【PEACE MAKER】 〜例えばこんな逸話〜 弐
「べっつにあたしがいなくても巡察できるじゃんねー?」
同僚の佐々くんにあたしは愚痴た。
「ー聞こえてるヨ」
「ごめんなさーい」
「あはは、ってばそれ謝ってる?」
総司…いつからあんたはそんな黒くなったんですか?
「佐々くん困ってるデショ、大体ね?は二番隊の大切な戦力なんだからいてもらわなきゃ困るの」
分かるでしょ?と相変わらずの苦笑いで永倉隊長は言う。
「私はと一緒にいたいだけですけどねー♪できれば一番隊に欲しかったんだけどなァ」
総司ってば…照れるじゃない。
「ダメだヨ、は二番隊の隊士なんだから」
「えー」
「総司ってば、そんなにあたしの事を…」
いつもはあんなに黒い笑顔でしか笑いかけてくれないけど…
もしかして…本当は…
「だって、面白いんですもん!!」
えぇ、そうでしょうとも!!!涙。
くそぅ…いっぺんシメたろか、総司さん?
期待したのが馬鹿だったわ。←期待したのかよ。
ときめきを返せ。涙。
そりゃぁあたしと総司は刀を交えれば、
男も女もない…ただの
鬼と鬼
の対決だけども。
面白いはないでしょうよ、沖田さん?
「あれ?、何拗ねてるんですかぁ?」
「拗ねてなんかいませーんけど、沖田先生」
「何!急に先生だなんて!気持ち悪いですね!!」
「きもっ…ショックだよ〜、隊長〜慰めて〜」
「チャーン、俺には先生ってつけてくれないの?」
「ヤだ」
ガン!!
いやだわ、永倉隊長。
そんなタライが上から落ちてきたような顔しちゃって。
「そんな事より、」
「俺の名誉をそんな事で片付けないでヨ」
「え?隊長、何か言った?」
「何でもないヨ」
何拗ねてんのかな、隊長ってば。
「今日の夕飯なんだと思いますか?」
総司が首を傾げて訊いてきた。
「焼き魚かなー」
「あ、もそう思いますか?」
「総司も?」
「はい」
「君たちもうちっと緊張感持てないかナー?」
永倉隊長の額がぴくぴくってなってる。
「隊長はどう思いますか?」
「何がヨ」
「今日の夕飯」
「…焼き魚」
「「やっぱり」」
「君たち…」
周りの住民はあたしたちをを避けて行く。
誰がその1番前を歩く人達が『夕飯について』話していると分かるだろうか?
ギャップがありすぎるだろう。
「この辺で良いでしょう」
「そだネ」
「じゃぁ戻りましょうよ」
「ハイハイ」
あたしは2人の後ろを歩く。
だって2人は隊長、あたしは隊士。
格の違い。
「?」
どうしたんです?と総司が振り向く。
そこに浮かぶ笑みは。
天使のよ…
「おサボり、土方さんに言いつけちゃいますよ♪」
「…」
鬼ッ!!
全く、見回り終わったんだから良いじゃない。
もう。
そうあたしは頬を膨らませた。
くすくす、と総司が笑う。
そして右手を差し出す。
「おいで」
「…子供扱いして」
それでもあたしは総司の手を取る。
「周りの視線が痛いんだけどな、お二人さん」
「隊長もやる?」
はい、とあたしは左手を差し出す。
「…チャン、俺をからかうのは100年早いヨ」
「ちぇ〜」
からかってなんかいないのに。
繋ぎたかったのにな、手。
「えー?永倉サン繋がないんですか?楽しいですよォ?」
「…君は俺で遊んでない?」
「まさかァ。ねー?」
「ねー?総司」
何なの、君たち。
そう隊長がボヤくのを聞くと、屯所についた。
「さぁーてと。いつまで手繋いでんの!報告行くヨ!!」
いくらかつっこみ疲れた感じのする隊長と総司を見送ると、
あたしは道場の方へ足を向けた。
「あっれ〜?ちゃんじゃん!見回り終わったの?」
軽い声が聞こえたので、振り向くと頬を緩ませた藤堂平助が立っていた。
ひらひらと手を振りながら、今日も可愛いねーなんて言ってる。
「平助は非番?」
「そー。ちゃんはこれから道場行くの?」
「うん」
「んじゃ俺も行こっと」
―次→
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今日新撰組見たよ!「そして池田屋へ」
総Dィー!!←お前誰だよ。