【PEACE MAKER】 〜例えばこんな逸話〜 六
「はいるか?」
下から声が聞こえる。
しまった………!!!!
この声は土方副長だ。
こんな時間に道場にくるなんて珍しい。
こんな時間、とは朝方、現代風に言えば10時前後。
季節は秋で。
絶好の日向ぼっこ日和。
「さんなら見えてませんけど」
隊士の1人がそう答えるのが聞こえた。
やばい。
「…あのやろう、またサボりやがってぇぇぇぇぇ!!!」
鬼の副長、ご立腹。
あたしは野郎じゃありませんけど!!!
っと、危ねぇ…叫びかけた。
それにしても…
しまった。
あたしとした事が…
今日は新米隊士の稽古に付き合ってやれ、と副長直々に命令されたんだった!!
そして、今はお茶時。
何故か、あたしがお茶くみを仰せつかっている。
茶ぐらいてめぇで淹れやがれ…!!!←でも怖くて言えない。
「何しとるんや」
「にぎゃわ!?」
「何ちゅー声出しとんねん」
そう言って横に座ったのは監察方の山崎烝だった。
通称。
「いやだって…驚かせないでよ、山ちゃん」
「…山ちゃんは止め」
「…じゃぁ…ザッキー★?」
「お前は俺を怒らしたいんか…?良いんやで、今ここでおった!って叫んでも」
「そ、それだけはご勘弁を…」
鬼の副長に殺されます…。
良いじゃん…諸事情でザッキー★って呼びたいんだもん。←めちゃ私的。
「んで、何してんの?」
「いや、それはこっちの台詞やで?何しとんのや、ここ道場の真上やろ」
そう、あたしは道場の屋根にてほのぼのしてたのです。
「日向ぼっこしてた」
「ええご身分やな、お前は」
「どういう意味さ」
「俺は仕事や」
「へぇ〜お疲れさま」
さして興味ないように言うと、烝にぱこんと後頭部を叩かれた。
「何するのよ」
「いや、何と無くお前に腹が立っただけや」
「それだけで…」
あ〜ぁ、とあたしは仰向けになった。
空が近い。
隊服と同じ色だけど、空は好き。
「呑気やなぁ」
「烝こそ」
「おまっ…」
「何よ」
まだ文句があるっての?
一万光年歩譲って「烝」にしてあげたのに。←どんな。
「…いや、何でもあらへん。いい加減真面目にやらんと、副長から俺に捕獲指令が出るで」
「何、それ」
「サボり防止のために」
「それだけはご勘弁を!!」
「さっきから何回同じ言葉繰り返す気や?」
「だって…じゃぁ別の話しよーよ」
「俺は仕事中」
「ザッキー★のケチんぼー」
「副長!ここにいます!!!」
「ぅお!!??いきなり何言い出す…」
ぬ…黒いオーラを感じまするが…!?←お前誰だよ。
ニヤっと笑う烝。
それを睨むあたし。
そして…。
「〜…お前はいつもいつもいつもサボりやがって…」
見たら、屋根の淵に副長のお姿が!
顔が半分出ている…。
怖い!!
長い髪がわさわさとあたしに向かってくるではありませんか!?
「ふ、副長…これはですね…」
「問答無用!」
全身を現した副長があたしの方へ寄ってきた!
「ギャァァァァァ!寄るなぁ!!烝!助けてぇぇぇぇ!!」
「それじゃ、俺は仕事に戻るから」
したっ!と手を掲げ、屋根から華麗に去っていった…
裏切り者ぉ!!!
そしてそのまま引き摺られるようにして副長の部屋へ連れていかれ、
延々正座で副長の説教を聞くことになったのは言うまでも無い…。
―次→
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烝ちん最高っしょ〜。
でも訛りむずいよ。
だからリョーマさんとか書けない…涙。