「それで?」 総悟さんの前に置かれたチョコ。 「これは何ですかィ?まさか自信作のチョコだって言わねェよな?」 「え、チョコだけど?」 総悟の呆れたような溜息に、私は何がいけなかったんだろうと首を傾げた。 仕事が終わって、総悟は私の家にやってきました。 「いまだかつてこんなチョコ渡されたことはねーや」 置かれたチョコを手にとって、総悟はそれを上から下から斜めから、とにかく観察した。 「何コレ、棒?」 「だからチョコだって言ってんでしょォォオォオオ!」 いい加減分かれこの野郎! 私はだんだんと床を叩いた。 まぁ、形は棒ですよ! チョコを棒状にして、包装してリボンを結ったもの。 「アンタは今日を七五三が何かと勘違いしてんじゃねェだろうな?」 「だからそれ千歳飴じゃないから!チョコだから!」 「こんな硬いチョコがどこにあるってんですかィ、え、コレ鈍器?」 折ろうとするも折れない私のチョコ。 つーか、折ろうとすんな! 「もう良い」 折ることをあきらめたのか、総悟はそれをぽいっと放る。 てめー!私の愛のチョコに何してんだ!! そう抗議しようと総悟に詰め寄る。 「ちょ、何してんのよ!」 「…そもそもアンタのチョコには期待してやせん」 「は?」 「…どうせならアンタがチョコまみれにでもなってた方が食べ甲斐があったってもんでさ」 何言ってんだ、この男は。 そんなことしたらただの変態じゃねーか。 って言うか、総悟はどれだけ私のチョコを馬鹿にしたら気が済むんだ。 「まぁ、過去に全身黄金の蜜まみれになったお人がいるんで驚きやしやせんが」 「いやいやそこは驚こうよ!?」 「さァ、今日はどうしてやりやしょう?」 にやりと総悟が笑む。 私は背筋に冷たいものが流れて、逃げの体制をとった。 「逃がしやせん、あァちょうどいいところに棒がありまさァ。これでも突っ込んで楽しみやすか?」 そう言って手に取ったのは私のチョコ。 ちょうどいい太さだ。 じゃ、ねぇええええ!!! 「何言ってんの、私のチョコをどうする気だ!って言うかむしろ私をどうする気だ!」 「…食ってやるんでさァ、安心しなせェ、チョコも後でおいしくいただいてやるから」 そう言って私を押し倒すと、私に跨った。 意地の悪い笑みを浮かべている。 可愛げのひとかけらもありゃしない!! 「安心できるかァ!…ちょ、総悟!変態!こらっ」 「、………チョコ、どうも」 跨って覆いかぶさってきたと思ったら、耳元でそう囁かれる。 ひどく優しげで、ひどく頼りのない声。 卑怯だ。 この男は、私の弱点を知っている。 だけど、卑怯だと思ってもそれを許してしまう私もまた、卑怯。 「…一生懸命作ったの」 「………分かってまさ、そんなこと」 くすくすと耳元で笑われる。 息がかかってくすぐったい。 ぎゅっと抱きつくと、彼もちゃんと抱き締めてくれる。 きっとあの馬鹿にされまくったチョコも、後でちゃんと全部食べてくれるんだろう。 「好きです、総悟」 「はいはい」 「大好きです!」 「………俺も、愛してまさァ」 チョコの使い道。 (案の定、突っ込まれてその後食べられました) **** 間に合っただけ、って話。 すごくお下品な話ですみませんんんんん!!! |