【PEACE MAKER】 Slapstick 〜School〜
「新八ぃ〜」
「何サ、…俺忙しいんだけど?」
「見てて分かるよ」
「…何なノ」
「中学の制服の方が可愛かったと思わない!!??」
そんな事ですか。
【始。】
新八は書いていた手を休めて、へ向き直る。
「ん〜…まぁ確かにそうだよネ」
中学の時はセーラーだったし。と新八は続ける。
はと言うと、鏡の前であーだこーだしながら慣れないブレザーと奮闘中。
ここは1人暮らししてる新八の家。
「新八もセーラー派?」
いや、何言ってるの、この子は。
「別に…俺はどっちかって言うとブレザー派…」
ってなに真面目に答えてんすか、永倉さん!!
新八は『も』って事は他に誰かセーラー派がいるのかネ、と頭の片隅で思う。
「ねーねー。新八のクラスに可愛い子いる?」
「そんな事訊いてどうするノ。言っとくけど紹介しないからネ?」
「…チッ」
危ないご趣味をお持ちで、。
「それにしても、明日から高校生かァ…楽しみだなぁ」
「そう良いトコでも無いけどネ」
「…新八が生徒会長やるくらいだしね」
「あのねー、これでも俺、結構人気あるんだヨ」
「うわぁ…自分で言っちゃってる…」
「はい、そこ引かないー」
「じゃぁさっ、学校で新八なんて呼び捨てたらヤバイ感じ?」
はくるっと回って、新八の方を向く。
「、今パンツ見えた」
「最悪」
べーっと舌を出して抗議するも、相手はあの永倉新八(大魔王様)
「はっ」
の抗議は一言で吹き飛ばされました。
「で、話戻すけど…ん〜…まぁ場所によりきカナ。3年女子が居る場では危ないカモ」
「何が?」
「の命」
どんなデンジャラーな学園生活が待ってるんでしょうか…。
ピンポーン!!
「平助かな」 「平助でしょ」
「新八っつぁん!!!ちゃーーーーん♪」
(玄関を開けてもいないのに)勝手に上がりこんでくる平助。
それを普通の光景のように見る2人。
そんなんで良いんですか、この部屋のセキュリティーは。
「「出た、暑苦しいのが」」
「ひどっ!!!!」
ガン、とショックそうな顔をしておどけてみせる平助。
新八はシャーペンを握るとまた机に向かう。
「あれ〜?、制服着てたんだ?やっぱり可愛い♪♪♪」
平助が満面の笑みで言いながら座る。
十数年一緒にいて、よくも飽きずに言い続けられるな平助よ。
は半ば呆れながら座る。
「平助は道場の帰り?」
「うん、今日は早く終わったんだー」
「まだ道場やってんだ?相変わらず真面目だねェ、平助は」
「…新八っつぁんが飽きるの早すぎなんだよ…自分だけサッサと辞めちゃってさ」
俺泣いちゃう!と新八に抱きつく平助。
「あーもう鬱陶しい…〜何とかして、これ〜」
「無理」
「でも高校はブレザーなんだよねー、俺セーラーの方が好みなのにィ」
お前か、平助。
ガクーと項垂れる新八に、平助が。
「新八っつぁんはブレザー派だもんね?」
「まぁネ」
「そうだ!!俺が生徒会長になったら女子の制服をセーラーにする!!!!」
「生徒会長にそんな権限無いカラ」 「断固阻止」
「そうなの!?新八っつぁん!!てか、は何でヤなの!」
「セーラーのが可愛いけど、平助の思い通りになるってのがヤ」
「同感」
の容赦無い言葉に賛同する新八。
手は休み無く動いている。
…話ながら文字書くって器用な事してますね。
「いじめだ…」
「てかサ、2人とも部活はどうするのヨ?」
新八の問い掛けに、う〜んと唸る2人。
「俺はやっぱ剣道部っしょ」
「…あたしは帰宅部が良いなぁ」
「何で!?」
「何でって…楽だし?」
「一緒に剣道やろうぜ、!」
「やぁよ、汗臭い」
「汗臭いて!!!」
「ジョークよ、ジョーク。何だか部活とか面倒くさそうだもの」
「でもネ、。きっと先輩方が放っておかないと思うヨ?」
楽しそうに喉を鳴らして笑いながら、新八は続けた。
「中学時代はバスケ部で全国出場、テニスも大会優勝経験あり、
それに加えて柔道、空手、書道、など有段者ともなれば勧誘しないワケが無いデショ」
「天才だからしょうがないよね」
「頭打った?」
の言葉にすかさず入る新八のツッコミ。
「ひどーい、冗談じゃない」
ぶーぶーとがコーヒーをすすりつつ、言う。
「で、さっきから新八は何してんのさ?」
「…明日の挨拶の原稿書いてんの」
「あ、入学式で喋るヤツ?」
「そ」
「あたしが添削しようか?」
「結構です」
「ちぇっ…で、平助は何しにきたの?」
「ん?ヒマだから寄ってみたんだ、ホラ、新八っつぁん寂しがりやだから」
「出てってくれないカナ、平助クン」
新八さんの後ろに阿修羅像が見えたのは気のせいでしょうか?
