【桜蘭高校ホスト部】
「あぁ、事故死の」
あははは(笑)
ハルちゃ〜ん、何言ってるのかな??
お姐さん全然分かんないぞー?←読者はそれ以上に分かりません。
どうも、、1年A組、ホスト部所属。
朝、教室に入るなり、同ホスト部の藤岡ハルヒにそう言われました。
「事故死?」
「光と馨が言ってた。入学前に事故死した子の席なんだって…あそこ」
いや、どう考えてもあそこは。
あたしの席ですよ?
ホラ、座席表にも『』って書いてあるじゃない。
新手のイジメですか?
「「おはよう、ハルヒ」」
「おはよう、2人とも」
朝からあたしの頭を最大級に悩ませてくれた元凶が現れたよ。
「あれ、髪切ったの?」
馨があたしを見て、言った。
すごっ、気付いたよ、この人。
「本当だー、ベリーショートにしたんだ?」(光)
「まぁ…引き受けたからにはちゃんとしたいし。この方が良いだろう?」
そう、短く切った髪を触りつつ照れ笑いを浮かべた。
「「ふぅん…結構度胸あるんだな」」
お褒めに預かり光栄至極、ってか?
「人を勝手に事故死させる人達には敵わないよ」
何と無く悔しかったので、厭味を一つこぼしておく。
「あぁ、あの席、君だったんだ」(馨)
「ハルヒに変な事吹き込むなよ」
「変?僕たちが?」(光)
何、自覚してなかったんですか。
嗚呼…そりゃぁあんなの(環)とかあんなの(鏡夜)とかあんなこんな人(ハニー先輩・モリ先輩)に
囲まれてりゃぁ自分の個性もかすむわな。。。
でも、充分変な人ですから♪←爽やかな笑顔。
「て言うか、ハルヒ信じてたんだ?」(馨)
「そんな事は無いけど…ウソじゃないかな、とは思ってた」
ハルヒの言葉にショックを受ける双子。
あぁ、ここでもあの小芝居が始まるのか。
双子も上手くウソをつくが。
ハルヒは確実にレベルアップしているのだろう。
「「ひどい…僕等が君にウソを?そんな事するわけ無いじゃないか」」
お前たちは教室までも部室(ホスト部)化してしまうつもりか。
「あんたたちはウソの塊みたいなもんでしょうが」
ぴしゃり、とハルヒは言い放つ。
「ちぇっ、つまんねーの。ハルヒ、お前性格歪んでんじゃねー?」
「光…あんたに言われたく無いよ」
最もである。
「「ハルヒ…!!いつのまにそんな人を信じない子になったの!!」」
急に声を合わせて双子は涙ながらに言った。
何十人その目薬涙に騙された事か。
「って、殿が泣いちゃうよー?」
教室にまであの変な人の事を持ちこまないで頂きたい。
実際ウソついてたじゃないですか、常陸院ブラザーズ。
【扉を開けるとそこは未知の世界でした】
ふぅ。
息をついて、あたしは席に腰掛けた。
前を見ると双子とハルヒ。
全く、賑わしいったらありゃしない。
「くん?」
「あ、はい。何でしょう」
隣の席は…たしかれんげ、と言う人だった気が。
「あなたもホスト部に?」
「えぇ…まぁ」
「そうですの…素晴らしいですわ!」
「…は?」
「笑顔の後に見せるその哀愁に満ちた表情!影を感じます!!」
何だこの人。
「あの人達には無い魅力ですのね!今度あなたを指名しても?」
面倒くさそうだなぁ…。
だけどそうそう断る理由も見つからない。
「えぇ、喜んで」
「本当ですか?嬉しいっ」
頬を赤らめて言われても。
ちょっと妙な罪悪感を感じたまま、部活の時間が迫ってきた。
「はぁ…」
「疲れてるの?」
わっ。
「ハルヒ…あれ?双子は?」
「もう部活行ったよ」
「あ、そうなんだ…」
カタン、とイスを引き、あたしは立ちあがる。
「疲れてるんだったら、休んだ方が良いよ」
「大丈夫だよ、行こうか…遅れるとうるさいし…環が」
最後の部分を強調。
「は環先輩と知り合いなんだ?」
「うん、常陸院以外とは結構交流あるよ」
「そうなんだ」
「ハルちゃんとちゃ〜ん」
「「ハニー先輩!!…とモリ先輩」」
振り向いたら、ハニー先輩とモリ先輩が階段を上がってくるところだった。
「ハニー先輩…歩くのサボってたら身体なまっちゃいますよ?」
あたしのセリフに、皆が黙る。
…あれ、しくじりましたか、あたし。
「……」
ハルヒが咎めるような視線を送ってくる。
「わ〜ん!良いもん、良いもん!なまっててもちゃんには負けない自信あるもん!!」
モリ先輩の後頭部に泣きつきながらハニー先輩は言った。
モリ先輩の頭が危機的状況に。
拒んでも良いと思うんですけど…髪が鼻水まみれになる前に。
「え〜?俺も負けませんよ〜?」
「絶対僕のが強いもん!」
「…あぁ…ある意味そうかも知れませんね…」
「ある意味って…」
言葉のままですよ、ハルちゃん。
「じゃぁさ、…今度勝負してみる?」
げッ。
今喋ったのは、モリ先輩じゃありませんよね。←当たり前です。
「え…?」
ハルヒの呟きがいやに大きく聞こえた。
ハニー先輩があたしを『』と呼び捨てた時は、ブラック降臨3秒前。
口調まで変わっちゃって、マジ危険。
「…冗談、勘弁してください」
ここは引くのが一番。
「だよねえ〜。ちゃんってば、まだまだだもんねえ〜」
にこにこにこ…。
ハニー先輩無敵の笑顔。
こ、怖ぇ―――――――……。
あたしよりショックの大きかった人が一名。
「ハルヒ、大丈夫?」
「え、あ、ハイ」
我に返ったハルヒ。
そんなこんなで部室につく。
「こんにちわー」
ドアを開け、中に入ると既に鏡夜や環、そして双子がいた。
「ハルヒ〜!会いたかったよ〜」
環が言ってハルヒに抱きつく。
「先輩、昨日会ったばかりです」
「冷たいぞ、ハルヒ!数秒でも離れると寂しいものなのだよ、親子と言うものは!!」
それはちょっと語弊がありませんか?
