【BLEACH】
体が毒されていく。
「…うそ」
ギンの話はほとんどが嘘。
「…ほんとやよ?」
ギンの話はほとんどが真実。
「ちゃんはどちらを信じる?」
薄く笑みを浮かべて、薄紫色の銀髪を揺らす。
「あたしがどちらを信じるか、関係があるの?」
「…無い、ね」
一遍の悪びれもせずにギンはクスクスと笑う。
何が可笑しいのか、あたしはすっと眉を寄せる。
「でももしかしたら、ちゃんの意見で嘘が真に真が嘘になるかもしれへんよ?」
「そんなの嬉しくもなんともない」
「あらら、何怒ってるん?」
「…怒ってない」
あたしが知りたいのは、ギンの意見だから。
あたしの意見でギンの意見が変わったんなら、それはギンの意見じゃなくてあたしの意見だよ。
「…ほんに、面白い子ぉやね、は」
にっこりと口の端を吊り上げて、ギンは笑う。
まるで狙ったかのように、言葉を選んで、そして、あたしの頭に手をぽんっと乗せる。
「…良い子ぉやね、自分にとって何が正しいんか…間違えたらアカンよ」
「それはどういう意味」
「言葉そのまんま♪」
その言葉の意味をあたしは図り知ることはできない。
ただ、繋がれた手だけが。
引かれる力だけが。
ギン。
ギン。
「ギン」
「なに?」
「…どこへ行くの?」
「さぁ、どこやろね」
「…知らないの?」
「知りとぉないね、がいない世界なら」
すっと目を開けて、空を見扇ぐ。
「ねぇ、ギン。何見てるの?」
「さぁ、何やろね」
「…ギンの目にあたしは映ってる?」
「どや、自分で確かめてみィ、」
そう顔を近づける。
「…近すぎる」
「見えへんぐらいがちょうどえぇねん」
にこぉと、本心の読めない笑みを、浮かべる。
「見えるところまで連れてってよ」
「それは間違い」
見えるものは悪夢。
生まれすぎた悪夢が膨張していく。
もう、手に負えない。
死神のとりこ。
(嘘でも真でもどちらでもいいよ)