【PEACE MAKER】 Slapstick 〜School〜
て言うか、アレ。
(北村くんって卓球じゃなかったっけ?)
素朴な疑問を胸に秘めつつは無意識に手首をぷらぷらさせた。
【生傷は若さの象徴ですよ。】
「ン?どした?」
考えもしない声が降ってきたので、思わず間抜けにも「え?」と言ってしまった。
既に時間はお昼であり、昼一の試合がたち1年B組女子バスケの第2試合である。
「?」
「別に?ところでさ、新八って競技何なの?」
「何だと思う?」
得意そうににやりと笑うものだから、は怪訝に眉を寄せる。
(思う?って訊かれても)
困る。
「卓球?」
「ブー」
「バスケ?」
「ブー」
「…じゃァ何なのさ!」
「答えは参加してない、でした」
意地の悪い笑顔。
「はぁ?」
「残念だったねぇ、一発であてたらジュースの一つでも奢ってあげようかと思ったけど」
くすくすと、笑う。
逆にはむぅっと拗ねるばかり。
ここは体育館で、皆昼食中だろうか、随分と静かだ。
「えー!?うそっ、そんなのアリ!?てか、そんなの当たるわけ無いじゃない」
の必死の抗議もサラリとスルーしていく。
「当たったら当たったで、俺きっとのこと避けてたヨ」
さすがにそこまで悟られちゃぁねぇ〜と新八は肩をすくめて見せる。
「ちょっと、ソレ違くない!?当たったら尊敬、とかそういう流れがセオリーなんじゃないの!」
「冗談だヨー。ま、実際そうなんだよネ。俺は球技大会には参加して無いんだ」
「何で?」
「生徒会運営だからネ、この学校の行事は基本的に。審判も俺たちがやってるのサ」
「ふぅーん…」
知らなかった。
(わたしも生徒会役員なのに)
きっと執行部だけで行っているのだろう。
「あれ、早いね!」
振り向くと平助が立っていた。
「見事に負けたね、平助くん」
にやにやと言うと、平助が腰に手を当てて憤慨する仕草をした。
「だって!しょうがないじゃん、エースの子が休んで急遽北村に出てもらったんだしさ!」
「あー、だからか。彼卓球って言ってたもんね」
「ま、次頑張れば良いじゃない、一敗したからって優勝狙えないわけじゃないしサ」
「や、やるからには全勝優勝したいじゃん!」
「無理だったけどネ」
「…ま、それはあたしのクラスがいただくとするよ!」
冗談交じりに言う。
「くっそ〜」
「女子も負けてらんない、か」
頑張りますか、とは腕を伸ばす。
「オヤ、珍しく本気?」
「だってさぁ…勝たないと煩いのが何人かいるから、あたしのクラス」
ぼやくように言うと、視線。
「ほぉー、誰の事や?それは」
予想通りと言うか何と言うか、烝が背後に立っていた。
「さー?誰でしょうねぇ?さーて、試合試合っ」
「待てや、逃げんな」
「…誰が待つかっ」
ダッと駆け出し、沙夜の方へ行く。
後ろでワイワイ言っていたけど、は知らないふりをした。
「あ、あの…怪我…」
おずおずと言われ、最初は何の事か分からなかった。
「あ〜…気にしないで、平気平気」
にっと笑って答える、心配無い、自分でそう思ったから。
試合開始のホイッスルが鳴って、また応援団に黄色い声援。
(もううんざり…)
は回ってくるボールを意図も簡単にゴールへと沈めた。
だがどうしても、人に言われると気にしてしまう。
「ねぇ、新八っつぁん?」
「なーに、平助くん」
「って…右利きだっけ?」
「…左だね」
試合から目を離さず、平助と新八は会話を続ける。
目が離せない。
第一試合では利き手である左を良く使っていたのに、今は右ばかり。
「「かばってる」」
平助と新八の声が重なる。
その次の瞬間、が相手のチームの選手と接触した。
バランスを崩し、相手がぐらりと傾く。
それをは支えようと手を伸ばした。
左手を。
「ッ!!」
倒れる、と思われた。
しかし倒れる音も、衝撃も襲ってこない。
「山崎っ?」
倒れるかと思われたの体を、寸での所で烝が支えていた。
の左手は相手の選手を支えている。
「おま…危なっかしい奴やなぁ…」
さすがに驚いたような顔をしている。
それ以上に驚いているのは。
「…あ、ありがと…」
「怪我は無いか?」
「ウン」
「やれるんか?」
「ウン」
「…無理、すんなよ」
頷く。
その頭を、烝はポンポンと軽く撫でた。
離脱したいのは山々だが、土方の目もある。
(やすやすと休ませてはくれないだろうし)
だが、次の瞬間、倒れる時の衝撃が戻ってきたような痛みが左手首から走る。
「…痛い?」
平助がの左手首を掴んでいた。
「そんなに強く握ってないよ、ねぇ、。痛い?」
真っ直ぐに見られ、はしどろもどろするしかない。
「…左手、かばってたよネ」
その後ろから新八。
(何だ)
「…ばれてらっしゃった」
「…当然!」
「当たり前でショ、何年の付き合いだと思ってんのサ」
「ほら、保健室行くよ!!」
左手首を離して、平助はの背を押す。
「そんな訳だから、一人補欠ネ」
生徒会長の一声で、試合は再開された。
TO BE CONTINUED !
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鈴、真面目に間違えてました。
やはり久々に書くと色々忘れちゃってて駄目だなぁ〜。