【REBORN!】





わたしはすき。

わたしはすき。

わたしはすき、だーいすき。



“ぼくもすきだよ、大きくなったらぼくがのいちばんになってぜったい守るから”











「ハヤト!」

「…か」


横でひとの健康も考えずバカスカ煙草をふかすのはハヤト。

ハヤト・ゴクデラ。

わたし、は彼がすき。


「ちょっと煙草やめなって、体に悪いよー」

「お前には関係ねぇだろ」

「あたしの体に悪い」

「知らねぇよ」

「ヒドッ!!」


本当…コイツはどうしてこういう性格なんだろう?


「…ボンゴレ10代目も然り」

「…そうか」


本当、どうしてこういう性格なんだろう?


「素直だね」

「当たり前だろ、10代目の健康には替えられねぇ」

「…さすが」

「だろ」


ニッと笑いつつハヤトは煙草を眺める。

ハヤトが日本に行って2ヶ月ぐらいが過ぎた頃。

わたしも先日日本にきた。


「お前は良いのかよ、お嬢さんのお守りはどうしたよ」

「…お守りだなんて。ボスに頼んで休暇貰った」

「お前何してんだよ…」


呆れてふわりとハヤトは煙を吐き出した。

正直ケムい。


「ゴホッ!」


堪らずわたしは咳を吐き出す。

目にも染みてきた。


「お前のボスはお嬢さんだろ?離れてどうすんだよ」

「………」


気付けよ、馬鹿。

わたしは壁にもたれかかった。

ここは日本のある街の、ある路地。

時は夜、月が高い。

そしてハヤトはボンゴレ10代目の自称右腕、

あたしはあるイタリアンマフィアのボスの娘さんの警護兼お友達。


「俺はんな事しねーぜ」

「分かってるわよ」


分かってるわよ、期待なんてしてない。

イタリアに戻ってくる事とか、

ボンゴレじゃなくてわたしのファミリーにきてくれる事とか、

…わたしを女として見てくれる事とか、

それから、、、


「明日にはイタリア戻れよ」

「分かってるわよ、帰るわよ」


分かってるわよ、期待なんてしてない。

わたしは溜息を一つついた。

ハヤトと同じ、白い息を。

ただわたしのは、煙でもないし、ましてや健康にだって悪い。…とは思わない。

そんな様子を横目で見たのか、ハヤトは煙草を捨て踏み潰した。


「…ゴミできちゃったわよ」

「そうだな」


さすが悪童、そのままほったらかし。

わたしは吸殻を拾い上げると、路地外のゴミ箱に左手で投げる。

音もせず、それはゴミ箱に吸い込まれた。


「よく飛ぶよな、あんなもの」

「…まぁね」

「お前ピアノは続けてんのか?」

「…まぁね…お嬢さまに教える程度に」

「ふーん」


あんたは?

