【PEACE MAKER】 〜もういいかい?〜
「ねぇねぇ、ちゃん、いい加減答え聞かせてよ〜」
「うっさいですよ、藤堂さん。あんまりしつこいと沢庵抜きますから!!」
「ぷっ、そんな脅しが効くのは土方サンだけですってば〜」
「そうだヨ、、もっと相手を良く見た方が良いと思う」
「永倉さん!言いつつつまみ食いしないで下さい!」
「ン?俺は何も食べてないって」
「って、アンタ等邪魔や―――――ッ!!」
包丁を片手に持ったアユ姉の怒号が炊事場に響いた。
「「「「ひぃ〜!!!」」」」
それに弾き飛ばされるようにして、他数名は炊事場から追い出された。
「もうッ!アユ姉に怒られたじゃない!!」
最低、とは地団太を踏んだ。
「えー、それもこれもちゃんがはっきり応えてくれないからだろー?」
平助にそう言われ、はギッと彼を睨んだ。
「でも本当そうですよ、さん、選んでいただかないと…」
総司も呆れ顔でそう呟く。
(呆れたいのはこっちだ!)
はむっすーと頬を膨らます。
「大体何で総司がいんのさ?」
平助の言葉に総司がにこりと返す。
「オヤ、私がいちゃいけませんか?」
「いや、そういう意味じゃねーけど」
しどろもどろになって平助は応えた。
「でも困ったネ、俺達全員、譲る気無いんだケド」
静かに、怖い事を言い放ったのは新八。
「じゃぁここは…さんの意思を尊重して…かくれんぼをしましょう!!!」
(…沖田さん?)
首を傾げる、とその他の男たち。
と。
いう事で、新撰組屯所内争奪大かくれんぼ大会が開催される事となった。
「それじゃァ決まり事を言いますね、言っておきますけど、破ったらハリ倒しますから☆」
にこやかに総司は言い放った。
「隠れるのはさんお1人、鬼は私達全員です♪
刻限は陽が堕ちるまで。
さんを見つけ、捕まえた方が公認の仲になれます♪」
総司の言葉にオーッ!と雄叫びを挙げるのが数名、静かに聞き入るのが数名。
「と言うか、あたしの意思はどうした!!!」
の言葉にシーンとなる面々。
「いないのでしょう?さんに気になるお人はいないのでしょう?
だったら、候補ぐらい立てても良いじゃないですか」
しれっと返す総司に、はぐっと言葉に詰まった。
「では…数えますよ?…さん、隠れてください!!!!
一!!二!!…」
総司の声が高らかに数え始める。
は周りの隊士を見回し、じりっと後ずさった。
(ひぃ〜!!か、隠れなきゃ!!)
とにかく今、反論を繰り広げる余裕は無さそうだ。
隠れなきゃ、ヤバイ!!!
みんなの目がヤバイ!!!!
チラ、と振り返ってみる。
いつもの温厚そうな笑顔で新八が、挑戦的に笑いながら平助が、
隊務から戻ってきたばかりの佐之助が、数字を数え続けながら総司が…。
(怖い!!!)
目が笑ってない。
とにかく真剣だ。
「ウソでしょぉ…」
は廊下を駆け抜けつつ、視線を元に戻した。
サテ、何処に隠れるのが得策なのか。
(ど、どォしよう〜)
どうしよう、どうしよう、それだけがの頭の中を支配していた。
「と、とりあえず自分の部屋にでも!」
自室へ戻り、オロオロとする。
布団でもかぶれと言うのだろうか?
