鋼の錬金術師 【Please trust me】 28 〜ウィンリィとあたし〜
「完成!」
階下に降りると、ピナコばっちゃんとウィンリィと、
上半身はだけた(←重要)エドが……♪鼻血。
「できたんだ?機械鎧。お疲れ様です」
「おぅ!どうだ!?」
いや、どうって聞かれても…。
素晴らしい萌景色ですが?(エドのはだけ具合が。←重要)
「アル!おまたせ――――!!」
ウィンリィの説明も聞かずにエドは走り去って行った。
「本当、お疲れ様です」
「うん、本当疲れた」
はぁーとウィンリィの溜め息。
ネジ1本忘れている事は言っちゃいけないわよね。
あたしは心中で確認する。
「じゃぁあたしゃ部屋を片付けるとするか」
そう言ってばっちゃんは部屋を出ていく。
残されたあたしとウィンリィ。
「…さん」
「はぁい?」
さん付けされた事に妙な違和感を感じつつ、あたしは返事を返す。
「さんは、国家錬金術師なんですか?」
「…えぇ、まぁ」
「そうなんですか…」
なぁんでそこで言葉が濁るのかな??
「アイツは、無茶してませんか?」
「…え?」
「エドたち」
「あぁ…」
「…本当は、あたしがついていって…」
「見守りたい?」
あたしが言葉の続きを言うと、ウィンリィは苦笑を洩らした。
あたしは頷いて。
「そっかぁ…うん、そうだね」
良いね、なんか。その感じ。
…母性本能っての?←お前が言うと禍禍しいよ。
知らないうちに、あたしは微笑みを浮かべる。
幸せな感じ、っての?
「無茶、かぁ。してるねぇ…じゃなきゃ、機械鎧壊れる事無いデショ」
ウィンリィが俯く。それを見、あたしは続ける。
「でも、それは分かったところで止める事なんてできないし。そんな権利も義理も無いし」
仕方が無いよ、と呟く。
「何か、冷たいですね。さんって」
…。
「現実に生きてるだけだよ、ウィンリィ」
あたしはそう言い残すと、部屋を出た。
実際ね。
エドを止める事も、責める事も、諭す事も。
アルを慰める事も、訴える事も、包む事も。
出来るんだよ、だけど、出来ないんだ。
言葉では言い表せないけど。
一緒に歩いて、泣いて、戦って、例え目指す未来が違っても。
それで自分の気が済むのなら。
それぐらいしか、出来ない。
ウィンリィには、出来るかも知れないけど。
「あたしには…できないよ」
未来が、分かるから。
「殿?」
「あ、アームストロング少佐」
「どうしたのだ?中に居たのではなかったのか?」
腕まくりをした少佐が、汗を拭き拭き入ってきた。
「えぇ…まぁ」
「…どうかしたのか?」
「いえ、何でもな「怪しい」
ち。
近い近い!!
顔近い!!
「い、いえ、少佐。エドやアルは、幸せ者だなぁと思いまして」
「…うむ、ここは本当に良い所であるぞ」
「羨ましい限りです」
あたしは窓の外、遠くを見て言った。
「殿は、故郷というものは」
「ありますよ、一応」
「一応、とは?」
「…けれど、今は帰る家も、待ってる人も、何も持ってません」
ここには、何も無い。
「家族は」
「いません」
何、してんだろうな。母さん、父さん。
「理由を聞いても?」
「止してください、昔の話をするのは好きじゃないんです」
話しても、きっとそれは雲を掴むような徒労でしかない。
「独りなのか?」
その問いに、あたしは口を噤んだ。
「…いえ」
しばらく考えて、出した答え。
「大佐がいますから」
言葉とともに、苦笑が漏れた。
「そうであるな、うむ。それで良いのだ」
少佐が満足げに笑むもんだから、首を傾げる。
「何がです?」
「今日一番良い顔をしている」
大佐。
元気にしているだろうか。
どうせまた、そこらの女の人を引っ掛けて食事にでも行っているのだろうな。
「そう言えば、殿は何故国家錬金術師に?」
「ちょっと、手に入れたい物がありまして」
「手に入れたいもの?」
「それが手に入ると、きっと取り戻せそうなんです」
「何をだ?」
「…自分の存在を」
「存在?」
過去の自分と、自分の持っているもの全てを。
「それはどう言う「おや、お2人さん、お茶でもどうかね」
少佐の言葉を遮って、ピナコばっちゃんがやってきた。
ナーィスタイミング★←ウィンクバチコーン★
「もらいますー♪」
紅茶にクッキー、テーブルに並べられる。
「あの子たちはまだやってるのかい」
窓の外を見、ばっちゃんは呆れながら言った。
外ではエドとアルが組み手をしている。
「む…兄弟喧嘩か?」
少佐は立ちあがると、エドたちのいる外へ出ていった。
「トレーニングでしょ?」
その後姿を見送って、あたしは口を開いた。
「そうだね、あの子たちらしいやり方だ」
「そうですね…」
「お前さんは、ウィンリィと話したかい?」
変な事を訊くな、と思った。
「えぇ、まぁ」
「どうだい、あの子は」
「どうって…」
可愛い子だと思いますが、何か?
だって金髪だし…ナイスバディだし??←お前変態だろ。
「あの子はちょっと考えが甘いところがあるからねぇ」
「いえ…でもウィンリィが羨ましいです」
「そうかい?」
「何だかんだ言って、幼馴染だし。きっと2人を支えられます」
「お前さんは、良く2人を見ているね」
どう言う意味か分からず、あたしはキョトっと目を見張る。
「お前さんぐらいの位地にいるのが、本当は良いんだけどねぇ」
「…でもあたしは」
もし大佐とエドが対立したら、大佐の方に立ってしまう。
すぐ、裏切ってしまうと思う。
きまりが悪くて、あたしは俯く。
「お前さんは、あいつらと一緒に中央へ行くのかい?」
「中央まで行きますが…取り敢えず東部へ」
大佐に会いたいし。
「そうかぃ、なら達者でな」
ピナコばっちゃんはそう言うと、カップを流しに置いてさっさと部屋に戻ってしまった。
あたしが洗えって事かな…
まぁヒマだし、いっか。
ここにいるのも、あと少し。
そしたら中央に寄らずに東部に戻ろう。
―NEXT→
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みなさん久しぶり――――――!!
駄作再び。短い上にギャグっぽくなくてスミマセンwそして夢っぽくないw
えーっと、目の前にある筈の鋼3・4巻が行方不明なので、
続きが書けません。←言い訳だろ。
いやはや。
何で無いのかしら。