鋼の錬金術師 【Please trust me】 13 〜お仕事?〜


「乗っ取られたのはニューオプティン発特〇四八四〇便。東部過激派「青の団」による犯行です」

東方司令部、廊下をあるく2人の人間。

「声明は?」

「気合い入ったのが来てますよ、読みますか?」

「いや、いい。どうせ軍部の悪口に決まっている」

「ごもっとも」

ロイ大佐とホークアイ中尉だ。

会話をしながら、2人は部屋中央へ歩いていく。


「まったく…東部の情勢が不安定なのは知っているだろうに…こんな時にバカンスとは…」


そう言ってロイは名簿を見、頭をかいた。


「大佐ぁ、ちゃんも乗ってますよ」


「何ィ!!!???」






たしかにその名が名簿にあった。


ロイはガラにもなく、焦った。


しかし、その口元が歪む。


「あぁ諸君今日は思ったより早く帰れそうだ。


 鋼の錬金術師が乗ってる」






かーーーっ。



「ねぇ、アル?」

「何、

「エドっていつもこうなの?」

「いつもって言うか…」



「この状態でよく寝てられんなガキ」


犯人グループの1人が、銃でエドの頬を突付く。


「おい!起きろコラ!」



それでも起きないエド。



「この…ちっとは人質らしくしねぇか、この…チビ!!


ドゴン!!


「「あ」」


起きた。



ごごごご…


「お?なんだ文句あんのか、おう!」



ぱん!

バシィ!!


「うお!?なんじゃこりゃあ!!ぶ!!



エドの蹴りが犯人の1人に命中。



はい、1人逝ってらっしゃーい。←おい。



わー…本気でのびちゃってるよ、この人。


たった二文字言っただけでボコボコにされちゃぁ割りに合わないかも。


は犯人の1人を見下ろしながら思った。





「だぁれぇがぁミジンコどチビかーーーーーッ!!!」





「兄さん兄さん、それ以上やったら死んじゃうって」


気付いたらこの列車の中にいた犯人たちは誰1人として立ってはいなかった。



「て言うかこいつら誰?」



無闇にボコボコにすんなよなー…


たかだかチビって言われたくらいで…



本当の事なんだし。



「へー、あと10人もいるんだ」


「誰かさんが大人しくしてくれれば穏便にすんだかもしれないのにねぇ」




「過去を悔やんでばかりでは前に進めないぞ、弟よ!!!」




あんたは悔やんだ方が良いよ。



「しょうがない、オレは上からアルは下からでどうだ?」


「はいはい」


はここにいてくれ」


「オーケィ」


「き、君達はいったい何者なんだ?」




「錬金術師だ!!」



か、かっこいー!!!!



「うおぉぉぉぉ!風圧!!風圧!!」



ださー…。



さてと、どうしたもんかね?


ここは10両編成の7両目、うしろにまだ3両もある。


アルが前に行ったのは良いけど、後ろの車両にはいないのかしらね?



「おい!定時の連絡はどうした…って、何じゃこりゃーーーー!!



分かり易い反応ありがとう。


どうやらまだ後ろにも仲間がいたらしい。



「きゃぁぁぁ!」

「誰だ!?やりやがったのは!!名乗りでなけりゃ、この女の頭が飛ぶぜぇ!?」


あの野郎。


あんな可愛いお嬢さんを人質にとるなんて、人の風上にもおけねぇ!!


それでもお前、サムライか!!←違う。




「早くしろ!!」


「いやぁ!助けてぇ!!」



「ちょっとあんた!!そんな可愛いお嬢さん1人占めにするなんて卑怯よ!!」



おっと、人質の間違いか☆←間違えてたまるか。



「あ…?なんだてめぇは!!」



「何だって良いでしょ!!」



あぁ!!もう面倒くさい!!



と、思った瞬間に、人質をとった男の後ろから1人飛び出してきた!!


「う、わ!?」


は身をかがめて、大一撃を避ける。


「お前か?仲間、こんなにしやがったのは」



「…違いマース」


「やったのはその子だ!!」

「そうだ!!」


何ぃ?


乗客のみなさん、そりゃ無いでしょうが…(泣



「やはり貴様か!なめやがって!!」


ブン!と拳が振り上げられる。


フン、大口叩く割りに遅いじゃない。



「そんなパンチ…止まって見えるわよ!!」


しゃがんだ姿勢のまま、は拳を横に飛んで避ける。


その勢いに任せて立ちあがると、足を思いきり蹴り上げた!!



「ゴフッ!」



クリーンヒット☆


相手の顎を蹴り上げた足を、そのまま振り下ろす。



THE 踵落とし。



見事な一本。



「やりやがったな、このガキィ!!!」


ジャキッと銃を構え、今にも引き金を引こうとした、その瞬間。



ぱん!

バシィ!!



「お!?」



乗客は頭を抱え、怯えている。


しかしそれ以上に怯えて居たのは、急に身体が動かなくなったこの男。


ずるっと、人質の女性が離される。


「だいじょーぶ?」

「え、えぇ。ありがとうございました」



「てめぇ!何をした!!!」



「口の利き方に気をつけなさい、こんなに可愛いお嬢さんに怖い思いをさせたなんて死刑行為!!」


「なッ!」



ズズズズ…男の周りを黒い物が取り巻いていく。



「何だこれぇ!!??」


「あぁ、それ?それはあなた自身の“影”よ?」


ニヤっとは笑う。



バシャァ!!


前の方からとてつもない音が響いてきた。



「前の方も片付いたみたいね」

「お前、何者だ!?」


「一応、錬金術師」


よろしくね、が笑うと汽車が止まる。


やっと着いたのか…。



ー…ってあれ?こんなにもいたっけ、犯人」

1人は恐怖に怯え、1人は顔の形がいびつになっている。

「いたよー、いたいた」


2人ほど多い気が…というエドを上手く丸め込んで、はふぅと溜め息をついた。




―NEXT→

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お腹減りました。