【桜蘭高校ホスト部】
ガチャ。
「こんにちわー」
「「「「いらっしゃいませ」」」」
バタン。
どうも、昨日付けでこの学校に転校してきた、です。
何度も言うが、ここは桜蘭高校と言う高校ですから。
【扉を開けるとそこはホストクラブでした】
「ハルヒと言い、と言い、どうしてこう遅れてくるかな?」
はぁ、と鏡夜が溜め息交じりに扉を再度開ける。
軽い目眩を覚えてあたしは額を押さえて、鏡夜を見上げた。
「なんだ、頭痛か?」
鏡夜のきょとんとした表情。
「何々、ちゃん病気なの〜?」
モリ先輩に抱えられたハニー先輩が、相変わらずの様子で言う。
「「帰って寝た方が良いんじゃないの」」
そして相変わらず、双子には嫌われているようだ。
「ッ、頭痛にはコレだ!!庶民が好んで飲むと言う…バ○ァ○ン!!
忙しさ故に人の温かみを忘れた庶民諸君が、病気の時ぐらいはと考え出した…聞いて驚け!!
この薬の半分は…なんと優しさで出来ている!!!!!」
バ――――――ン!!!
盛大な効果音とともに環はバ○ァ○ンをご紹介なさる。←何。
普通に差し出せないのか。
そしてその無駄に長い、間違った説明は何だ。
「感動だねえ〜」 「「庶民の知恵の結晶だね」」
ハニー先輩や双子の呑気な声が聞こえる。
「因みにこの薬の半分は…俺の優しさだと思って飲みたまえ!!」
「バカか」
あたしはしれっと言い放った。
これ以上茶番に付き合っている筋合いは無い。
「て言うかさぁ」
光の声にあたしは向きを変えた。
「なぁに?」
「髪結びなよ」(光)
「…あぁ、これは失敬」
「それとさ。君1年だったよね?何組?」(馨)
「…A組ですけど」
「「ふぅん」」
なんか文句あんのか。
あたしは腑に落ちない思いを抱きつつ、髪を結う。
「『』なんて聞いた事の無い名前だけど」(光)
「A組なんだね」(馨)
あぁ、そゆ事。
「えぇ…まぁ」
にへらっとあたしは曖昧に笑う。
あたしの本名は、東宮。
実は『須王』と肩を並べる大企業ですのよ。
だけどさ。
良く考えてみてよ。
『東宮』は超一流の企業だけれども、そのご令嬢でもあろうこのあたしが。
そのまま『東宮』を名乗れば、分かっちゃうでしょう?
『東宮』が女だって事がサ。
詳しい話は鏡夜から聞いてるし。
(因みに、鏡夜とは親が大親友で小さい頃から交流があるの。
環とは名家同士の付き合い。
『常陸院』とはあまり関係が無かったりする。
こんな狭い業界でも、有り得る事。)
だけど理事長にはちゃんと言ってあるのよ?
だから『A組』なのは当然でしょう?←お前も高飛車だ。
「で?何で今日は授業サボったの?」(光)
「サボったなんてとんでもない。入学手続きが残ってたからやってただけよ」
全く、手厳しい事。
「…バ○ァ○ン…」(環)
「要らないわ」
ぴしゃり。
「環、いい加減諦めろ」(鏡夜)
「母さん…」
「誰が母さんか。お客さまがお見えになる」
そうして今日も、ホストクラブが開店する。
「「「「いらっしゃいませ」」」」
「あ、ねえねえ。ちゃんの為に梅干持って来たんだよ〜」
「わ★本当ですか」
ハニー先輩の家の梅干は格別に美味しい。
いや、でも。
「…甕、ですか?」
「うん。甕であげる♪」
そう言ってモリ先輩に差し出されたのは大きな甕(壷か?)。
どうやって持って帰れと?
嬉しいのですが、軽いイジメですか?
うちにはモリ先輩のような荷物持ちいないんですよ!!←酷。
「そう言えば、ちゃんは今何処に住んでるの〜?」
「マンションに1人暮らしです」
「そうなの〜?寂しいねえ。今度遊びに行って良い?」
「良いですよ〜」
正直、独り寂しいし。
ポツンだし。
本当先輩たちが来たら…騒がしくなるだろうなぁ…←遠い目。
「ところでハルヒは?」
「ハルちゃん?どうしたんだろうねえ〜」
「図書館だぞ」
「あ、きょーちゃん」
「ハニー先輩、モリ先輩。お客様が見えてますよ」
「は〜い☆」
「ハルヒ図書館なんて行くんだ」
2人が去っていった方を見ながらあたしは呟いた。
「藤岡は特待生だからな。それ以上に、勉強は苦じゃ無さそうだ」
「へぇ…良くそんな人をこの部に入れようなんて思いましたね。…鬼か、あんたら」
「それも一興だろう?それに藤岡には一つ貸しがある」
「あぁ、壷?」
「世間話はここまでだ。にもお客さまが来てる。第1号だな。頑張れよ」
「はぁーい」
「くれぐれもバレるなよ」
「了解です、お母さん」
「だから誰がお母さんだ」
あんたに決まってるじゃないかい、ブラックマザー☆★☆★←色んな意味で意味不明。
接客は嫌いじゃない。
だけど…やはり慣れない。
「まぁ、くんはお1人で暮らしになっていらっしゃるの?」
「はい、両親はイギリスの方にいますので…」
「寂しくない?」
「そうですね…寝る時や食事の時は思いますけど…
学校にくればこうして皆さんとお会いできるので、その分楽ですよ」
にこっ。←悲しげな微笑みビーム。
向かい合っていた女の子が、照れて俯く。
フッ…あたしこの仕事向いてるかも。
「…あ、お茶いりますか?」
そして必殺!下アングル!!
「も、もらおうかしら」 「あ、あたしもっ!」
「そだ…梅干は好きですか?」
「え…?はい、大丈夫ですけれど…」
「いかがですか?さっきハニー先輩にいただいたので…ハニー先輩の家の梅干美味しいんですよー」
「まぁ、ハニーくんの?いただこうかしらっ」
にこり、とあたしは笑って応える。
「先輩、緑茶あります?」
鏡夜に尋ねてみる。
「あるが…何故だ?」
「…梅干を」
「は?」
「梅干を召し上がっていただこうと思って」
「そんな事か。…にしても梅干が茶菓子とは聞いた事が無いな」
「良いじゃないですか、新鮮でしょう?」
表面上、あたしは鏡夜に敬語を使っている。
「…まぁな」
そう言われて渡された湯呑と、小皿。
湯呑高そ――――…。
「そうだ、ハルヒ来た?」
「あぁ、来てるぞ」
「やっと来たんだ」
あたしはハルヒをチラリと見る。
「、お客様を待たせるな」
「…あぁ、ごめんごめん」
今日一番思った事。
やっぱり梅干は最高だ。
ハニー先輩の家のがネ。
NEXT STORY!
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第2話。
管理人、実は梅干は苦手デス…。