【PEACE MAKER】   例えばこんな逸話 THE THIRD STORY





「………ひぃ!!!」



「ひぃって酷いなァ」



笑顔でゾンビは言い放った。









         〜   第六夜   Nature × Whereabouts   〜











「なァッ!?」


目を覚ますと、目の前に爛れた青い皮膚の顔をした“ゾンビ”が!!

は起き上がり、思わず身を引いた。



ゴン!!



「ったァ〜〜〜!!」

「そんな思いっきり身を引くからだよ」


「そりゃァ引きもします!!」


はジンジンする後頭部を押さえながら吼えた。

身を引いた瞬間、後ろの壁に阻まれ後頭部を強かに打ちつけたのだ。

声音は昨晩の(筈だ)怪盗。


「あっはっはっは、いい反応だねぇ」


気味の悪い面で、爆笑された。


「キショイわ!!」


びしっとは断定形で言い放った。


「ひっどいなァ〜」


(全然気にしてないだろ、お前)


は独り後頭部を抑え、悶々と思考をめぐらす。


まず、自分の姿。


羽織は無いものの、昨日の(筈だ)ままだ。


そして。




「刀は!?」




は辺りを見回し、焦った声で叫んだ。


(命の次に大切な刀っ!)


マジで刀無くしたなんてシャレにならない。








「あぁ、君の刀ならミィネが…」







「どこ!!」


「ミィネ、ミィネ〜?…み」


ゾンビが“ミィネ”と呼びつつ辺りを見回す。


と。



「キャハハ、ルピンルピン、見て見てぇ〜!!」



バン!と扉開け放ち入って来た子供は。









「ひぃッ!!!なんッ、何してんの!!」










は血相を変えた。



なぜなら、目の前に広がる光景といえば。


りんごを投げる猿。


それを…恐らくは“ミィネ”と呼ばれる子供が受け取るのであろう…



「あたしの刀で刺すなァ!!!」



ガタガタタ!!


騒々しい音を出して、は“ミィネ”に駆け寄り刀をもぎ取った。


が、時既に遅し。


刀には見事にりんごが突き刺さっていた。



「あ〜…りんご液が…」


は半ば涙声になって刀を指でなぞった。


…りんごのにほいが…。







「フロ〜〜〜〜ラァル☆★☆★」







「言ってる意味分からんわァ!!黙れ!!」


(あぁ、折角研ぎに出したばかりだったのに)


そんな哀れなを見つつ、ゾンビは頭をかいた。

しゅんとするミィネ。

「ミィネ、謝りなさい」

「…そーりー」

が、そんな言葉の意味が分かる筈も、の耳に入る筈も無く。


「もう!武士の命なのよ、刀は!!」


びりっと袖を千切ると、それで刀を拭きだした。


「ごめんよ、ミィネに悪気は無かったんだ…」


ゾンビが申し訳無さそうに布を差し出してきたが、の意識外である。


と、次の瞬間。



ぐらっ!



「う、わっ!?」


部屋全体が揺れた。






「な、何!?」

慌てるに、至極ゆったりした声が返った。

「大きな波がきただけだよ」

「そっか、波に揺られて…って、ここ何処なのさ!?」

ノリツッコミは三バカに鍛えられましたよ。

っと、そんな報告はさておき。



(波って!!??)



「船だヨ」



しれっと言い放ったのはミィネ。


「なに!?」


(船!!!???)


意味が分からず、とにかく自分で確かめるのが得策と思い、はバンっと扉を開けた。




塩の香り。




「ん〜、爽やか☆って、違うだろォ!!何だこれは!?」




「君、実は馬鹿でしょ?」

ゾンビの皮をべりべりっとはがしながら、例の“ルピン”は溜息をついた。

「混乱してんのよ」

しれっとは返しつつ、呆然とする。

たしかにそこは海の上で、湿っぽい塩の風が頬を撫ぜた。


「うっそォ…」


肩を落とし、呟くと急に横から黒い影。















「オ――――ゥ!くーるがーる!?」




















聞き覚えのある言葉遣いと、声音。







(         ま          さ          か          )







恐る恐る、は黒い影を見据えた。


しかし確かめるまでも無い。

の知りえる中で、こんな言葉を遣う男は1人しかいない。




「リョーマさん!?」


「はっろー☆★☆★……じゃき☆


予想通り、あの坂本リョーマその人がウインクぶちかましつつそこに立っていた。


風貌については相変わらず過ぎて何も言えません……!!!



「何であんたがこんな所に………!!!!」





(話をこれ以上ややこしくしないで…!)





果たして、の運命はいかに。(何/さじ投げんな)







次項。


〜   第七夜    発見と疑問   〜




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かなり謎な展開。

作者でさえ意味が…(殴)