サドっていう次元超えてんだよ。


「…何してんの」
「何って見りゃ分かんだろィ、アイス食ってんでさ」


しれっと返す総悟に、はイライラを隠せない。
最近仕事で帰ってこないことが多くて、(というかこの数日帰ってこなかった)
ふと帰ってきたと思えば、これ。


「…帰ってるとは思わなかった」
「そりゃどういう意味でィ、ここは俺のうちですぜ、帰らなくてどうすんですかィ」


そんなさらりと言われても、のイライラは募るばかり。
ここ数日放っておかれた仕返しを何でしようか、そればかりが頭を巡る。

「てか、それあたしのアイスなんだけど」
「あり、名前も書いてなかったんでしりやせん」
「そういう問題じゃない!」

声を荒げると、やっと総悟が顔を上げた。
頬には大きな絆創膏、手首にも包帯がちらりと見えている。
心配していた通り、仕事は立て込んでいたのだ。
新聞やテレビではかなり騒いでいたのも確か。
過激な攘夷志士と真選組の、乱戦。
死者も出ていると聴き、気が気ではなかった。

「終わったの?…仕事、」
「あ?そんなもんより、俺ァ家でアイスが食いたかったんで」
「買っといてよかった、アイス…」

終わってねーなら、帰ってくんなよ。
くすくす、と力なく小さく笑う。
その様子を見て、総悟が小さく肩をすくめた。
安心を汲み取ったのだろう、皮肉げに笑った。





「よしよし、よく無事に帰ってきたね、会いたかったぞ!!」




そう言って、は総悟の頭を撫ぜる。

「うぜー、アンタ何すんでィ、話せバカ

笑いながらすぐにそれは阻止されてしまうけど、








「…おかえり、総悟」











言ってふわりと抱き締める。
そうして、傷ついた総悟の体を、ぎゅうっと包む。
鼻に消毒液のにおいがつく、それよりも感じる、総悟の、におい。
頬を寄せ、耳を寄せる。
彼の呼吸が聞こえるように、


「…お帰り、総悟」




















「……ただいま、」























ぎゅうっと抱き締めて、か細く搾り出すように呟かれたことば、
耳に張り付く、かすかな音量。







、ただいま、会いたかった、愛してる」









----------------------------------------------------------------------------
ただ、その瞬間のために越えてきた死線。
あんたと会えなくなったら、ダメになるのは俺のほうだ。
ほんとうは、俺のほうが会いたくて、しかたなかったんだ。
って言う話を今度書くわ。