だとしたら。
「俺はめちゃめちゃ寂しい子って事に…」
親と離れて住んでるしね。
「は!ごめんよ、!いや、待て。ホスト部の一員になったからには、
君のお父さんは、俺だ!!!そして鏡夜がお母さんだ!!!」
見ろ、お兄さんもいるぞ!!と環は力説する。
そんな黒いお母さん厭です!!!
あたしを一緒にするな。
「さぁ、お父さんと呼んでごらん!」
ヒィ――――!!
「厭です」
「!!(ガ―――ン!!)」
環が打ちひしがれている。
「要らないお世話ですから」
こんなキャラの濃い家族でやっていける自信がありません。
「ハルヒだけなら引き取りますよ?」
あたしは笑いながら付け加えた。
「誰がやるかァ!!」
環がハルヒに抱きつきながら叫んだ。
「…人を物みたいに…」
「じゃぁ、俺がお父さんやりますよ」
「何を言って…」
「だから先輩はゆっくり休んでてください☆」
「それが良いぞ、環。休ませてもらえ」(鏡夜)
「殿の変わりにか〜面白そうだね」(光)
「殿は休んでて良いよ〜」(馨)
環、撃沈。
これ以上彼を落ちこませておくのも鬱陶しいので、あたしはハルヒに耳打ちする。
「私は先輩が良いですけど」
「ハァルゥヒィィィィィ――――!!!」
うっわー、親子愛。←違。
涙がハルヒにつく前に環からハルヒを救出する。
「ところでちゃんって、1人暮らしだったよね?」
環を無視したハニー先輩の一言。
「ハイ、そうですが…」
「どうやって通ってるの?車?」
そんなの。
「自転車ですよ?」
「お前自転車通学なのか?」(鏡夜)
「「マジで!?」」(双子)
大マジですけど。
そんなに驚かれても困る…。
「自転車…庶民が好んで乗ると言うアレか!」
いや、庶民じゃなくても別に…。
「ハルヒは歩きだろ?」
あたしの言葉にハルヒがうなづく。
「別に普通の事じゃない」
「「庶民派…」」(双子)
いや、だから。
「自転車置き場なんてもう何年も使われてないと思ってた」(馨)
「自転車置き場なんてどこにあるの〜?」(ハニー)
しばしの沈黙。
「「「「知らない」」」」
何処まで自分以外の事に無頓着なんですか。
「ちゃんとありますよ、駐車場の隅に」
やれやれ、とあたしは言った。
「…なんならうちから車出そうか?」
鏡夜の言葉にあたしは首を振る。
「遠慮するわ」
あたしは苦笑とともに返す。
「何故君ともあろう人が自転車なんかで通学を?」
自転車なんかって…。
今、世界中の自転車愛好者を敵に回したね?
「…環ってさ、て言うか皆に訊きたいんだけど…あんた達…自転車乗れるの?」
「「乗れるよー、何、バカにしてんの?」」(双子)
「当たり前だろう」(鏡夜)
「僕乗れるよ〜、勿論崇もねっ!ねっ?」(光邦)
「…(コクン)」(崇)
「…」
視線がハルヒと環に集まる。
「勿論乗れますよ」(ハルヒ)
「…」
「環は…?」
もしかして。
マジですか。
「何、殿、自転車乗れないの?」(光)
ぎくっと肩を振るわせるけど。
バレバレだから。
「…さー、みんな、開店の準備だ」
目が泳いでますよ、須王環くん。
「先輩、自転車乗れないんですか?」
観念したのか、ハルヒだからか、環はやっと口を開いた。
「…乗った事が無いだけだ」
き、聞きましたかみなさん!!
須王環、17歳。
自転車に乗った事無い歴17年ですよ!!←何だ。
「たまちゃん、自転車持ってないの〜?」
びっくりだねえ〜、とハニー先輩が追い討ちをかける。
「今時いるんだな」
鏡夜はファイルを開きながら、仕事に取りかかる。
「「ギャハハ!ウケる―――!!」」
双子、大爆笑。
環さん、凹み過ぎで床にめり込むんじゃないでしょうか。
「せ、先輩…今度乗り方教えてあげますから…」
ハルヒ、それはなぐさめになってないよ。
見て、恥ずかしいんだけどハルヒに教えてもらえる喜びが混ざった表情。
「よし!!明日は庶民の乗り物に挑戦するぞ!!」
「…自転車でしょ」
キツイツッコミが入ったところで、今日も開店です。
「「「「「いらっしゃいませ」」」」」
「自転車の練習って、補助輪付けた所から始めるのかなァ…」
「当然だろう」
あたしの呟きに鏡夜が応える。
「…ちょっと見たくないかも」
「まぁそれはそれで退屈しないから良いんじゃないか?」
爽やかな笑顔とともに、鏡夜はそう言い放った…。
この男…絶対敵に回せない…!!
NEXT STORY!
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
環先輩が自転車に乗ったことが無いと言う事実はありませんので
ご了承下さい。
ハニー先輩、くっろ―――!!(((゚ロ゚)))
ビックリするわ。