鋼の錬金術師 【Please trust me】 29 〜旅の終焉〜
「早くしろよアル!!」
「兄さん、そんなに急がなくても………」
「うむ。図書感は逃げる事はないぞ」
「いいから早く!」
ロックベル家をあとにして、あたし達は一路やってきました。
「来たぜ、セントラル!!」
エドはしゃぎすぎ〜。
「アームストロング少佐、おむかえにあがりました」
ビシっと敬礼して言うのは、ショートヘアーに目尻のほくろ、
ロス少尉だ。
これから過酷な運命が待ち受ける、人。
「うむ、ごくろう。ロス少尉、ブロッシュ軍曹」
「おっ、こちらが鋼の錬金術師殿でありますか」
ブロッシュ軍曹がアルに向かって言う。
「マリア・ロスです。お会いできて光栄です!」
「デニー・ブロッシュです。いやぁふたつ名通りのいでだち!貫禄ですな!」
にこやかに自己紹介する二人。
エドが阿修羅のような顔になってます。
超笑える!!
「え?あのちっこいの?」
あ〜、地雷踏んじゃったね!!
超ウケるって!!
「こっ…これは失礼いたしました!!」
「ちっこいなどと。いえ、その…」
困ってる二人を尻目に、エドは既に激怒。
「まーまー、そんなに怒る事無いじゃない、本当の事なんだし…気にする事ないって!」
「そう言って爆笑すんな!!」
キーッとエドがあたしにも威嚇する。
猿かお前は。
でもそんなところも愛らしいよ、エディ☆
「…逆効果だよ」
「そう?」
しれっとあたしは言い放ち、笑い涙を拭う。
「では我輩はこのまま中央司令部に報告に赴くゆえ」
「え?何?ここでお別れ?おつかれさん、残念だなぁ、バイバイ!!」
エド嬉しそう〜。
が、そんな厭味にも気付かないのが少佐の素晴らしい所。
「我輩も残念だ!!まっこと楽しい旅であったぞ!!」
涙を流しながら少佐はエドに抱きついた。
ほ〜らね。
「また後ほど会おう!!」
そうそう、また後ほど会えるんだから。
「あとはまかせた!」
「はっ!」
少佐の大きい後姿を見送りながら、あたしは「さて」と言った。
「エド、取り敢えずあたし達の旅もここで終わったワケよね?」
「あ?どうしたんだ、急に?」
エドが首をさすりながら眉を寄せた。
「あたしは図書館には一緒に行かないわ」
「何で!?」
「あたしは東部へ戻るわ」
あたしの言葉にエドが言葉を無くす。
「でも…それって1人で、って事でしょ?危ないよ、も国家錬金術師なんだから…」
スカーの事があるし、とアルは言う。
「まぁ…大丈夫でしょう」
大丈夫。
スカーは当分出て来れない。
ウロボロス組と戦闘して、傷を負ってるはずだ。
「大丈夫かなんて分からないよ!」
「分かるよ、絶対大丈夫」
確信があるもの。
「あの〜…そちらの方も錬金術師…?」
「あぁ、失礼しました。“影忍”の二つ名を持ってます。
・です。よろしくお願いします」
ぺこり、と御辞儀する。
「「えぇッ!!??」」
リアクションが大きくて面白い人達だな…。
「、俺らにも護衛はつく。大佐にだってそれはついてるそうじゃないか。
1人で行動なんて命取りだ、一緒に行動しよう」
真剣な眼差しでエドは言ってくれるけど。
「うれしいけど、帰らなきゃならないの」
大佐のいる東部に。
「大丈夫よ、スカーは絶対しかけてこないから。ホラ、一応大佐にも勝ったしさ。
強いんだよー、あたしってば」
「た、大佐に勝ったって…」
「大佐!?って東部大佐!?あの焔の!!??」
騒いでいる少尉たちを尻目に、エドは真剣な顔をして。
「だったら、俺たちも一端東部へ向かう」
は?
「そうだね、兄さん。やっぱり心配だもん。、僕たちも一緒に東部へ行くよ。
それから中央に戻ってくる。さっきも言ったように図書館は逃げないしね」
ちょっと待ってよ!
それじゃぁストーリーが違っちゃう!
図書館は逃げないけど、消えてるんだよ!火事で!!
あたしは慌てて手を振る。
「や、ちょっと待って!!良いって、1人で大丈夫!!」
「ダメだ」
「エド…そんなにあたしの事が…」
「大事だ」
そ、んな真面目に答えないでよ。
「フザけて言ってんだからつっこめよ、豆!!」
「豆って何だよ、悪ィかよ!」
「、本当に僕等は君の事が大事なんだよ?お願いだから」
「アル…」
嬉しいけど、それじゃぁダメなの。
「折角のチャンスなんだから、早く調べた方が良いよ。心配してくれてありがと。
でも大丈夫だから…ね?エド」
「ダメだ」
「…エド〜」
泣きそうになって頼むけど、エドとアルはいっこうに許してくれない。
仕方無い、か。
「じゃぁ力ずくでもここに留まってもらうわ」
にやっとあたしは笑った。
それが厭な印象を与えたのか、2人の纏う空気が震える。
「ちょ、!!」
パン!!
言うが早いか、あたしは手を合わせダァン!と地面に手をついた。
シュルリ。
そんな擬音語が正しいかは知らないが、エドの足元の影が動く。
「エド、エドの二つ名の“鋼”はその義手から来てるのよね?」
くすっと笑み付きで言ってやる。
「あたしの“影忍”の名はね…あたしの得意練成物に由来するのよ」
アルの足元にも、少尉、軍曹の足元にも影。
「なッ!!??」
「兄さん、動けないよ!!」
「!何だこれ!?」
「何って…あなたの“影”でしょ?エド」
あたしは妖艶に笑むと、じゃぁ!と手を上げ踵を返した。
「!!待て!!くっそ―――――!!」
大声が聞こえるけど、あたしは素知らぬ振り。
さて、東部に向かう汽車はどれかな〜。
「あ、あれだ」
見つけて乗り込むと、まもなく発車した。
慣れない座り心地に溜め息一つ洩らし、あたしは東部へと向かった。
―NEXT→
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いや!!
何かギャグが出てこない…!!
次はオリジナルストーリー編です。
そんでもって、その次は…ヒューズ中佐の…