰を受けろって事?
多分は俺を試してる。
「助けましょう、お姫様」
その信頼を裏切らないように。
その信頼を失わないために。
「ありがとっ、さすが新八♪でも、間違えちゃダメだよ?」
「何を?」
「新八は、他の誰かをかばったりして死んだりなんか、しちゃダメなんだから」
「は?」
「新八が死んじゃったら、あたしは信じるモノが無くなってしまうもの」
そんなの生きる支えが無いのと同じでしょう?
そうケロリとは笑う。
「をおいてなんて死なないからダイジョウブ」
その笑顔を手放さないように。
だれかのためにできること。
それは自分自身を大切に生きると言う事。
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相変わらず意味不明。
脈絡無くてスミマセン…!!!!(土下座
何て言うか、新八さんって人間を良く知っていると思いました。
…大人、そんな言葉がとても似合う人。