鋼の錬金術師 【Please trust me】 9 〜守るためには〜



奴はやはり強かった。

構えは隙が無いし、何より速い。


近づいてくるところまでは見えたが、吹っ飛ばされるまで何をされたか分からなかった。


咄嗟にとった受身の姿勢のまま、はザクを見上げた。



「見せしめに、殺してあげる」

「…この世界の人はどうしてこうも穏やかじゃないのかしら?」

「大佐の悔しがる顔が見たいよ…」

「うわぁ…悪趣味。でも私は大佐の何でも無いんだから、殺したって何にもならないわよ?」

はのろのろと立ちあがる。

「それはどうかな?」



チッ。


サブオリキャラの割りに頭いいな、こいつ…。←おい。



再度、ザクは床を蹴った。

瞬間。

もう奴は目の前にいた。



「…ッ!!」


後ろに飛んで、奴の拳を避ける。


「やりますね!」

ザクが驚いたように言った。


そして気付く。




あの野郎、はいたままじゃん!!!!



今日モップかけたばっかだったのに…。


の脳天噴火3秒前。


「何ですか、覚悟は決まったのかな」


2秒前。


「それじゃ、その潔さに敬意を表して」


1秒前。


「ほんの数秒、神に祈る時間をあげよう」


0…


「ふっざけんじゃないわよ!突然家侵入しておいて、挨拶もろくにせずに、殺すだぁ!?」


「なっ?!」


「そこに座れ!座!詫びろ、そして靴を脱げ!大体何?神に祈る時間?
 生憎私には祈るべき神様をこの世界に持って無いのよ、バカ!」


パン!とは両手を軽く叩く。

そしてそのまま、床にバン!!と手をついた。


バシィ!


「ぅ、わっ!!??」


ザクの足元の床が抜ける。


「お、お前何者だ!錬金術師か!?」


「なぁにが錬金術師か!?だ!私は忍だ!!」


は怒りに任せて言い放つ。


そして、ふぅっと深呼吸をして、もう一度同じ動作を繰り返し、今度は静かに呟く。


「影よ、捕えよ」


一筆書きの星、つまり五芒星の紋がカッと光ったと思うと、ザクは影によって縛られていた。


この程度で大佐を殺しに来たとかぬかしたのか、この野郎は。


これじゃぁ自分の出る幕でもなかった。


例え奴が大佐に会っていたとしても、奴が大佐に勝てる確率なんてノミ分の1もなかったのだから。



「畜生、離せ!」


「誰が離すか、このちんちくりんが!」


地獄で閻魔に詫びて来い!


の怒りの鉄槌が、ザクに振り下ろされる。

どがっ!!



バタン!!


ザクが気を失ったのと、玄関の戸が開いたのはほぼ同時。



!」



「大佐!?」



大佐はを見止めるやいなや、呆けた。



「大佐!ちゃんは!?」



あ、中尉だ♪(


ちゃん!!…って、これは…」


ホークアイ中尉も言葉を失う。


そりゃぁそうだ。


廊下の壁はえぐりとられてるし、電話は大破、そして床は抜け、男が埋まっている


そしてその男は気を失っていて、はと言えばケロリとしている。



「あれ?少尉までいるじゃないですか〜」


ちゃん…どうしたら、こうなるわけ?」

「いや…どうしてって言われても…」


奴を敵だと認識した瞬間に、こうなってたからなぁ。


「大佐〜?大丈夫ですか?」


がしっ!!


な、何!?


セクハラ!?←それはちょっと違。


「っはぁ〜…!!」

「はい!!」

「大丈夫なのか…?」


大佐はの肩をつかんで、言った。

その姿勢のまま、視線を下にずらす。


が出ているぞ!」


あー…さっき吹っ飛ばされた時に。


怒りで痛みブッ飛んでたよ。


「こんなの大した事な…」

「ダメよ、手当てをしなければ。大佐、邪魔です」


「ちゅ、中尉…(涙」


ちゃん、心配したのよ」

「でも、中尉たち何で…」


「ヒューズから電話があってな。いつもの家族自慢かと思ったら…心臓が止まるかと思ったぞ」


そっか、ヒューズ中佐…。


「大佐、そんなヤワな心臓してたんですか?」


「フザけている場合では無い!本当に…心配したんだぞ…」


い、いや、大佐!

何かキャラ違いますよ!!



ダメですって。



が騒いじゃうから。←何の。



あーぁ、雰囲気台無し。




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主人公、強いっすよw笑。
次で、第1章終わりです。