なんて訊かない、答えは分かりきっているから。

ピアノも一緒に連弾したっけ、と独り思い出す。

昔馴染みであるわたし達は、時々一緒に遊んだり、勉強したり、していた。


いつからだろう、こんな距離感じてしまったのは。


いつからだろう、こんな嫉妬深く、なったのは。


ボンゴレ10代目が羨ましい、妬ましい。


ほんとうは、見て欲しい。


期待なんて、してない。


分かってる、ハヤトにとって10代目が一番であることなんて、遠の昔から。




醜く、乱れた心は決して見せたくない。



ぎゅうっと、わたしは右腕を左手で握り締めた。


「なぁ

「…何よ」

「昔の約束覚えてるか?」

「なに、し過ぎて覚えてない」

「…なら良い」

「え、ちょっと気になる!」

「………良いっつったら良いんだよ!」


急に声を荒げるから、奥に居たネコも飛び出してきた。

でもハヤトの顔が少し赤くて、わたしは眉をひそめる。


「…変な奴」

「………ッァア!もう、しょうがねぇな!」


酷く苛立った声を上げたと思ったら、右腕を掴んでいた左手を掴まれた。

そのまま右腕から剥がされる。


「言ったろ、昔!ホラ、思い出せ!俺がお前の〜…〜〜〜〜〜!!!」


何故そこで照れる、ハヤトゴクデラ。

わたしはじーっと見つつ考える。


あぁ、と思った。


「一番?」

「そう、それだ!」

「…で、何、手、離してよ」


怪訝に眉を寄せ、わたしは掴まれた左手をぶらぶらさせた。


「何、じゃねぇよ。右腕、怪我してんだろ!んな強く握るな!」


「へ?」


バレてらっしゃいましたか。

先日ちょっとドジって、右腕に銃弾がかすっただけなんだけれど。


「バレてた?」

「ったりめぇだ、馬鹿」

「馬鹿は余計でしょ、馬鹿は」


少し嬉しくて、頬がゆるんだ。

わたしの体は正直だ。


「何笑ってんだ、気色わりぃ!!」

「失礼だよ!!」

「真実だ!」

「…だから、何」


それと約束がどんな意味があるってのよ。



“ぼくもすきだよ、大きくなったらぼくがのいちばんになってぜったい守るから”



幼いハヤトが、脳裏に浮かんですぐにかすんで消えた。


「言っとくがな!」

「何よ」


明らかに変なハヤトを怪訝に思いつつ、わたしは先を急かす。


「俺の一番は10代目だ!!」


「うん」


知ってるよ、痛いくらいに。


「…それと10代目の大切なものだ!」

「それも知ってる」



「〜〜〜〜…で!」


言い淀むハヤトにいい加減痺れも切らす。


「何なのよ、ハヤト!」

「…に、二番がお前だ!」

「…は?」

「………んで、三番が10代目の右腕の俺だ」


こいつは何を言っているのだろうか。

慣れ親しんだイタリア語のはずなのに、なぜか分かりづらい日本語に聞こえた。


何、あんたは…自分よりわたしのが格上だって思ってるって事?


「光栄に思えよ、俺の中で10代目に次いで二番だ、二番」


何がそんなに光栄なのか。

わたしの中は納得どころか、理解すらままならない状態。


「…だから?」

「…〜〜〜〜!!だから!…女ン中では一番だっつってんだよ!!!」


顔を紅潮させ、ハヤトは叫んだ。

その言葉で、わたしが嬉しがるとでも思ったのだろうか。

二番か、二番。


女の中では一番。


やっぱり嬉しくて頬が緩んだ。


「ハヤトはわたしの一番だよ?」

「お前の一番はお嬢さんで良いんだよ!で、俺が二番!」


何をムキに言うんだろう、こいつは。


「じゃ、男の中では一番だ」

「…で、約束!」

「…何」

「だーッ!物分り悪ィ奴だな!…守るっつってんだろ、お前の事だ…どうせ」


ハヤトはいったん言葉を切った。




「…抜けてきたんだろ、ファミリー」




あら、バレてらっしゃいましたか。


「…バレた?」

「お前ンとこのボスはボンゴレと仲良いから良かったものの…スパイ化恐れて殺されるとこだぜ」


普通なら、とハヤトはしかめっ面をさらに濃くした。


「…どっちにしろ!んな危ねェ事しでかす奴を放っておけるか!」


だから守るんだよ、俺が!とハヤトは顔を逸らす。


「…ほんとう?」





期待なんて、してなかった。





してなかったから、わたしどうして良いか分からないよ。


「…何度も言わせるんじゃねぇよ、お前…が俺の一番だっつってんだろ」


期待なんてしてなかったよ、

だから日本に来た、

元いたファミリーを捨ててきた、

…わたしがあなたを一人の男として見るようにした、


それから、、、


「…見て欲しいだなんて、思ってなかっ「嘘言え、バレバレなんだよ。

 ボサっとすんな!お前もボンゴレだろ!10代目に挨拶に行くぞ!」


ハヤトは掴んでいた左腕を離すと今度は左手を握った。


「何て、紹介してくれるのさ。その…ボンゴレ10代目に」








「俺の女です…とでも言えば満足かよ?」








ニッ、とハヤトははにかみ笑って煙草の箱をゴミ箱に投げ入れた。









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はい、初獄寺夢〜。

うわ、びみょ〜。

ごっきゅん、子供の頃は素直で可愛かったのにね(笑)

今でも充分可愛いけどさ…阿呆で(黙れ)

ってな訳で、もうすぐ年越しですね!!

どうです、ガラクタ。の池田屋にてお話しませんか?

パスが分かった方はお入りください。


問題:数字の番号は、今わたしが一番好きなキャラの隊の番号、こんぺいとうにて漣が
    やっているキャラの隊の番号、そしてわたしの誕生日、最後が0です。


お暇な方で、お話してくださるという稀有な方は是非。


荒しはお断りですので。