【BLEACH】





大嫌いを大好きに変えて、自分の気持ちを見失って。


わたしは一体どこにいくのだろう。


立っている場所を確認してみた。


あたしは人間で、あなたは死神で。


あたしはあなたと居るには、弱すぎた。











名前を呼ばれる、あなたの声がすき。


「お前大丈夫か?」


いつも気遣って覗き込んでくる、あなたの仕草がすき。


「…何でも無いわ」


あたしは瞬く。


「そうか」


どこまであなたに伝わっているのだろう。


「無理、すんなよ」


あたしの気持ちが、あなたに。


「…疲れたわ」


言葉は重く。


「…なに?」


空気も重く。


「…もう疲れたの、あなたにはもう会わない」


どこまでもこの気持ちは重く、あたしの心を締め付ける。


「な、に、言って…」


困惑するあなたの顔を見ないようにした。


「おい、、お前…」


「あなたにはもう会えない」


会えない、ただ、会えない。


独りの苦しみを知ったのは、あなたと出会ってからだった。

触れる温もりの暖かさを知ったのも、あなたと出会ってからだった。


この気持ちの重さに気付いたのも、あなたと出会ってから。


「…本気で、言ってんのか、止せよ、


うろたえるあなたの声が聴こえる。

そんなところから、全てが愛しくて。


「何、で…だよ、理由ぐらい言えッ!!」


あたしは黙り込む、元々多くを語る方じゃない。


「…そうやって、また独りで抱えて…今度はもう吐き出しも、誤魔化そうともしねぇのかよッ!」


あなたの言葉は誰よりも力があって、その言葉を吐き出すのにどれだけの力が要るか

あなたは気付いているかしら。

苦しいでしょう、冬獅郎。


「…もう、駄目なのよ」


「何がッ…!」


「あたしが」


それだけ口に出すとあたしは席を立つ。


これがどれほどの選択か、あたしには分からない。


ただ、逃げたくて。


「…さようなら、お元気で」


口にするとは思っていなかった、別れ際の挨拶。


「ちょッ…待てよ!」


声が追ってくるけど、あたしは歯を食いしばって、ただ、振り向かないようにと。


あなたのすべてが愛しくて。

笑ったカオとか、声とか、真っ直ぐな眸とか、綺麗な白い髪とか、

不器用なところも、妙に大人ぶるところも、見上げる仕草も、

だけど。


あなたを困らせるのが厭で、束縛するのも厭で、とにかく。









あなたの事が愛しくて愛しくてしょうがない、


あなたの事が大好きでたまらない、こんなあたしが大嫌い。









こんな時に、涙さえ出ない。








『イイ匂いがするね』


この声を聴いたのは初めてで、振り向いた瞬間に全身に圧力。


『イケ好かない、だけどおいしそうな匂いだね』


これが何なのかも分からない。

仮面をかぶった、とにかく“化け物”だという認識しかない。


『お前にもワタシが見えるのかい?でもお前の匂いじゃないね、誰だい?』


教えておくれ、とあたしを締め上げる。


声も出ない。


出せない。


これは危険なんだと、知らせる、


べき、とどこかの骨が折れる音がした。


「…はっ」


息が抜ける。

ぎりぎりと、容赦無く加えられる力に抗うすべなどなく。

だらんと伸びる足の感覚すらなくて。


『言いな、これは誰の霊絡だい?』


赤い、紐みたいな紙が伸びて、それを奴は千切る。


『呼びな、死ぬ前に…!』


もう呼ばないと決めた。





消えればあなたのあんなカオ、見ないで済むの?





させることが苦しいんじゃない、見るのが苦しいの。


そんな傲慢は許される?


「…ない」

『何?』


全ての懺悔と後悔をここで断ち切れたなら。


『しょうがないね、自分で探すよ』













冬獅郎…。













いつの間にこんなに弱くなってしまったのだろう。


混濁してもう何も、何も、何も。


かすれる視界の向こう、ただ、あなたが見えた瞬間に伸ばした自分の手さえ疎ましくて。




『お前がこの霊絡の主だね…!』




ッ!!!」





あぁ、結局見てしまった。


最期に見てしまった。


いずれは消える思いだけど。


!!!!」


『お前はもう用済みだね』













ブチッと、全てが断ち切られた。



















もしかしたら、また会えるかなってかすかに思ったけど。


すぐに消える想いなら戻ってこなければ良いと思った。


さようならは伝えたし。


お元気でとも云えた。


別れは用意されたものだった。


あなたと居た時間は幸せでもあって、苦しみでもあった。


弱くてご免なさい。


あなたにそんなカオさせて、最低。


あなたにどこまで伝わっているかしら。


この弱いあたしの弱い心。


伝わらなければいい、だけど知っていてもほしい。












あたしはあなたにそんなカオ、させたくなくて。


させるたびに増えていく懺悔と後悔が苦しくて。


逃げて、こうして抵抗もせず…死んでいく。













































さようなら。










































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そんな気持ち。