【PEACE MAKER】      〜例えばこんな逸話〜    十三





「あ、隊長」


しまった。


あたしは口を覆った。

新八の目がすわった。


〜?」

「ごめんごめん、新八」

「ったく…。で、怪我の具合はどうなの?」

あたしが副長の部屋から戻ると、あたしの部屋の前で新八が座ってた。

「うん、大丈夫。余裕余裕♪」

「余裕余裕、じゃないデショ。は女の子なんだから、気をつけなくちゃ…」

「新八、それ男女差別ー」

「差別〜?区別だヨ」

「余計酷いわッ!!」

あたしは新八のデコを指で弾く。


痛ッ…チャン?何してくれちゃってんのカナ〜(黒笑」


ま、負けるな、!!


「天誅!」

「なら、報復しても構わないよネ?」

ニマリ、と新八独特の意地の悪い笑みを浮かべる。

そしてジリジリと近寄ってくる。


「ちょ、ちょっと待った!」



ずるっ。



制止も虚しく、あたしは自分の着物の裾を踏んづけてすっ転んだ。





    「だぁぁぁ!!」    「わっ!」







ゴン!!






痛ぁーいッ!!


あたしは思い切り後頭部を打ち付けた。


「アイタタタタ…」


あたしは頭を押さえた。


「ちょ…ってば、声上げないでヨ…もうちょっと女らしい声だせないワケ?」

だぁぁぁ、は無いデショ、と新八の呆れ声が聞こえた。

痛さと図星で返す言葉もありません。


「それと、離してくれないカナー…?」


はぁ?


あたしは目を開けた。


すると、何と、目の前に




新八さんの困った様な顔が。




「だぁ!!」




ななななな、何で!!!!???



ち、近いよ、新八さん!!



「うん、、言いたい事は良く分かるよ、だから、離して」


ネー?と、新八は困った表情から無理矢理笑みを作った。

妙に落ち付いてる新八。


「あ、あ、はい!!」


あたしは新八の襟口を無意識に掴んでいたのだ!!


慌てて離す。


心臓が張り裂けそう。



自分の耳が熱い。



自分の鼓動しか、聞こえない。






「ったく、ドジなんだから、は」



おさまれ、おさまれ。



さっきのは事故だ、事故。



おさまれったら〜〜〜〜!!!



全然言う事を聞かない動悸に、いい加減腹が立ってきた。



?」


大丈夫?と新八があたしの顔を覗きこんだ。



「ぅ、わっ!」



思わず、そんな変な声を出して、あたしは飛び退いた。



気まずい空気が漂う…。



しまった…。



「えーっと、ごめんね、新八」


誤魔化すようにあたしはしどろもどろになりながら言う。



茫然として、新八は動かない。



「新八?」


「ねぇ、


「何?」


「ちょっとは、俺の事、男としてみてくれた?」



「は?」





HA?




きゅ、急に何言っちゃってくれてんの、このクールボーイが☆




「ぇ、え?何?」


「だから」


新八が、一歩、また一歩とあたしに近づいてくる。


「ちょっとは意識してくれた?」


「そんなの…ッ」


前からしてるよ…と、言う言葉は喉元で止まる。


「本当は、俺、力も剣もより強いつもりだし。そりゃ、平助や総司や…佐之や副長に比べたら

 小さくて、に近いかも知れないけど」


「な、に言ってるの、新八」


「俺だって、男だから」


そんな、真剣に見られても、困る。

烝の時みたいに、からかえない。


早鐘の様に鳴る鼓動はおさまってくれない。


「その様子なら、意識してくれてるって事だろうけど」


そう言って、新八はにこりと笑う。


表情が和らぐ。


「だから、を守りたいと思ってる」


ズキっと横腹の傷が軋んだ。


「守れるって自信もあるヨ」


淡々と新八は続ける。


「だけど。無茶はしないで…お願い」


夜空にスゥっと一筋の星が流れた。




―次→



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新八さん、何告ってるんすかー!!!
困りますよ、勝手にそんな事されちゃー。
さぁて、次は総司さんっすね。
あれー?
オールキャラなのに、鉄や佐之が出てこないって何だ〜?
あはは、出す出す☆←軽ッ。

今更ですが、このお話。
史実めちゃめちゃ無視してます。
逸話ですが逸話じゃない。
すみません、史実ファン・PM原作沿いドリームファンの皆様↓。