【銀魂】





行くあてがないならこの戸を叩けよ。




天国よりは近いはずだぜ。




「銀時ー!」

「…銀さんならいませんよ」


「え!!!」


万事屋の戸を開けて固まる
対峙する新八は内心ハラハラとしていた。
は怒ると手が付けられない。
疲れるまで暴れ倒した挙句、そこで眠ってしまうという気性の持ち主だ。
銀時も新八も止める身になると、傷だらけになる。


「今日、約束してたのにぃぃぃいいいぃぃ!」

「ひぃ!( き た ! )」

「銀時のアホー!!!」


始まった、とばかりに新八は押入れに避難する。
そこには既に避難済みの神楽が酢昆布を食べて座っていた。


「まったく、も困った奴アル」
「( 人 の 事 言 え な い と 思 う ん だ け ど )…そうだね」


とりあえず新八は頷いておく。
そっと隙間を開けての様子を伺う。


「一緒にパフェ食べに行く約束だったでしょォォオォオォオ!」


今、机を真っ二つに割った。
この神楽にも負けずとも劣らない強力にはほとほと手を焼くばかりだ。


「銀時のあほぉ、約束、してたのに!!」


バリーンと何かが割れる音。


「…誰がアホだ、誰が」


場にそぐわない落ち着いた低い声音。
この場で唯一、を鎮めることができる人物。


「…銀時!」

「何やってんのよ、さん?え?これ何?ここだけハリケーンでも通過した?」

「それどころじゃないよ!」


の怒りは収まってない。
約束の時間、約束の場所にいなかった銀時へ向けられた怒りはまだ噴火したままだ。


「あのね、さん?それぐらいでこんなにキレられちゃいくら俺でも身がもたないよ?」

「…だから何よ」

「だから何ってことはねーけどさ」


あーあー、机も割っちまって。
良いながら銀時はの頭をぽんっと軽く抑えた。


「…とにかく、ま、落ち着けって。銀さんだって無駄に出かけていたわけではありません」

「何してたの?」

「おら」


ひょいと取り出されたのは一輪の花。


「…誕生日だろ、オメー。…だから何って事でもねーけどさ」


照れ隠しにか銀時は視線を逸らす。


「あ、りがと」


きょとんと受け取るに、銀時はさらに恥が増す。


「…な、お前が昨日“明日はあたしの誕生日だからパフェ食べに行こ”って言ったんだろが!」

「でも、別に花がほしかったわけでは」


嬉しいけどさ、とは微笑う。


「はいはい、それじゃパフェ食べに行くぞ!」


は貰った花を髪に挿す。


「うんっ」


「今日は特別に俺が奢ってやる」















離さないさ、痛みはあまり好きじゃねーけど。






俺にはお前と麻酔さえありゃ良い。



(だからって備品壊されるのはちょっと…)