【PEACE MAKER】 Slapstick 〜School〜
引き続いて新撰学園球技大会であります。
天気は快晴。
しかしの気分はどんよりであります。
「案ずるな、気にせずとも我等のクラスは優勝する」
(あたしが気にしているのは勝敗の行方じゃありません!!!)
は心の中でそう愚痴る。
【剣道部長はノーコンですか。】
今、と沙夜は鉄と一とともに卓球会場にいる。
が一の発言にげんなりしていると、背後で黄色い声。
「何?」
振り返ると一つの卓球台を囲む黒山の人だかり。
「沖田さんが試合をするんだ、だからきっとソレだ!」
鉄が人ごみへと駆けていく。
「も来いよ!」
大声で手招きされ、も人ごみへ混じる。
(きっとあの沖田先輩のことだし…華麗に勝つんだろうなぁ)
は1人そう妄想想像する。
「沖田さーん!!」
どうやら鉄は総司の事を“沖田さん”と呼んでいるようだ。
その呼びかけに総司がや鉄に気付く。
「ぁ、鉄クーン!サーン!!」
黄色い声援はなおも止まず、は眉根を寄せた。
が、しかし。
総司がこちらに向かって満面の笑みで手を振ってくるもんだから
人だかりの視線が一気にたちへと集まる。
コソコソと話す声が耳に入る。
(何よ、やな感じ)
がむすっとするが、隣の鉄が総司へと大手を振る。
「応援に来てくれたんですかっ?」
「え、えぇまぁ…」
「沖田さん頑張れー!!」
「はーい、鉄クン。見ててくださいねー!」
にこ、と笑って総司が言うと、周りから黄色い声。
その一つを聞いてみると。
「きゃー!沖田さんかっこいい!あぁもぅ気絶しそう…」
(な、何―――――!!!)
はバッと声のした方を向く。
貧血でも起こしたように倒れそうになる女の子。
恐らく、鉄クン、の部分を自分の名前に変換しただろう。
いや、絶対。
「それじゃ試合を初めます」
審判の合図と共に、総司の敵からのサーブ。
卓球のダブルスは交互に打っていくのがセオリーだ。
総司のダブルスの相手、敵、そして次は総司の打つ番だ。
「いっけぇ!!沖田さ――――ん!!」
総司のラケットがピンポン玉に当たると思った瞬間。
スカッ。
ェ?
え?
一瞬静まり返る卓球場。
「お、沖田さん?」
鉄の呟きに我に帰る空気。
(沖田先輩、空振った――――!!!!)
気を取り直して、次。
スカッ。
スカッ。
スカッ。
(お、沖田先輩――――!?)
見事なまでに空ぶっていく総司。
勿論試合結果は。
「あはっ、負けちゃいましたねぇ〜」
テヘ★と愛らしい笑みの付いた発言に、またも。
「あぁ、気絶しそう…」
は!?
その言葉と笑みで空振りの敗北帳消しですか!!??
女って簡単なんだな…(貴様)
「さんっ!」
「沖田先輩、お疲れ様ですー」
「負けてしまいました〜」
参りましたねぇ〜と恥ずかしそうに笑む総司に、は思わず口ごもる。
(ウン、帳消しにもしたくなるわね(納得)
「沖田先輩球技苦手なんですか?」
「ハイ、何かノーコンみたいで」
ェ、ラケットにすら当たってないですが…。
「沖田さん!」
「鉄クン、鉄クンと斉藤サンはどうだったんです?」
「あ、一応初戦突破です!!」
「良かったですねぇ〜頑張ってください!!」
鉄と総司の会話を聞いていると、ちょいちょいとの裾をひっぱる感触。
「何?沙夜」
「もうすぐ…」
そう促されて時計を見やる。
「そっか、花の試合ね。ちょうどあたしたちの試合もあるし…行きましょうか」
こくん、と沙夜が頷く。
(そういえば…)
平助の試合はいつだったかしら、とは考える。
体育館にいるだろうか。
「それじゃ沖田先輩、鉄っちゃん、あたしたち行くね」
「あ、ハイ。頑張って!」
「頑張れよー!!」
「りょーかい」
片手を上げてと沙夜は卓球場を後にした。
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