【PEACE MAKER】   Slapstick  〜School〜





かくして、は剣道部のマネージャーになりましたとさ。


っ」

「へ!!いすけ…


平助さん…今はLHR中です!!!


小声で呼ばれてみてみると、教室前部のドアから平助がひょっこり顔を出している。


は委員長なので前、と言うよりはドアの近くにいた。


「何してんの、こんなとこで!!」


はできるかぎり小さな声で問う。


「や、に会いたくなったから」


にこっと笑って平助。


「バカ!早く教室戻りな…って遅かったか…

「え、何?」


が後ろを指差す。


「…」







【土方ワールド。】







「…」


一瞬の沈黙。

そして。



「藤堂、てめぇこんな所で何してやがる…」


「ひひひひひひひ土方先生!!!!!!」


どもり過ぎです。


平助の背後には土方が立っていた。


「あ〜ぁ、だから言わんこっちゃない」

「何でもっと早く教えてくれないんだよ、!!!」

「知るか!!」

「ひどい!!」



「うるせぇ!!てめぇは早く教室に戻らねェか!!」



土方の怒号が廊下に響いた。



「はいっっっ!!」



「藤堂…」

戻りかけた平助を土方は呼び止める。

「はい?」

「てめぇは一週間道場の掃除の刑に処す」

「エ―――――――!!!」

「うるせぇ!!」


泣きながら教室に入っていく平助の背を見つめたまま、ははぁとため息をついた。


も早く仕事に戻れ」

「はい」

「お前は藤堂と仲がいいのか?」

「…は?」

思いがけない質問に、は訊き返す。

「藤堂とは仲がいいのか?」

「…えぇまぁ…幼馴染です」

「そうか」

「永倉先輩とも幼馴染ですよ」

「…そうか」


土方は言うと、教室の後ろへ行き、どかっと座った。


…何が訊きたかったんだろ?


は首を傾げたが、すぐに気を取り直すとHRの司会に戻った。




「で、今日の議題は球技大会の出場種目を決定します。

 今年の競技はバスケ、バレー、テニス、卓球の4種です」

「好きなもんやるんは良ぇけど、やるからには勝てる種目を選んでください」





え、選びにく―――――――!!!!





烝の言葉にシーンとなる教室内。


「ま、まぁ楽しめればいいと思いますから、好きなのを…」



「勝ちしか許さねぇ」



折角のフォローが!!



のフォローも虚しく、またも凍りつくクラスメート。


「山崎、頼む」

「はい」


土方の呼びかけに、烝が黒いファイルを開ける。


「A組ですが、スポーツ推薦の入学者が6名、バレー部が多いですね。

 恐らくバレーは勝つ気でくるでしょう。

 C組は、スポーツ推薦の入学者は7名、うち3名はバスケ部です。

 D組は3名、ですが水泳と柔道なのでどうくるかは分かりません。

 E組は4名、卓球とテニスに2人づつです。

 …そしてB組ですが、スポーツ推薦者は5名、サッカー2人、バスケ・バレー・テニスに1人づつ」


「なるほどな…」


なるほど…












って、ぇえ―――――――!!!!????










烝さん、あんた何者ですか…。



「取り敢えず、スポーツ推薦者はその競技に決定だ」

「うちのクラスは卓球がウィークポイントやと思います、どうしますか?」

「…仕方ねぇ。中学卓球部だった奴ら、手を上げろ」







…このクラスの自由はどこに行ったんですか?







誰か、この横暴な教師を止めてくれ!


それから、ずっと土方ワールドは続き、結局誰の意見も聞き入れずに競技は決定した…。


はバスケやったな」

「烝は?」

「俺はバスケや」

「え゛…一緒?」

「…因みに斉藤と市村は卓球」

「え゛」


て言うか、斉藤くんなら無敵でしょ。



心読めちゃうし。



市村くん卓球かぁー。


絶対見に行こ。




「じゃぁここでロングを終わります」



烝の声で、自由な休み時間が始まった。



!」

「あら、平助」

「競技何!!」

「バスケ」

「だろうと思った!俺もバスケだよ!!」

「へー」


「へーって!何その薄い反応!!もっと感動してよ!同じなんだよ!」


平助の抗議に、は淡く笑う。


「よく分かったわね?あたしがバスケだって」

「でしょ!愛の力!!

「ふぅーん」


興奮してる平助に冷静な一発をお見舞いする

それから、平助の後ろにいる子に目を向ける。


「誰?」

「あぁ、こいつ北村鈴っての」

「北村です」


ぺこり、と頭を下げる。


礼儀正しい子だなぁ。



「へー、平助の友だち?」

「そ。因みに剣道部だぜ」

「あぁそうなの」


そう言えば見たことあったかも…。


「北村くんもバスケ?」

「いえ、俺は…卓球です」

「卓球…」





斉藤くんと一緒かぁ…。





?何遠い目してんの?」

「あぁ、ごめんごめん」

「俺頑張っちゃうからね!B組には負けないから」

「…頑張って。あ、そろそろチャイム鳴るよ、帰った帰った」

「え〜、じゃぁね!!!」

手を振る平助に、ぺこりと頭を下げる鈴。



物静かで良い子だなぁ、の鈴に対する第一印象はそんなものだった。









NEXT STORY!!