鋼の錬金術師 【Please trust me】 27 〜そう言うあなたは〜




「んな〜〜〜〜〜〜っ!!」



「おお悪ィ、ぶっ壊れた」


驚愕のウィンリィと、飄々としているエド。


あたしと言えば…。





…何してんの?」



…や!!!!



ハッとして、あたしは我に帰った。







  バ  レ  て  ま  し  た  か  !  !






あとちょっとでばっちゃんの納豆の真偽を確かめれたのに…!!



、それはちゃんとした髪だから」

「え…アル、確かめたの?」



「勿論♪」







流石ですね…!!!←泣きながら。







「で、なに?アルも壊れちゃってるわけ?あんたらいったいどんな生活してんのよ」


「いやぁ」


アルはウィンリィに向きなおって、照れる。


いや、そこ照れるところじゃないでしょ。


「…あれ、あなたは?」





って、今更ですかウィンリィさん!!





「えーっと、です。よろしく」

「お前は何で名前言うときに悩んでんだよ?」

「黙れ」


「…ごめんなさい」


エドが押し黙る。


余計な事言うからよ〜。


は東方司令部に居たんだけど、連れてきたんだ」


「何で?」


「何でって…いけなかったか?」


「ふぅん…別に良いけど」


ウィンリィはあたしをじーっと見て、そして何も言わずに目を逸らした。


ありゃ、嫌われちゃったかな。


「照れてんだよ、あの子は。しょうがないねぇ」


苦笑しながらばっちゃんがあたしに耳打ちする。


、外行かない?何も無いけど、景色は良いよ」


「良いよ、でもアル…」


「大丈夫、少佐に運んでもらうから」


ロックベル家の周りに、余計な物は全く無かった。


「…………とりあえずやる事が無いとなると本当にヒマだな」

ここ図書館もなんも無いし。とエドがぼやく。

「ここしばらくハードだったから、たまにはヒマもいいんじゃない?」


「〜〜〜〜〜ヒマなのは性に合わねぇ!!」


じたばたと暴れるエド。とデン。


((だろうね…))


あ、今絶対アルとシンクロした。


「ここ、本当良いトコだねー」

「でしょ?は絶対気に入ると思った」

「でもお前都会の生まれなんだろ?どこなんだよ」

「どこって…言っても分からないと思うわよ?」

言っても良いけどさ。

「おいおい、都会だったら俺らでも分かるって」

「そうだよ、僕達そこまで疎くないよ?」


やば…あたしって本当無思慮なんだから…。

確かに都会だったら、名前ぐらい知ってるはず。

今生まれを言って、知られてなかったらこの世界の人じゃないってバレる。


「なぁ、何処なんだよ?」

あぁもう!何とでもなれ!!

「…ロンドン」


「「ロンドン?」」


「ロンドンって街よ、あたしが生まれたのは」

「何処だ、それ?」

あぁ〜、もう…。

あたしが頭を抱えてると、アルが信じられない事を言い出しました!!



「…あそこじゃない?兄さん!!ホラ、この間行ったじゃない。ウエストシティーの近くの!」



「え!?」


「あぁ!!あそこか!」




「「歴史と叡智の街、ロンドン!」」






あるんですか――――――!!!???






ロンドン、鋼の世界にもあるんですか!?

さすがに地理までは完璧にしてませんよ、お姉さんは。


「へ〜、ってロンドンの生まれなんだ?」

「う、うん…」

「たしかにあそこは都会だったよなー」

「でもすごく歴史的で綺麗な街だったよね。もうちょっと居たかったのに、兄さんが急かすから」

「しょうがねぇだろ!汽車の時間があったんだから」

2人で盛りあがってる。


それよりあたしは、鋼世界にロンドンがあった事が驚きでしょうがないですよ。


「それに、あの行列!!」

「行列?」

何のさ?とあたしが訊き返すと、エドが興奮した様に身を乗り出した。

「駅のホームでさ!すっげぇ並んでんだよ、何の為だと思う!?」

今のロンドンで…駅のホームで行列?

電車を待ってるんじゃないの?

そうだったら別に不自然じゃないか…。

田舎から出てきた2人が驚く、今のロンドンの駅構内…。



あぁ、まさか。



「写真撮影でしょ」



まさか、ここまで現実のロンドンと鋼の世界のロンドンは似てないだろうけど。




「そうなんだよ!ホームの柱の所で写真撮ってんの!!」







それって、ハ○ー○ッ○ー効果じゃないっすかぁ!!!!






すごいのね、このシンクロ具合…。


あたしは軽い目眩を起こした。


「へー、今度案内してよ」


ここまで似てるんだったら、街並みもそっくりかも知れない。


「うん、良いよ」


あたしは引き攣りながらも、笑って答えた…。




「ところでさ、はいつ国家資格を取ったの?」


急に話題変えたな!?


「いつ…て言うか、つい最近よ?」

「そうなの?」

「うん、エドたちに会う数日前ぐらいかなぁ…」

は14だったよな?」

「うん」

「すげぇな、お前」

エドが寝転んだまま、あたしに視線を向ける。


エドには敵いませんよ。


そして、アルにも敵いません。………色々と。



「ずっと、訊こうと思ってた」



今度は改まって何?




「スカーとの戦いんとき、お前練成陣無しで練成したよな?」


やばっ…。


一応陣書くようにしてたんだけど…最後は咄嗟すぎて書くの忘れちゃった…。


「何を練成したのか、俺たちには分からなかったけど」


そうそう、影だったからね。


「確かに、陣無しでの練成をした」

アルがエドの言葉の続きを言う。





アレを見たのか?」





エドの沈んだ声が、皮肉なほどに晴れ渡った空に響いた。



アレねぇ…見たわよ、一応」





「どこを持っていかれた!!!???」





ガバッと起き上がって、エドはあたしの腕を掴んだ。


「どこも」


言えるワケが無い。



『元いた世界での存在』



それが真理と引き換えにあたしが持っていかれた代価。



それを言うには、まずこの世界の住人じゃ無い事、元いた世界の事、全て一から話さねばならない。




「どこも…だと!!!???」



エドの感情を押さえ切れない声。



「どこも…あたしは失っちゃぁいない」



声が自然と沈む。


だってエドの勢いが凄過ぎて。



「何で…何でだよ!!??」


エドはあたしの肩をひっつかんで、揺さぶる。


「ちょ、ちょっと兄さん落ちついてよ」


アルの制止の声もエドには届かない。




う〜〜〜さすがに気持ち悪くなってきたなぁ…。



「ちょっとエド!くわよ!?」



「おお吐け!!!教えろ!!」



「そっちじゃないわよ!!気持ち悪…」


「に、兄さん、兄さん!!死んじゃうって!!」


アルの言葉でやっとエドもあたしを放してくれた。


「で。は、その…人体練成を?」

言い難そうにアルが続ける。


「言えないわ」


そう答えるしかない。


だって、あたしは錬金術師じゃないし。

人体練成なんてできないんだもの。




それっきり、2人とも何も言わなかった。





沈黙だけが、その場を支配していた。






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いやぁ。

色々と遅くなってすみませんでした↓。

しかも短い。

てか、鋼9巻!!!!リザさん萌え〜( ̄m ̄* )ムフッ♪