【PEACE MAKER】 例えばこんな逸話 THE THIRD STORY
が消えて3日。
「ここまで必死になって探してるってのに、見つからないってどゆこと!?」
平助が溜まらず畳を叩く。
「うるせーぞ、平助」
新八の機嫌の悪さも絶頂を迎えようとしている。
「しっかしよー、何でこうも音沙汰ねぇんだろーな?」
佐之がもっとも冷静な問いを口に出す。
(もう死んでる、とか)
〜 第七夜 Discovery × Doubt 〜
新八は今しがた考えた事を後悔した。
「どーしたの新八っつぁん」
「…別に」
「最悪の状況考えたでしょー」
「煩い」
「新八っつぁん…信じたくないけど、でも」
「平助ッ!!!」
新八は半ば叫ぶように平助の言葉を遮った。
静寂が、部屋を支配する。
「…」
「畜生、何でこんな事になっちまったんだ…」
佐之の呟きのような声が、部屋にこだまして、消えた。
「すぐに局長にお取次ぎを!!!!!」
門から息を切らして入ってきたのは三番隊の隊士。
「どうしたってのサ?」
襖を開け、走ってきた隊士に問いかける。
「あ、永倉隊長!!それが…」
続く言葉を聞いて、愕然とした。
「何だ、何だ?」
佐之と平助が後ろから追ってきた。
「が見つかっただって!!??」
佐之の声を聴かず、新八は既に走り出していた。
五条大橋、その場所に一がいた。
それに、も。
「…新八」
見つけたのは三番隊。
「…?」
(様子がおかしい)
新八が目を細め眉根を寄せると、がため息をついた。
「…屯所に戻りましょう、話があります」
それは、新八も初めて聞くような氷のように冷たい声だった。
「っっっどういうつもりだよ、のやつッ!!」
佐之の怒号にも似た大声が部屋に響いた。
屯所に帰ってくるなり、はただ「局長と副長に話がある」とだけ言って、奥へと消えた。
「俺らがこんなに必死で探してたってのに、言葉のひとつもなしかよ!」
「…佐之。」
「ア゛!?」
「…少し黙ってろ」
新八の低い声が、佐之を黙らせる。
(何だ?)
この胸の中にある違和感は何だ。
確かに見つけたとき、の様子はおかしかった。
あんな、冷たい目をする奴じゃなかった。
「な、永倉さんッ!!!」
しばらくの静寂を破る、自分を呼ぶ声。
「何事ヨ!?」
バッと襖を開けると、息を切らした山崎。
「…余計な事かも知れませんが…今すぐ局長室へ向かってください」
遠慮がちに、山崎は新八へと告げた。
「が、が――……離隊を申し出ました――…!!!」
「な…」
「何だと!!!???」
局中法度
一、局ヲ脱スルヲ不許
右条々相背候者切腹申付ベク候也。
すなわち。
正当な理由無き脱退は…切腹を意味する。
正当な理由が、にあるとは思えない。
ということは、つまり。
「嘘でショ、何考えてんの、あの馬鹿――…!!!!」
新八は局長室へと、走った。
「だからッ、“辞めさせてくれ”の一点張りじゃ許さねぇっつってんだ!」
局長室に近づくと、土方の怒号が聞こえてきた。
「辞めさせてください」
「て、メェ…!!!」
障子戸の前に立ち、新八は息を整える。
「永倉です、失礼してよろしいですか」
静まり返る局長室。
「……入れ」
「失礼します」
ザッ、と障子戸をあけた、そのとき。
パァン!!!!
新八の耳の横をものすごい速さで風が吹きぬけたかと思うと、
次の瞬間。
「ッッッ!!!」
頭から血を流したが、目の前に倒れていた。
駆け寄る新八と近藤、反対に障子戸を開け放ち襲撃者を探す土方。
「と、歳!!まだ撃ってくるかもしれん!閉めろ!!」
「近藤さん、その心配はなさそうだぜ………!!!どういうつもりだ、るぴん!!!!」
「…おや、バレてしまったね」
背中でそんな声を聞きつつ、新八は倒れたをゆする。
「、ッ」
「…わかってるだろ、死んだよ」
「…!!!!」
ルピンの声を無視し、新八はを呼び続ける。
「…テメェ、殺されにきたのかよ…!」
土方のドスのきいた声が響く。
「…別に?彼女、ここを辞めたいと言ったそうじゃないか。
ここは隊を脱するということは死を意味するんだろう?
だから、手っ取り早く、僕が殺してあげたのさ」
「黙れッ!!!」
新八がから離れた瞬間。
パン!!!
先ほどの銃声より、さらに軽い破裂音。
後ろを振り向くと、倒れていたが血の海ごと、きれいさっぱり消え去っていた。
「!!!???」
「…、確かにいただいたよ」
「な、んだと…!?」
土方の困惑の声、近藤は呆然とたたずんでいる。
(何が起こったっての!!??)
新八も混乱する頭をどうにか落ち着けようとするが、到底無理な話だ。
自分の恋人が、乱入者に撃たれて、消えた。
「お前、どういうつもりだ…!!」
「おや、予告状なら出したよ?」
何の問題もなさそうに、さも当然のごとくルピンは続ける。
「それじゃ、用は済んだんで僕はこれで♪」
「待ッ…!!!」
土方の静止虚しく、次の瞬間にはルピンは消えていた。
「新八ッ、大変だ、さっき部屋にこんな紙が…!!」
「ルピンがを狙ってるぞ!!」
大きな声とともに駆けつけた佐之と平助に、新八は静かに言った。
「もう、盗まれたヨ…」
それはもうすでに絶望と、失意を含んでいた。
次項。
〜 第八夜 世界と現在 〜
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久々更新ですw
これどんなオチにしよう…。
その前に、これ、ギャグどこいった(痛)