【PEACE MAKER】 〜道〜
「ちゃ〜ん♪今日暇〜でしょ?」
「なぁに平助?…て言うか、今すっごい暇って決めつけたでしょ」
「え?違うの?」
「違………わない」
一瞬、対抗する様にキッと俺を見上げるが、すぐに目を逸らし頬を膨らます。
もぅ!!!
「ちゃん、可愛い!!!!!」
俺は思わずいつもの癖で抱きついた。
「何すんねん、平助!!」
はぁなぁせぇ〜と唸る姿も可愛くて、俺は更に上機嫌になる。
「なぁにやってんノ、平助は」
呆れた声がして、俺とちゃんは一緒になって振りかえる。
「「新八!!」」
「…いや、君達、そんな声合わせて言われても」
「コレ、何とかしてぇ〜」
ちゃんは半ば諦めながら言う。
「や、俺はこれから副長んトコ行くから…、一緒について来るなら助けてあげても良いケド?」
悪戯っぽく笑いながら、新八っつぁんは独特な口調で言う。
「絶対イヤ…」
ちゃんはどうやら副長が苦手らしい。
そんなトコも可愛いななんて思ってしまう。
「んじゃ頑張って」
そう新八っつぁんは去ってく。
その背を見つめながら、俺は思わず呟いてた。
「良いなぁ…」
「何が?」
「へ!?」
「…いや、だから。何が良いの?」
「あ…あのさ、新八っつぁんとって仲良いなぁなんて…思ったりして…」
隊も一緒だし。
それも、隊はちゃんが選んだって言うし。
新八っつぁんは、それは間違いだヨって言うけど。
やっぱり、ちょっと気になるじゃん?
「あはは、違う違う」
はあっけらかんと笑って手を顔の前でヒラヒラさせた。
「新八はあたしで遊んでるだけよ」
そう言いながら少し寂しそうな目をするのは止めて。
「そうかな…」
「そうそう」
「平助はさ…」
え、何?
改まって、何言う気!?
「いや、平助こそさ」
な、何のさ!?
「何であたしを『ちゃん』付けで呼ぶの?」
「…は?」
「平助だけだよ、あたしを『ちゃん』なんて呼ぶの」
だって…だって。
そんな馴れ馴れしい事。
俺なりの気遣いなんだけどな。
精一杯の。
「あたしと仲良くなりたいんなら、『』って呼んでよ」
にこっと笑って、ちゃんは俺の背を叩く。
そこから、温かいものが広がってく。
「…?」
「いや、何で疑問形?」
「いいの?」
「や!!ヤダ!!」
え、ヤダって。
俺傷付くじゃん。
「平助、なに人に気ィ使ってんの!?気持ち悪いから止めて!!」
、それ何気にひどくない?
「平助は平助らしく、してれば良いのよ」
。
とは道を分かつとも、離れたくないと思った。
俺、が大好きなんだ。
「」
「なぁに?」
にっこりと、は笑む。
か。
「ってば可愛すぎ!!」
ぎゅーっと抱きしめてみる。
そして、フと呟く。
「…俺達、ずっとこうして笑い合えていたら最高だね」
「何言ってんの?当たり前じゃない」
即答過ぎて、ちょっと面食らった。
でも、それが嬉しかった。
いつまでも、君の傍にいて。
君を笑わせてあげられたら。
「大丈夫よ」
その強い眸が言うなら。
「そうだね」
「そうそう、あたし達なら、絶対大丈夫」
そんな君だから。