【PEACE MAKER】   Slapstick  〜School〜






「選抜試験は、体力・料理・知力の三番勝負!」

総司の凛々しい声が格技場に響く。

ステージ場には代表的な剣道部員が並んでる。

はその他の参加者の子と一緒に、それを見上げてる。

端っこ、一番後ろ。

の位置。







【笑顔に恐怖を覚えます。】








ッ、!!」


横から声。

聞きなれた、平助の声だ。


「平助!!」

「シィ―――――ッッッ!!」


いや、あんたの声のが大きいよ。


ってば、楽勝だね!!」

「何でよ…」

「だって、ってば運動神経抜群じゃん!それに入学試験主席でしょ!?」

「…天才だから」


「ん、でね!」




…無視ですか。




「頑張ってね!!!!」




だから声大きすぎるでしょ。




!!」

「あらぁ…花??」

は少々目を見張り、呼び主の名を呼んだ。

そこには入学初日から仲良くなった花と沙夜。


もマネージャー志望?」

「ん…?まぁね」

「昨日の人、剣道部なんだ?」


花は視線で平助を指す。


の彼氏」

「彼氏じゃないから」

「………すっごい見てるよ」


が振り返って平助と目が合うと、平助はすごい勢いで手を振ってきた。






うわぁ…。






他人の振りしよ。



は一瞥をやるとすぐに無視を決め込んだ。



―――――ッ!!」


無視しないでェー!!と叫ぶ平助。





…無視したくもなります!!





…呼んでるよ…」

花もあきれ声だ。

「…はぁ…」


は駆け出すと、平助のそばへ寄る。


「平助ッ!お願いだから静かにして!!」

「…だって、〜」

「応援は心の中でしてて!」

「おう!任せとけ☆」


親指でグッとサインし、その上爽やかにウインクまでブチかます平助。





不安だ………。





深いため息をついて、は人ごみに混ざる。


「噂で聞いたんだけど、って永倉先輩とも知り合いなんだって?」

花の言葉には眉をひそめる。

「噂?」

「うん、みんな言ってるよ」

「…知り合いっていうか…幼馴染…」

「マジで!?」

花がに詰め寄る。

「マジ」

「えーっ!うらやましい!!昨日の人だって何気にすごいかっこいいし!!」

「そうかなぁ…」



平助がかっこいいか?



そう首を傾げて、振り向く。

目が合うと、平助は嬉しそうに手を振ってきた。







…どこが。







はじとりと目を座らせ、すぐに目を逸らす。



さん、不機嫌マックス。



「第一選抜は入試結果、考査結果と、剣道への愛!です」


にこり、と総司は笑んで告げる。


「すでにこちらで選抜させてもらってますので、番号を呼ばれた方は残ってください」

他の方は申し訳ありませんが、脱落です。と総司は続ける。

の番号は19番。

取り敢えず第一選抜はクリア。

午後から、体力と料理の選抜があるそうだ。




、良かったネ」

「ちっ、白々しい…」

「うわっ、ガラ悪っ」

「誰のせいよ、誰のー」

は昼食を平助と新八とともにとる。


サンっ」


後ろから呼ばれ、は振り向いた。

「あ、沖田さん」

「これっどうぞ」

差し出されたものに、見覚えがある。

こ、これは…世に言う。



「お弁当ですか?」

「お弁当だネ」

「はいっ、お弁当ですっ!!」


上から、、新八、総司。


これ、明らかに手作りですよね?


は恐る恐る尋ねる。


「これ沖田さんが…?」

「はい!早起きして作りました♪サン頑張ってくださいね!!」


手作りお弁当とは…










乙女っっっっっっっ!!!










、ちょっとズレてるコト考えてるだろうから、現実戻ってきてくれる?」

(手作りお弁当=乙女は)ズレて無いでしょ」


新八の呆れ声に、は抗議をする。


「て言うか、お弁当はみんなに配られてるからね」

「へ?」


よく見ると他の出場者(?)の子の手にもお弁当が。


でも。


「包みが違う…」


はポツリとこぼす。


「…はい、サンは特別ですから♪」


「特別?」


「他の子のと取り違えないでくださいね?…危ないですから

















何が!!!!????

















総司はにこにこ爽やかに笑っている。


「え、沖田さん、それってどういう…「総司!!」…え?」


の言葉を遮ったのは土方の声。


「あ、すみません、サン、またあとで!!」


そういうと、笑顔のまま総司は去っていった。


「…新八…」

「何ヨ」

「どういう意味?」

「…俺に訊かないで」


新八もと同じく、呆けて圧倒されている。


「何か入ってるのかねぇ」

「…」

毒でも、と言う平助の言葉に「ありえない」とはつっこむが。



「…有り得る…」






ぇえ――――――――!!??





「そ、そんな新八…」


冗談でしょ、とが苦笑を浮かべる。

が、新八の表情にの笑みも次第に消える。


「まさかねぇ…」


の呟きは快晴の空へ消えた。











「うそぉ…」


午後になって、集まった出場者は1人。


「みんなリタイアしてしまって…困りましたね」


なんて素晴らしい笑顔で言うのは勿論この人。


「総司、じゃぁで問題無いネ」


「勿論です♪」


誰もこの笑顔には勝てない、そう痛感したであった…。






…花や沙夜はどうなったんだろう…。






小さな不安が心に棲んだ。








NEXT STORY!!