【PEACE MAKER】 〜例えばこんな逸話〜 四
「サイゾー」
走り寄ってくる、サイゾーを抱きとめようと腕を広げた。
走り寄ってくる…走り寄って…
ドシーン!!!!!!!
「いてぇ!」
すごいスピードで突進してきたサイゾーに押し倒された。泣。
「もう…」
じとっとあたしはお腹の上に乗るサイゾーを睨んだ。
それでも悪びれないで、サイゾーはブギッと鳴いた。
「全くぅ…エサあげないわよ?」
よっこいせ、と身を起こす。
サイゾーを抱きかかえたまま、あたしはその他のサイゾー(?)にエサをあげる。
『ちゃんは隊長になれないんじゃなくて、ならないだけだもんねー?』
ならない?
平助にはそんな風に見えてたんだ。
ちょっとショックかも。
別に逃げてるわけじゃないのよ。
隊長っていう責任から。
『今度逢ったら、僕は君を斬るよ』
ある人に言われた言葉がよみがえる。
『君も仕事なら、僕を斬らなきゃね』
それが、君の居場所なら。
迷ってる。
その人を斬るべきなのか、否か。
4年前まで、一緒に過ごしていたその人を。
1年前急に現れて、一個の隊を全滅にさせたその人を。
「ねぇ、サイゾー。あたしってばそんな顔してる?」
「どんな顔ですか?」
「わっ!!」
「、エサやりご苦労様です」
「総司、驚かせないでよ…あーびっくりした」
「珍しいですね、あなたがそんなに驚くなんて。何か考え事でも?」
「何も無いけど…普通誰だって驚くわよ」
「おや、はいつから普通になったんですか?」
「ひどっ」
「冗談ですよ」
そう笑む総司の胸へサイゾーが飛び込む。
「サイゾーってば本当に総司が好きなんだなぁ…」
「羨ましいですか?」
「は?」
「しょうがないですね、はい、、おいで」
サイゾーをあたしの頭に乗せると、総司は腕を広げた。
「何のマネよ?」
「おいで」
「だから、何で!」
そう言うあたしを総司はふわりと包んだ。
「、泣きそうな顔してましたから」
え…?
「泣かないでください」
泣いてなんかいないじゃない。
あたしの目はカラッカラに乾いてるわよ。
「総司、副長のところへ行かなくて良いの?」
「あぁ!忘れてました…」
「早く行かないと、土方さん拗ねちゃうよ」
「…不本意ですが、いってきます」
そう言って総司はあたしを離した。
なにが不本意なんだか。
頭にサイゾーを乗っけたまま、あたしはぼんやりと総司の背を見送った。
―次→
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他のドリ書かなきゃな。←ぁ。