だれか。

蝶々を捕まえて。

キオクに棲む、真っ黒な蝶々を。










ハザマ     〜始まりと終わりと〜









「かったるい…」


そう世にときめく女子高生の科白にはあるまじき言葉を発したのは
手には読みかけの史書。
ここは学校の屋上。
時は放課後。
以外、誰もいない。
ゴロンと寝転び、小さな欠伸を1つ。

(寝てしまおうか)

その思ったままは目を閉じ、夢の淵に沈んだ。




黒い蝶が見えた。

蛾にも、見えた。

でも綺麗な羽をしていたので蝶だと思…いたい。

…きっと麟粉には毒があるに違いない。

追いかけてはダメ、手を伸ばしてはダメ。





「最低」

ふと目を覚まし、開口一番には毒づいた。
当たり前だ。
辺りは真っ暗。
そう、彼女は完全に。
(寝過ごした)

「仕方、無いか」

事実は事実。起きてしまったらしょうがない。
むしろ朝まで寝ていなかったことをヨシとしようか、自分。
そうは大きな溜息とともにそう吐き出し、携帯の画面を覗く。
(7時…か、やれやれ)
蒼いぐらいの漆黒の髪をかきあげ、はフェンスに手を掛けた。
地を蹴り、一瞬にしてフェンスの上に到達すると、そのまま屋上から飛び降りた。
そう高くは無い(彼女はそう思っている)校舎の屋上からのダイブはこれが初めてじゃない。



ダン!



地に足が着き、制服の乱れをパンパンと叩いて直しつつは視線を上げた。









「…」








そして、有り得ないモノと目が合った。
異形だ。
見たまま、すぐ分かる。
これはこの世のではない。化物だ。
(これは、なに?)
放心する頭に、異形のモノ以外の生物が映る。

「…パンツ見えましたよ」
「くまさんだったな」

白髪の子供とと、胸の大きい美人だ。
…そして、異形だ。















「突然変異?」
















「俺を見て言うんじゃねぇ!!」

小さい人がガァっと火を噴くように怒った。
いきなり怒鳴るなよ、びっくりするじゃないか。

「…いえ、あなた含め全員に言いました」

はまず、子供、美人、それから異形のモノと視線を移動させる。

「あら、わたしを虚と一緒にしないでもらいたいわァ」
「それは俺も同感だがな」

棒立ちの姿勢のまま、は頭を動かそうと必死になる。
(えー…っと、まず)
異形のモノが口をパカァっと開け、耳鳴りのような声が響いた。
超音波のような、甲高い音だ。

「ち、…松本ッ、コイツ先に片付けるぞ!!」
「はい!」

子供がそう言ったかと思うと、美人が動いた。
この耳鳴りは、威嚇?
違う、これは。



キィィィィン!



仲間を、呼んでいるんだ。


「危ないっ!」


胸のでかい人がに向かって叫んだ。
弾かれたように振り向くと、そこにはもう一体異形のモノ。

「うっそぉ…」

全然気配がしなかった、それはあの二人も同じ様だった。
驚きと衝撃が、同時に襲ってきた。
そう、左横腹に大きな衝撃。
視界が高速で動いた。




ダァン!!




衝撃を受けた方とはまた別の、右半身が校舎にぶつかって悲鳴をあげた。

「…ッ!」

(痛い!)
それしか思い浮かびません!!!とは眉を寄せる。
本当なら痛いだけでは済まされないはずだ。

「隊長!」
「分かってるッ!」

うっすらと開けたの目に映ったのは、
抜刀する子供と自分に向かって走ってくる美人。
そして、その間に立ちはだかり自分に鋭い爪を向けた異形のモノ。

「冗談じゃ、ねーわ」

ごほ、と息を吐き、は腕に力をこめる。
今まで何事もなく普通に生活できていたのよ?
(視得るんなら、倒せる…わたしの安寧を邪魔して、ただでは還さない)
は右腕を引きずるように上げ、手刀印を切る。
眩い光が右手から発せられる。

「人間だと思って甘くみんじゃないわよ」

ずるっと体を起こし、閃光が走った先を見る。
異形のモノの腕が飛んでいた。
は完全にブチ切れていた。
そう、周りにあの二人がいることも忘れるほど。

「待て、松本!」
「え、はい」


怒りなのか、声にならない超音波のような音を出し叫んでいる。
(で?コイツは何な訳?)
眉を寄せつつ、は瞼を伏せ何事かを呟く。
きらり、と何かが一閃したと思うと、異形が細切れになって霧散した。









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BLEACH連載夢を始めてしまった。
どうしたら良いんですか(知らない)
一応更新は激遅めですが。
ギャグなのか、シリアスなのかよく分からない作品になるかと(殴)
あまりにも彼が好きなんですが、何か?(知らない)