「ごめんなさい…」
素直に謝っておくのが得策だよ、平助…。
「さて、と。あたしはもうお邪魔しようかな」
「そう?送ってくよ」
新八がそう言って立ちあがる。
こう言う気が回る所、人気の秘訣なんだろうなぁとは1人思う。
それに引き換え…。
「大丈夫だよ、新八っつぁん!を襲うような命知らず、この街には居ないってぇ〜」
デリカシーのデの字も無い平助。
「平助、明日の朝日、拝めない様にしてあげようか?」
「…果てし無く遠慮します…」
「よろしい…じゃぁ新八、隣の部屋借りるね?」
「どーゾ」
は部屋を出ていく。
制服を着替えに行ったのだろう。
「ねーねー新八っつぁん!!可愛くなったと思わない!?」
「…ん〜…まぁそれなりにねェ」
「…新八っつぁんはいつも綺麗な女の人と付き合ってるから麻痺しちゃってんだ!
はめちゃめちゃ可愛くなった!!!」
「…平助、分かったから。人を女癖悪いみたいに言わないでくれる?」
「だっていっつも違う女の人じゃん」
「…あのネ、平助がいつどこで俺を見てるか知らないけど、俺は女の人と付き合った事無いから」
「男と?」
「平助、やっぱり一回死にたい?」
「冗談です」
「とにかく、俺は君が思ってる程器用じゃないのヨ。今は生徒会と部活と勉強で頭破裂寸前なノ」
そう言って新八は原稿に視線を落とす。
「じゃぁも?」
しばらくの間。
「…何でそこでが出てくるのサ」
「…何でもない」
「…ふぅ〜ん」
微妙な雰囲気が漂う。
「あれ?どうしたの2人とも」
私服に着替えたが部屋に入ってきた。
「何でも無いヨ、行こうか?」
「…?うん、ぁ。でも良いよ、まだ明るいし」
はカバンを持つと、部屋から出た。
そう広くは無いが、綺麗なリビングを通りすぎ、玄関へ向かう。
「お邪魔しました〜」
「はいはい、明日ね〜」
遠くで声が聞こえた。
新八のマンションから通りへ出ると、猛然と走ってくる男が。
「ひったくりよ――――ッ!!!!」
あぁ、そう言う事ですか。
は了解した。
「どけぇ!女ァ!!!」
更に、は了解、と男に道をあける。
男がの横を走り抜けようとした。
その瞬間、は男の足を払った!
ガッ。
ズサァ!!!!
額でアスファルトを滑るようにズッこけた男。
うわぁ…超痛そう…。
その男の手から離れ舞いあがったバッグは、ストンとの手に落ちる。
「はい、ドーゾ」
営業用スマイルで女の人へバッグを渡す。
「あ、ありがとうございます!!」
「いえいえ、気をつけてくださいネ、可愛いお嬢さん♪」
は男女人間動物問わず、可愛いモノが大好きだ。
…平助に感化されたか、と新八は言う。
「危ない!」
あたしの背の方を指差して、女の人は小さく叫んだ。
さっきの派手にコケた男がナイフ片手に突っ込んできた。
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