「しかしだなぁ…」
「大佐…ちゃんなら、私が」
「…頼んだぞ、中尉」
「はい」
大佐と中佐の足音が遠のく。
「大丈夫?ちゃん」
そう言って中尉はの肩に上着を乗せる。
あったかい…
「部屋の中に入りましょう」
「…すいません、中尉も行かなきゃダメなんじゃないですか?」
「遅れたって、文句は言わせないわよ。あの人には」
くすり、と苦笑いをこぼす。
「…ありがとうございます」
「気にしないで」
自分はなんて無力なんだろう。
たしかに誰かを救えるとか、傲慢な事思っていたわけじゃないけれど。
死ぬ人は死ぬし、生きる人は生きる。
運命なんて下らないと思ってた。
神なんて、いないと思ってた。
だけど、それは違った。
未来が分かっていても、変えないんじゃない。
変えられないんだ。
変えられない。
変えても、変えても、きっと。
同じ結末に行きつく。
だから、運命。
それが、あの扉の“自分”に教えられた事。
神。
「じゃぁ私は行くわね」
「はい…」
中尉が部屋から出ていく。
「あら、エドワード君」
開けたドアから中尉の声が漏れる。
ドアが閉められて、そのまま声は聞こえなくなった。
運命だからと言って、大切な人を見殺しなんかにできないよ。
何か間違ってる?
ねぇ、誰か教えて。
運命に、神に、逆らう行為、これは間違ってますか?
―NEXT→
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限界。←ぇ。