「冗談じゃない!」
ダンっと畳を踏みつけ、はいきり立った。
「?そこにいんだろ?」
にや、と笑いが付いた声。
(原田さんだッ)
おろおろと部屋の中を歩き回り、ふすまの向こうに見える大きな影をチラリと見た。
(あの脳みそまで筋肉馬鹿な原田さんに見つかっちゃ最後、逃げ切れない!!(酷)
パニック寸前のの耳に、声が届いた。
「開っけるぞ、ちゃーん」
佐之の声がし、ガラッとふすまを開け放った。
しかしそこにの姿はいない。
「…れ?」
佐之は首を傾げる。
「おっかし〜な、いたと思ったんだけど…」
ぽりぽり、と頭をかきつつ佐之は部屋を後にした。
そのころと言えば。
「あっぶな〜…ありがとね、ススムっ!」
にこーとは烝に笑いかけた。
「べ、つにえぇけど…惜しいな、俺が参加しよったらは俺のモンやのに」
にやり、と烝が笑った気がして、の背筋に冷たいものが流れた。
「た、助けてくれてありがとうッ!それじゃぁあたし行くね!!」
ダン、と屋根裏から飛び降りると、も佐之の後を追うように部屋を出た。
「あっぶな〜、ススムが参加してなくて良かった〜…参加してたら絶対捕まってたよ…」
ホッと胸を撫で下ろすも、ここで落ち着いているわけにはいかないのだ。
(くっ…なんであたしがこんな事を…)
次に訪れたのは…。
「土方さん…」
そう、副長・土方歳三の部屋。
「何突っ立ってンだ、入りゃ良いだろ」
背後から、声。
ビックー!とは体を強張らせた。
「ひひひひ土方さん!?」
「何だよ」
相変わらず不機嫌そうに眉を寄せ、土方は戸を引いた。
「入るのか?入らねぇのか?」
どっちだ、と土方は言う。
慌ててはお邪魔します!と中に入った。
「んでお前は何してんだ、俺の部屋の前で…」
ドサッと腰おろしつつ、土方は問いかけた。
「いえ…って、土方サンも止めてくださいよ!」
「ア?何の話だ?」
「かくれんぼですよ、かくれんぼ!!」
「…かくれんぼがどうかしたのかよ」
「あーうー!土方さん話になりません!!」
「ァア!?」
一体何事なんだ、と土方は眉を寄せるばかりだ。
「とにかくかくまってくださいッッッ!!」
がそう言い押入れに隠れるのと、障子が開け放たれるのはほぼ同時。
「なァ!?そ、総司!!てめぇ、入る時ぐらい声掛けろってんだ!」
「ハイハイ、耳にたこ〜」
「総司ッ!」
(あぁ、土方さんでは沖田さんに敵わない…)
このまま総司に見つかってしまうのだろうか。
と、次の瞬間。
「あ、沖田さーん!」
(鉄くんだ!!)
明るい声がして、総司の注意はそちらへ向いた。
「鉄クン、見ませんでした?」
「え?さんなら調理場の方へ行ったのみましたよー?」
「有難う御座います」
にっこり、と笑みが付いていそうな総司の声にかすかな黒さを感じたのはだけだ(何)
(む、無理だ〜!!)
正直なところ、にだって好きな人ぐらいいる。
今、あのひとは何をしているのだろう。
「オイッ」
ザッと入っていた押入れを開けられ、外に出された。
「お前等一体何やってんだ?」
「だからかくれんぼですってば!」
中々煮え切らない土方に業を煮やし、は土方の部屋を出た。
「あぁもう、どうしたら良いの…!!」
の頭はパンク寸前だ。
(どこか、隠れるに良い場所…)
と、来たのはある一室。
「…取り敢えずはここにいましょうか…」
はそう言うと、その部屋の押入れにもぐりこんだ。
(どうか見つかりませんように…!)
「もう、ヤだよ。助けてよ…永倉さん…」
「…ん…」
は目を開けた。
「!!??」
いつの間に眠ってしまったのだろう、何ともお約束な展開には頭を抱えた。
(一体今はいつ?)
そろそろ、と襖を開け、這い蹲るように頭半分
「いらっしゃい、」
ピタ、との動きが止まる。
(まさか、まさか)
額に一筋の汗が流れた。
恐る恐る首を回し、姿を捉えようとした。
「、見ーつけた。俺の部屋へようこそ」
くすくす、と軽い笑い声と聴きなれた声。
の目に映ったのは柱にもたれるように座り、こちらを見ている新八その人だ。
「な、がくらさん…?」
「ハイ、永倉ですヨー」
笑いながら、ひらひらと手を振りつつの方を見ている。
「な、にしてるんです?」
「何って、かくれんぼでショ?見つけたヨ、」
「…て事は…」
「そ、は俺のモノ〜」
軽口を叩き、笑う。
「………と言うのは冗談で。良かったネ、見つけたのが俺で。
安心して?をどうこうしようとは思ってないからサ」
そう言って、新八はゆっくりと立ち上がった。
「ホラ、何してんノ。それともまだかくれんぼ、したいノ?
誰か、見つけてほしい人でもいた?」
微笑みつつの顔を覗き込む新八。
「そ、そんな事無い!!!見つけてくださって、有難う御座います…」
俯きがちにはつむぐ。
「そ?良かった」
にこり、と新八は笑む。
「でも、良く…」
「見つけたって?…当然でショ、見つけるヨ。
何処にいても、俺はを見つけ出す自信、あるし」
がバッと顔を上げると、新八と視線がカチ合う。
「、俺の名前呼んだでショ」
「え…?」
「が呼ぶなら、何処にいても駆けつけるヨ」
そう言いながら、新八はに手を差し伸べた。
「…あなたに、見つけてほしかった…」
は差し出された手を握った。
もういいかい?
まァだだよ。
もういいかい?
もう、良いよ。見つけて?
ウン、君が何処にいても、名前を呼ぶなら、駆けつけて、抱き締める。
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すげぇ長い割に中途半端だ!!!
すみませ…げふ(吐血)
蓮未さま、こんなんでも宜しいでしょうか…!!(泣きながら)
それではキリリク有難う御座いました!!(土下座)