【鋼の錬金術師】 17 〜神〜



「ショウ・タッカーが殺された!!」


久しぶりに軍部へ行くと、丁度その日と重なった。



あぁ、ツィてない。



何でこんな日に使いを頼むのよ、あの無能は…!!


部屋に入れない。


頭の芯がぼうっとする。


頭の奥で、あの扉の“自分”の声がする。


未来は、変えられない。


勿論、過去も変えられない。



はずるずると廊下にうずくまる。



ちゃんじゃねぇか?」


呼ばれ、顔を上げたらそこには。


「…ヒューズ中佐…」



あぁ、この人も。


もうすぐ殺されてしまう。



気持ちが悪い。


「お、おい、どうしたんだ?」



おどおどと本気で心配する中佐。



優しい。



!?」


大佐だ…。怒。←ぇ。


「ヒューズ!に何をした!!」

「ま、待てロイ!俺は何もしてない!!」

「泣いているではないか!!」



バン!!



「「…!!!!(ヒィッ!)」」


「大佐、早くタッカー氏の自宅へ向かってください」


「しかしだなぁ…」


「大佐…ちゃんなら、私が」


「…頼んだぞ、中尉」


「はい」


大佐と中佐の足音が遠のく。


「大丈夫?ちゃん」


そう言って中尉はの肩に上着を乗せる。


あったかい…


「部屋の中に入りましょう」

「…すいません、中尉も行かなきゃダメなんじゃないですか?」

「遅れたって、文句は言わせないわよ。あの人には」

くすり、と苦笑いをこぼす。

「…ありがとうございます」


「気にしないで」



自分はなんて無力なんだろう。

たしかに誰かを救えるとか、傲慢な事思っていたわけじゃないけれど。

死ぬ人は死ぬし、生きる人は生きる。


運命なんて下らないと思ってた。



神なんて、いないと思ってた。



だけど、それは違った。



未来が分かっていても、変えないんじゃない。


変えられないんだ。



変えられない。


変えても、変えても、きっと。



同じ結末に行きつく。



だから、運命。



それが、あの扉の“自分”に教えられた事。



神。




「じゃぁ私は行くわね」

「はい…」


中尉が部屋から出ていく。


「あら、エドワード君」


開けたドアから中尉の声が漏れる。


ドアが閉められて、そのまま声は聞こえなくなった。


運命だからと言って、大切な人を見殺しなんかにできないよ。


何か間違ってる?


ねぇ、誰か教えて。



運命に、神に、逆らう行為、これは間違ってますか?



―NEXT→

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

限界。←ぇ。